自由の国 ナルダール連邦③
午後になり、大地からの照り返しがより一層厳しくなった。
食堂を後にした二人は、セルドリックの<認証石>を受け取る為、再び中央庁を訪れていた。二人はソフィーアも誘ったのだが、服を着替えると言って何処かへ行ってしまった。
二人が窓口へやって来ると、朝も受付をしていた役人が出迎えてくれた。
「セルドリックさん、お待ちしておりました。<認証石>のご用意ができております」
セルドリックの手に、青い半透明のクリスタルが手渡される。この細長い八角形の石が<認証石>である。この石により、冒険者は各地の出張所でチェックイン・アウトを行う。又、支給などの申請を行う際の本人確認もこの<認証石>を用いる。<認証石>とは、冒険者の生活において、無くてはならないマストアイテムなのである。
そのマストアイテムを手に入れた彼は、只ならぬ思いでいた。
(ようやくだ。ようやくスタートラインに立ったんだ。)
「それでは、これで手続きは完了です。何かご質問等ございますか?」
「いえ、特には」
「では、これで」
ああ、と役人が続ける。
「半年に一度のご報告は忘れずに」
「はい。それでは失礼します」
役人に一礼すると、二人は中央庁を後にした。