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72 「入り江の狩り」

レシルがククリの話を聞き終わると、すぐにカルラがやってきてジーク達の様子を報告してくれた。


「失礼いたします。ジークさんとバルロさんの回復のめどが立ちました。医者の話では体に合わないものを食べたことによる拒絶反応と診断が出ており、完全回復までは二日ほどかかるとの事です。何でも、体内に取り込んでしまった物を出すのに一日、体力を回復させるのに一日かかるそうです。」


「そんなにかかるのか!?  そうだ、魔法薬を使ってぱぱーと回復させれば一日早くなるんじゃないか!回復薬はたくさんあるからそれを使って・・・・。」


「残念ながら、傷などではないのであまり有効的な手段ではないそうです。私もさっさとどうにかしたいのですが、医者にそう言われては返す言葉もありません。それに、体内に入り込んだ微生物?とかいう虫を殺さなくてはいけないらしいので、絶対安静だそうです。」


レシルは二人の戦線離脱によって、回復までに二日間どうしようかと考えるのであった。ククリは「二人が回復してから探索を始めればいい」と言ってくれたが、正直すでにアティカスに来てから冒険と言う冒険をやっておらず、金が出ていくばかりであった・・・。

そのようなことを相談できるはずもなく、レシルはククリに修行と称し自分一人でダンジョンの下調べや近隣の魔物退治をする許可をもらった。





レシルが今来ているのは、ギルド;アティカス海洋区画支部だ。前に一度寄ったことがあったが少し苦手なタイプの女性がギルマスをしている所だ。

レシルは手ごろな依頼を探しつつ近隣に生息している魔物の情報を集め、結局何も依頼を受けずに受付嬢の女性に人気がなく、しかしそこそこに強い魔物が出る場所を教えてもらいタヒコと久しぶりに外で共に過ごそうと考えていた。


「レシルさん、実力があるのは認めますが一人では危険なところなので十分気をつけてくださいね。何かあっても助けに来る人がいないという事なんですから。」


「はーい。わかった!危なくなったら帰るね。十分気をつけます。」


外見と同じくらいの子供のふりをした口調で受付嬢に受け答えをすれば、「本当に大丈夫かしら?」「私あんな子供に危険なところを教えちゃった!!!」などと心配になったり自分が教えたことによりもしものことが起こったらと、おどおどとし始めた辺りで、レシルはいつもの口調で見下すように声をかける。


「大丈夫だよ。俺強いから、みんな狩りつくしちゃうかもよ!」


まだ子供の様に感じる口調であったが、先ほどとはまるで違う雰囲気に驚き固まりつつも、見送ってくる受付嬢を見て、それがおかしいと思うレシル。驚く顔や固まる顔への変化が面白く感じ、またやってみようとギルドを出たレシルは一人笑いながら教えてもらった場所に向かうのだった。


レシルが来たのは海洋区画を海岸沿いに進み、首都を出て少し行った辺りの岩がごつごつとしていて、砂浜がわずかにあるプライベートビーチのようなところであった。ここは、ダンジョン「失われた遺灰」より首都に近いが海沿いから行かなければたどり着くことがことができないところにあるために人気がいなく、また魔物が首都に行くことがほぼない入り江である。


「タヒコ。出てきていいぞ。」


レシルはアティカスに来て初めて一緒にいるためにタヒコを呼んだ。誰にも見つからず、誰にも邪魔されない場所でしか共にいられないことを残念に思いながら・・・。

タヒコは入口からたくさんの薬草を抱えて出てきて、レシルを驚かせた。そしてレシルはタヒコに薬草の世話を頼んだことを思い出し「ありがとう」と感謝の言葉を言いつつタヒコに収納に薬草をしまわせた。

大きく成長したタヒコの両手いっぱいの薬草が収穫されていくと、レシルは内心錬金のやりがいがあると考えていたが、入り江のそれもビーチのど真ん中で大きな猿と共にいれば魔物に見つからないわけがなく、貝の魔物や蟹のような魔物、亀にワラジムシ?のような魔物まで岩陰や砂の中からどんどん出てきた。


「さすがにこんなに出てこられると・・・。」


あまりの多さに少し足を引くレシルを、タヒコは自分の肩に乗せる。そして、タヒコはレシルを落とさないように手を大きく振るい周りの魔物たちを倒し始めた。

こぶしを作り殴ったり、潰したり。死体を持ち上げて魔物にぶつけたり、距離を詰められれば大きく跳ね、足で潰し硬い敵には連続パンチを食らわせる。

敵の数はタヒコが頑張ってくれたおかげでみるみる減っていったが、レシルの体力もみるみる減っていくのであった。いくら、気を使って動いていたとしても肩に座りしがみついているレシルには答える物があった。飛んだり跳ねたりすれば、レシルの体が浮くし衝撃は伝わる。そして、レシルがやっとの思いでタヒコを止めるころには敵はあらかた倒され残党が逃げようと岩陰に帰っていくところだった。


