表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/91

64 「海洋区画」

ジークとバルロは昨日二人で見張りをしたことが響いたのか、すっかり寝入ってしまっていた。

レシルは荷馬車に揺られながら、荷馬車のおじさんと世間話を楽しみつつ、海洋区画に着いたら何をしようか考えるのであった。


楽しい時間はすぐに過ぎるように、レシルはおじさんと話をしているうちに海洋区画に、日差しにオレンジ色が混ざり出す頃到着した。


「二人とも起きろ!着いたぞ!」


「おじさんもありがと。楽しかった!」


「いやいや、こっちこそ楽しかったし、退屈せずにここまで来れたよ。」


レシル達は荷馬車を降り、おじさんに手を振りながら別れ海洋区画の中心を目指す。

大通りの道は海洋区画の大広場で終わっており、そこには定期便と思われる馬車達が多く止まっていた。

そして、そのような場所であれば人が多いことば必然であり、大谷区画よりも遥かに多い種族達が集まっていた。

海洋区画は、各方向から来る大通りが集まる広場を中心に海洋区画が始まる。その先には、赤く染められた木を使い建てられた建物が軒を連ね、段々に高くなっていっている。道の先には、巫女がいると思われる女神像が掲げられた大きな建物があった。

レシル達はひとまず、ギルドによって話を済ませ巫女の場所を確認した。


「巫女様は坂を上っていった頂上にある王城神殿にいるので、着いたら話を門番にして中に入れてもらいなさい。くれぐれも失礼なことをしないようにしてください。何かあればあなたたちだけでなく、ギルド全体に関わってくるのですから。お願いしますよ。」


対応してくれたのは、ここ首都アティカスの海洋区画にあるギルド長の女性だった。彼女は眼鏡をかけた気難しそうな印象を受ける見た目であった。レシル達が彼女と話をしているとき、失礼に当たるなどの注意の言葉が入るたび、レシルやジークに向き直して話かけてくる。なぜかバルロにはそのようなことをしなかったのが謎だが、あまりいい気分ではなかったのでレシルは、この女性が少し苦手だと思った。


ギルドを後にしたレシル達は、王城神殿を目指して坂を上りだした。道を進めば、いたる所で店が開かれ多くの食材が売られていた。陸の物も海の物も所狭しとどの店も並べ、そんな色鮮やかな物で埋め尽くされている店が並べばまた圧巻であった。


「坊や、どうだい、味見してみないかい?」


レシルに話かけてきたのは、赤い柱の色がハゲかけている古そうな店で商売しているおばあさんだった。

差し出されたのはドライフルーツ。渡されたのは、ミカンのようだったので試しに食べてみれば酸味と甘みがちょうどいい味だった。


「保存も効くし、長旅のちょっとした楽しみにもお土産にも喜ばれるよ。」


おばあさんの言葉に、レシルはすっかり忘れていたタヒコのことを思い出し、ドライフルーツを買うことにする。


「(うーん、タヒコごめん。忘れてたわけじゃないから、ちゃんとお土産買ったし時間作ってたらちゃんと行くから!!!)」


レシルは自分たちが食べる用とタヒコ用に二袋のドライフルーツを購入した。お金に関しては、色々収入もあり余裕がある。

おばあさんは買ったドライフルーツのおまけに飴玉をレシルに渡し、「また来てね」と見送ってくれた。


「レシルどこ行ってたんだ。急にいなくなったから心配したぞ。」


「ごめん、ちょっとお土産買ってた。てか、バルロは俺が買いに行ってるの知ってただろ?」


「はい、私もお店の品が気になって色々見てたんですが、ジークが慌てだしている姿が中々面白かったので。」


「知ってたなら教えてくれよ。全く心配して損したわ!」


「まあまあ、そう怒んなって。ほら、ジーク。あーん!」


レシルは先ほど買ったドライフルーツをジークに差し出し食べさせようとする。ジークは、そのまま口を大きく開けてレシルの手からドライフルーツを食べればその味に機嫌は良くなった。

バルロにも一つ差し出し食べさせ、自分も食べ袋を縛る。


「なあ、もう一個・・・。」


「ダメ、またあとで。」


ジークのおねだりをぶった切り、レシルは収納にしまうと二人の手を引き坂を上りだす。

立ち並ぶ店が食材などを売る店から落ち着いた雰囲気の物を扱う店に代わっていき、店の数が段々と減っていくと、大きな石の門がレシル達の前をふさいだ。

ここから先がレシル達が目指していた王城神殿らしく、門番に今ジークが話をしている。すでにレシル達がここを訪れる話がされていたようで、さして時間をかけずに確認をすまし中に入ることができた。植物の迷路となっているアーチを抜けて門番と共に道を進んでいくと、女神像の足元の建物にたどり着いた。


「ここから先は、中の者が案内する。時期に人が来るので待っていろ。」


門番はそう言うと来た道を帰ろうと坂を下り出せば、建物のドアが開き中から羽の生えた女性が現れた。


「失礼いたします。ガトークのギルドからお越しになられた、ジーク様、バルロ様、レシル様でよろしいでしょうか?  お初にお目にかかります。私はここ、王城神殿の人事管理と雑務管理をさせていただいております、カルラと申します。まずは、お三方がアティカスまで無事にお越しになられたことを歓迎いたします。」


