78 ショートストーリー ~ 2人のお礼 ~
ジークとバルロは王城神殿を出て、街の観光をしていました。と言うのも、ドクターストップのせいで冒険に行くことができず、かろうじて許してもらえた外出しかやる事がなかったため観光をしているのでした。
「ジーク、見たことない魚がたくさんありますよ。あっちには野菜も色々。」
「さすが海洋区画、色んな物が集まる街だな。あっちには、民族工芸品なんてもの売ってるぞ。」
2人が来ているのは、海洋区画の大通り。観光目的で来た人をターゲットに店が並び、目を引くものが並べられている店が軒を連ねる場所である。
特産である魚や野菜に始まり、工芸品、加工品、輸入品など文字通り多くの物が集まりその賑わいは圧巻であった。2人は大通りを色々な商品を見ながら進み、昼食を露店の店で済ませると落ち着いたところで作戦会議をし始めた。
「おい、バルロ。決まったか?」
「はい、めぼしはしっかりつけてきました。」
「よし、じゃあ、終わったら王城に帰るってことにしよう。行くぞ。」
ジークとバルロは、別々の方向に歩き出し人混みの中に消えていきました。二人は、午前中に多くの店を回り午後に決めた物を買うことにしいた。今そのために動き出したのでしたが、なぜ、そのようなことをしなければならなかったかと言うと単純にお金がなかったためであった。
もともと、アティカスに来るまでにも多くの金を使い続けていたため個人で持っている金にはあまり余裕がなく、「みんなのために使う」として貯められていたお金はレシルが保管、管理しているため手元になかったのであった。
限りある自分の金を使い、自分の物を買うつもりでいたのだが、最近はレシルが気を使い色々と買ってきてくれたり、迷惑をかけたりしてしまったため、二人でレシルのお礼を選ぶということを決めていた。
「兄ちゃん、どうすんだ?買うのか?買わねえのか?」
「待ってくれ!もう少し、悩ませてくれ。」
ジークは今、選択を迫られていた。今訪れているのは酒屋。多くの酒が並んでいる中でジークは、数量限定のラストワン、金貨一枚もする幻の酒と言われる銘酒を買うか買わないかで悩んでいた。手持ちの金は、金貨一枚。「ここで逃したら次に会うのは難しい」と考えつつも、「これを買ったらレシルのお礼を買えなくなる」と、悩んでいたのだったが決めかねているジークの横から「買わないなら私が!」の声に、買ってしまった・・・。
バルロはすでに店をいくつか周り、袋片手に次の店に向かっていた。
「えっと、次は確かここら辺に・・・。あ、ありました。」
バルロは石鹸を手に取り、いろんな形、いろんな匂いの石鹸の中から自分好みの物を探し始めました。今のところ、冒険の時に使う薬や手入れ用の道具、剣の修繕などを済ませていたのだがお金もすくなくなってきたため、石鹸をレシルのお礼に考えていたのでした。
買い物も終わり、暗くなる前に王城神殿に帰ってきたバルロは、酒をおいしそうに飲むジークを見つけました。
「ジーク、早かったですね。いろんな物があって買うのに時間をかけてしまいましたよ。で、ジークはレシルに何を買ったんですか?」
「何にも。買ったのはこの酒だけ。金貨一枚もするめったに手に入らない酒。」
ジークはその酒を飲み、酔っているせいか終始笑っていたのですが、だんだんとその顔は暗くなっていき「どうしよう」と最後には涙を流し始めてしまいました。
バルロは泣くジークをなだめ、話を聞きました。どうしても欲しかった酒を買ってしまい、レシルのお礼を買うお金が無くなってしまったことを聞き、後悔して泣いているジークにバルロは買った石鹸を一緒にプレゼントすることを提案しました。ジークはバルロに泣きながら感謝をしていたのですが、レシルはちょうどその場面に出くわしてしまいました。
「(今出ていくのはちょっと気まずいかも・・・・。はあ、そんなに気にしなくてもいいのに。まあ、ジークがおもしろいからいいか。)」
「ただいまー。 ? ジークなに泣いてるんだ?」
レシルはさも、今帰ってきたかのように声をかけ、ジークに問いかけました。ジークは「何でもない」と涙をせっせと吹きレシルに笑いかけます。
バルロがすかさず「二人からです」と石鹸を渡し、バレていないと思い込んでいる二人は、すべてを知っているとも知らずにレシルの喜ぶ言葉を聞きうれしく感じるのであった・・・・。
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