「ありがとな、タヒコ。でも、今度は俺を肩じゃなくて地面にいる状態で、守りながら戦うやり方をやってみようか・・・。」


笑顔を作りタヒコに話しかければ、大きくうなずきレシルを優しく下ろした。

辺りには魔物の死体が山になり、波にのまれ海に浮いている死体もあるほどであった。レシルはこの死体の山からタヒコと手分けして魔石の回収と素材の回収を始めるのであった。


特に多い死体は二枚貝の魔物で名前は良く分からなかったが、タヒコが殻ごと壊したそんな死体が三十近くある。どれも貝殻が割れておりかろうじて生きている物も居るが、割れた貝殻を精一杯閉じて身を守ろうとしても動く力も残っていない割れた貝の魔物など、割れたところから剣を差し込み貝柱を斬れば簡単に開きとどめをさせた。

蟹のような魔物はタヒコが足やハサミをもぎ取ってしまっていたため身一つとなり動けずにいる物が多く、生きていても簡単に倒せてしまい、本当に戦闘と言う戦闘がなく少し寂しくなる。魔石を取り出した蟹は、足やハサミ、体を収納にしまい、貝は魔石を取って身と貝殻に分け回収した。

ここで問題となったのは亀とワラジムシのような魔物だ。ワラジムシの魔物に関しては、タヒコの力押しの攻撃によって素材として取れそうなものがなく、魔石回収だけとなり死体の処理の困ってしまったため海に流すことにした。

亀は手足が出ているならばともかくしまわれた状態の死体はかなり困ってしまった。レシルが剣を振るい肉を切ろうとしても圧縮された肉に刺さりはすれど切ることができず、一匹を解体すのだけで時間がかなりかかってしまう。


「タヒコ、この「甲羅」剥がせる?」


レシルは亀の解体にどうしても時間が掛かってしまう。そのため手っ取り早くタヒコに甲羅を二つに分けさせようとしたのだが、やはり肉が詰まった状態で分けるのは大変らしく結局レシルが二つに分けられるくらいまで肉をほじくり出し、タヒコに割らせた後で残りの肉を掻き出す流れで解体をしていった。


今回の狩りだけで貝の魔物30体、蟹の魔物12体、亀の魔物8体、ワラジムシの魔物22体。合計72体を倒し魔石を回収した。食べられそうな肉はしっかり回収してあるし、常駐依頼の報酬と魔石の金、後は素材や肉を売ればそれなりの金になるだろうと簡単にまとめるとレシルは少し入り江を探検しつつ「どうせなら」と残りの魔物を狩ることにした。

タヒコの肩に乗りゆっくり浜辺や岩場を歩けば、砂の中から飛び掛かってくる貝の魔物や岩場で休んでいたアザラシのような魔物が襲ってきたが、どれも返り討ちにして魔石を回収し死体を収納した。


「もう帰ろうか、囲まれてるせいかもう影がばかりになってきてるし。」


崖が浜を囲う形となっているここは、日が傾けばすぐに影に沈むような場所で、すでに日が差す場所はすくなってきていた。

タヒコの肩に乗ったまま岩を飛び、来た時の道をたどるように戻り、途中でタヒコを収納に帰して戻った。



「お姉さん、ただいま!」「あ、レシルさん!」


レシルはギルドに戻ってくるとわざわざ話をした受付嬢の列に並び、今は出発した時のように子供の口調をマネして話している。さすがにこの遊びは一回しか通じないので、「普通に話してください」と言われてしまった。


「つまんないな。」


「つまんなくてもいいんです。で、無事に帰ってきてくれたのは何よりですが、狩りつくせたんですか?」


「無理だった。何匹か逃げられちゃったし。でもたくさん狩ってきたよ。」


レシルはそう言ってギルドプレートを差し出した。倒した魔物の数が自動的に記録される便利な物なのだがなぜかプレート以外に魔石の提示も必要だと言われてしまった。

なぜかと思い聞いてみると、プレートの機能を利用したやり方で報酬を重複取得した者がいたとのこと。そのため魔石の提示が必要になったそうだ。

レシルは「魔石を見せてもそれが本当にその魔物の魔石か分からないじゃないか」と疑問に思っtことを受付嬢に話すと「待ってました」と言わん顔で、誰かを呼び出した。やってきたのはギルドの服を着た銀髪の男性職員で、話を聞くと素材の買い取り専門の職員らしい。レシルは受付嬢の女性と別れ、男性職員に連れられ買い取り用のカウンターに連れていかれた・・・。


読んでいただいてありがとうございます。

よければ、また読んでください。

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