「ありがとうございます。早速ですが巫女さんに会うことはできますか?」


「はいできます。巫女様はすでにお待ちになられておりますのでどうぞこちらへ。」


カルラに案内され、レシル達は階段を上っていく。建物の中はアジアンな感じで、ツタを丸く編んだ明りがいたるところにつるされ、中央にあった螺旋階段を今は登っている。

階段から伸びる廊下から資料を持った人や、通りかかるそのほかのここで働いている人たちがカルラを見るたびに頭を下げる様子を見る限り、上下関係がしっかしとしていることが分かる。

簡単に数えて、五階ほど登った辺りで階段が終わり廊下を歩き進むとカルラが止まり説明をし出した。


「ここより先がこの国をまとめ上げる方々が集う場所、会議場となります。この先で巫女様はお待ちになられておりますので、道を空けましたら中に入り謁見してください。」


カルラはそう言うとドアではなくカーテンのような布で仕切られている部屋に、布をより分け道を作ると中に入るように合図を出した。

ジークを先頭にバルロ、レシルと続き入れば、高い天井に壁の少ない風通しの良い大広間が広がっており、大きな机とそれに並ぶイス。その奥の席には歳にして16かそこらと思われる女性が座り待っていた。


「お初にお目にかかります。私は・・・。」


「硬い挨拶は結構です。そんなことよりも、そのように遠くで跪かずに席に座ってください。」


ジークの話を遮りながら巫女は三人に席に座るように言ってくるが、その言葉通りにしていいのか分からずジークはそのまま固まった。助けを求め隣のバルロに顔を向ければ、バルロもどうしてよいのか判断に困っていた。

三人でどうしたらよいか考え、レシルは入ってきたところにいるカルラに顔を向ければカルラは気づいてくれたようで、傍で控える補佐官のように仕切り始めた。


「巫女様の許しが出ました。三名とも席におつきください。」


カルラの言葉により動き出した三人は、そのままカルラが椅子を引く席に順々に座るのであった。巫女に対して右側の席にジーク、その隣にバルロ。巫女に対して左側の席にレシルが座る形で席に着くと、巫女は「自然体で話しましょう」と言いながら微笑みかけてきた。


「いきなり話し出すのは大変よね。私の名前はククリ。アティカス神命連合国の巫女であり、この国の最高司祭です。どうぞ、よろしく。」


「え、えっと。俺が冒険者をしていますジークで、隣がバルロ。そっちにいるのがレシルです。」


「初めまして巫女様、お会いできたこと心から喜び感謝いたします。」


「はじめまして巫女様、えっとよろしくお願いします。」


バルロが貴族が謁見する時のように言葉を並べ、レシルがとりあえずそれっぽいことを言った。

ククリはクスクスと笑いながら話をし出す。


「そんなに硬くならなくていいのよ、本当に。慣れないことをするのは疲れるし、大変でしょ?」

「少し困らせてしまったみたいね。ごめんなさい。早速本題に入りましょうか。」


ククリは、自分がレシル達に気を使ってかけているつもりの言葉が逆に重荷になっていることをカルラの耳打ちで知らされると、軽く謝り話を進め出した。


「えっと、あなたたちの冒険者のランクを上げることについて信託もとい条件を伝えます。条件は私の力を素直に受ける事、この国にあるダンジョン「失われた遺灰」にて一定以上の成果を上げる事。この二つとあとは、絶対ではないけれど話を聞いてもらってよければ書類にサインしてもらうことがいくつか・・・・。それくらいです。」


条件を簡単に説明し終えたククリは、最後ににこやかに笑いかけ同意を求めてきた。


「は、はい・・・。」


生返事となったジークの声を聞くと、カルラが蓋のない木箱を持ってきて、紙をそれぞれの前に並べた。


「ではさっそく、僭越ながら説明させていただきます。今、お三方の前に並べた紙にはこの国に対しての攻撃行為、反逆行為などをしないことが掛かれた契約書です。あくまでも強制ではないので、ここで断ることも可能です。」


「えっと、「我が国が戦争状態になった際、敵として我が国を攻撃することを禁ずる。」「我が国に対して、大きな損害につながる事、長期的に見て損害となる事をすることを禁ずる。」「我が国の民に対して、差別的な行動、行為、失言などを禁ずる。」・・・などなど。  どれも、この国の利益や国民を守るための約束事ですね。」


「はい、おっしゃる通りです。なにぶん、色々な種族がいり混じる国なので他の国から来られた方などは差別的考えが強い方も多く、中には過激な行動を起こされる方もいるため、冒険者のような力持つ方たちにはこのような形で万が一が起こらないように約束していただいているのです。」


「また、付け加えるとするなら、この契約を結ばない者は容認できない部分があるということでこちらとしても気にする対象として判断できると言うわけです。特に、契約しないからと言って監視をつけるわけではありませんし、文句を言うつもりもありません、あくまでも任意です。」


ククリの説明に、付け足すように話をするカルラ。そんな説明をすべて聞き終わると、三人ともサインし契約書をカルラに渡すのであった・・・・・・。


読んでいただいてありがとうございます。

よければ、また読んでください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