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71 「課題の詳細」

レシルは目を覚ました。顔を圧迫する物により息苦しさを感じ、金縛りに会う夢を見て目を覚ますと、リンの胸に顔を沈め、羽交い絞めされた状態だった・・・・。

レシルはどうしてこのような状態になっているのかと、目を白黒させリンを起こそうと奮闘するのであった。


さかのぼれば昨日の酒場を出たころの事、リンたちは寝てしまったレシルを連れて自分たちの宿に連れて行った。リンたちのチームはリン以外は男と言うチーム構成だったため、リンのみを一人部屋にしており、レシルをリンの部屋で一緒に寝かせることになったのだが、酒も入っていたリンは非常に寝相が悪かった。

初めの内こそ、少女が人形を大事そうに傍らに置き眠るように同じベットで寝ていたが、眠りに落ち時が経てば今の現状になるのは簡単だった。


「あら、おはようレシル。 あー、頭痛い・・・。」


「全く、やっと解放された。体中バキバキになる所だった。」


「もう、朝から文句を言わないでよ。頭に響くでしょ。」


解放されたレシルは、文句をリンに言いつつもジーク達にいつも渡している二日酔いの薬を渡す。リンはレシルから薬を受け取るとそのまま飲み、口に残る薬を水で流しこんで礼を言う。

レシルはその後、リンにお礼を言って別れようと考えていたが部屋の扉が突如開きリリオが青い顔を見せ、静かにするように言ってきた。


「お前ら起きたのはいいが静かにしてくれ。他の三人も二日酔いなんだ・・・。」


言っている本人の顔が蒼くなっており、自身も二日酔いなのことは丸わかりだったのでレシルはリンに渡した薬をリリオや他三人分渡し、昨日の礼を言って宿を後にして王城神殿へと帰ることにした。

リンとリリオに別れを告げ、レシルは宿を出ていくとリンたちは再び部屋に戻り静養するのであった。


「今は朝の六時ぐらいだろうか?朝から市場が開かれてるなんて、世界が変わっても変わらない部分もあるんだな。」


レシルは朝市の開かれている道を通り、観光しながら王城神殿を目指していた。朝早くに水揚げされた新鮮な魚に、泥や朝露が付いた野菜がまだ客に手を付けられていな状態で並んでいる。レシルは野菜の店で根菜類を、魚の店で干物を買い、肉の店で朝一番に焼いてもやった肉を食べつつ帰っていくのであった。

朝帰りとなったレシルは、王城神殿の門番に足止めをくらったが無事に中に入り、ジーク達のいる特別英気室に入るとテーブルに買ったものを置き、そのままソファーに倒れ体を伸ばし眠りにつくのであった。


________________________________________________


「うっ!うぇ、気持ち悪い。やっぱり人間と獣人とは体のつくりが違うせいなのか?」


少し吐き気に襲われながら起き出してきたのはジークであった。バルロは完全にベットの上でダウンしておりベットのわきには異臭を放つゴミ箱が置かれていた。

ジークはそのままトイレに駆け込み、少ししてから出てきたがその口からは異臭が漂っていた。


「?   レシルか帰ってきたんだな。気持ちよさそうに寝やがって・・・。」


気分が悪いがゆえに怒る気にもなれないジークは、朝日に照らされながら純真無垢な寝顔を見せるレシルをなでた後部屋に戻るのだった・・・・。

_______________________________________________


「おはようございます。カルラです。あまりに来られるのが遅いためお迎えに来ました。って、くさ、い・・。」


カルラは英気室を仕切っていた布をくぐり中に入ると、微かに匂うものに声をあげた。そして、中を見渡しソファーで寝ているレシルを起こすとニオイについて聞いた。

レシルは初めこそ「えっ?」と分からない顔をしたが、ニオイに気づくと走りだし部屋の窓を勢いよく開け空気の入れ替えのために魔法を使った。

どうしてこんな異臭がするのかと、レシルは匂いの強くなる方に向かって行きジーク達を見つけた。

ドアを開き中を見たがあまりのニオイにドアを閉じてしまった。そして、その一瞬で見たジークとバルロの姿に「あの店」のことを思い出しもしやと思いカルラに聞くのであった。


「あのカルラさん。えっと、虫の料理を出すお店に昨日ジークとバルロは行ったんですけど、この異臭ってそれが原因かも・・・。虫って食べても大丈夫か知ってます?」


「{まさか、あの店に行ったんじゃ・・・。}あの、えっと、もしかしてこんな看板が出てる店じゃないですか?」


カルラはテーブルの上に指で「珍蟲屋」となぞり書き。レシルは「その店です!」と大きな声で答えた。


「あー、もう。なんでその店に行ったんですか!!あの店は鳥人族なども獣人達には根強い人気がある店ですけど人間族には合わない料理ばかりなんです。確かに少量なら問題ありませんが出された料理を全部食べるのは無理です。もし食べれば、今ジークさんやバルロさんが苦しんでいるようになります。はぁ、こうしてはいられません。医者と薬を持ってこなくては!」


カルラはそう言うと英気室を慌ただしく出ていき、レシルはそんなカルラの背中を「ご迷惑おかけします。」と申し訳なさそうに頭を下げ頼むのであった。

レシルはとりあえずジーク達の部屋の喚起をしようと中に入り、窓を開け魔法で空気を入れ替えることを息を止め行った。


「よお、レシルかありがとな。なんか空気がよどんでてさ、気持ち悪かったんだ・・・。」


「馬鹿!それはただの病気だ!今カルラさんが薬と医者を手配してくれてるからおとなしく寝てろ。さすがに俺でも下手に手は出さないからな。バルロ大丈夫か?」


バルロは手をあげて返事を返すが、あげる手からして元気がないのが分かる。そうこうしているうちにカルラが医者を連れて戻ってきてくれたため、後を医者に任せレシルはカルラと共にククリの元に向かうのであった。



「そう、それは災難だったわね。大事にならなければいいけれど・・・。」


「大丈夫でございます。すでに医者を手配いたしましたので問題ないかと。」


「ええ、カルラさんの言う通りです。二人共丈夫ですから大丈夫ですよ。」


「そうね、でもそうなると、これから話そうと思ってた課題の詳しい説明ができないわね。まだ後日にする?」


「いいえ、俺が全部聞きますよ。二人には俺から話しますし、時間が無駄になりますから。」


「そう、わかったわ。じゃあ、説明するわね。」


ククリが話し出したのは、ダンジョン「失われた遺灰」での成果についてだった。ククリは課題を発表した時「一定以上の成果を上げる事」と明確には説明していなかったために、説明してくれるのだろうとレシルは真剣な表情で内容を聞いた。


「「失われた遺灰」の禁足領域を探索し、しゃべる魔物と接触して情報を持ち帰ってくる。これが達成条件よ。」


「!?」


レシルはダンジョン内でただ魔物退治をすればいいと考えていたが、ククリの言葉を聞き驚きを隠せなかった。すでに入手していたダンジョン内の情報など何の役にも立たないことが確定しており、何より危険な領域の探索をしなければいけないことに対して頭を抱えそうになった。

レシルはリンたちの情報で、10階以降の禁足領域は危険な領域と言うことはわかっていたので、ククリに試験に合格でき、なおかつ危険の少ないギリギリのラインを探ろうと話し出すのであった。


「ククリ、しゃべる魔物ってどこにいるか分かるか?あと、撤退の判断はどうしたらいい?」


「えっと、とりあえずまだ情報の少ない禁足領域の情報を、最低でも二階層分は欲しいわ。マップを作れとまではいわないけど、せめてどんなものがあったとか、こういう部屋やトラップがあったって感じの情報があればあるだけいいわ。撤退の判断は現場の判断に任せるけど、探索の際にはこの記録用の宝珠を身に付けて行ってね。これがレシル達の行動を記録して探索の証拠になるから。」


「つまり、魔物と接触できなかった際はそのまま不合格になるわけか・・・。」


「いいえ?そんなことないわよ、接触できなくてもダンジョン内の情報が集まればそれで合格でいいと思ってる。でも、しゃべる魔物について少しでも記録が必要なのよ。だから無理そうなら帰ってくることを最優先に頑張って情報を集めてきてね。足りなければ何度も行かせるから!」


笑いながら話を終わらせるククリの顔に、レシルは黒い角としっぽが見えた気がしたのだった・・・。


読んでいただいてありがとうございます。

よければ、また読んでください。

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