63 「大谷区画」
短めです。
「アティカス神命連合国」・・・東に位置する宗教国家にして、大小の国からなる連合国家である。この国には巫女と言う最高位の存在があり、巫女を通し神の声を聞き準ずることを国益としているためか、巫女に対しての権威がとても強い国である。しかし、あくまでも巫女は王のような存在ではないため国主導の政治や政策に口を出すことはなく、あくまでも巫女としての立場に収まっている。
そんな巫女の元でまとめ上げる者たちは、人間族をはじめ各部族、各国より選ばれた代表たちであり政治を進める者たちである。
レシル達は今現在、「首都アティカス」に来ている。大陸にある首都の中で最も大きな街である「アティカス」は海沿いに開かれた大きな街である。もともとは巨大な崖を切り開き削り、頑丈な地盤の上に作りあげた街であった。削り取った岩は波を消すために周りの海に沈められており、この岩が波を消す役割を果たし、また豊かな水産資源を生み出すことに一躍買っており大きな利益につながっている。
あくまでも今の話は海側の街の話であり、レシル達がいる辺りは内陸に面しているためまだ関係ない物である。レシル達がいる辺りは、大昔の地震によってできた大きな亀裂、谷がある辺りで、この辺りには羽をもつハーピーのような鳥人種と呼ばれる種族が多く生活していた。
「ジーク、バルロ、なんかすごいなこの街!」
レシルは街に入るなり、受付となる大きな建物の展望台から谷を眺めていた。
崖に張り付く家々、渡された橋から垂れ下がる建物、そんな向こう岸までかなりの距離がある谷の間で見たことのない物がたくさんあり、羽の生えた人々が飛んでいる光景が目に入ればワクワクする心は落ち着くことなど忘れてしまうだろう。
「レシル、この国の説明してくれるみたいだから戻ってこーい。」
ジークの声に気づき名残惜しそうに展望台を後にするレシル。「いくらでも後で見れるだろ」とジークに言われ納得し、説明を受ければ聞く話、見せられる資料に先ほどと変わらぬワクワクが込み上げてくるのであった。
「アティカスにようこそ、お話は伺っておりますので早速、この国やこれからのあなたたちがすべきことを説明させていただきます。」
「ここは、アティカスの街ではありますが巫女様がいる場所からはかなり離れたところに位置しています。そのため、まず巫女様のいる海側の街に行ってもらうことになります。」
「今いるのはこの大谷区画ですので、大通りの道をひたすら進んでいき海まで行ってください。今から向かっても馬車を使えば夕方前には着きますのでそのようにされるのをお勧めします。」
「ちょっと待って!区画って他にどんなところがあるの?あと、そんなにこの街は大きいの?」
「はい、とても大きい街ですよ。何せ大陸一ですからね。区画はここ「大谷」をはじめ、「森林」、「海洋」、「海浜」と大きく四つに分かれています。街をちょうど十字に四分割して想像すると覚えやすいですよ。左上の今いるのが「大谷」、その右は「海洋」巫女様が居てあなたたちがこれから目指す区画ですね。その下が「海浜」、最後に「森林」。どうですか?簡単にですが想像しやすいでしょ?」
説明してくれている女性は、初めこそしっかりと敬語を使い話していたが段々と崩れてきている。レシルにとっては堅苦しいのはあまり好きではないので寧ろありであった。しかし、礼儀がおろそかになったことでレシルもまた、女性に対して礼儀が無くなっていくのであった。
「大通りを進めば海洋区画まで行けるとのことでしたが、他の区画には行けないんですか?」
「どの区画に行くこともできますよ。あくまでも大通りは海洋区画に向かうための大きな道の俗称のようなもので、行ってしまえばそれぞれの区画から伸びる三本しかないです。また、その大通りから枝分かれするように道が伸びているので、ちゃんと他の区画に行くことはできます。」
「なんか、街の中にいるのに今までの旅と変わらねー気がするな!」
「全くですね、ここまで大きな国とは想像していた以上です。」
「ふふふ、そう思われるのも仕方がないかもしれませんね。あくまでも街ですので、道を歩けばいたるところに家があり、住人が暮らしています。そのことは忘れないでくださいね。まあ、逆に言えば道に迷いでもしたら近くの人に聞けるという事なので安心してくださいね。」
「ねぇ、この街の人口とか知りたい!あと、名産品とか観光名所とかおすすめのお土産とかおいしい料理とか!そうだ、歴史とかにも興味あるから博物館とか図書館とか記念館とか・・・・。色々教えて!!!!」
「「「・・・・・・・・・。」」」
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「お姉さん色々教えて~!!!!!」
初めの内こそ女性は色々レシルの質問に、できうる限り答えていたがそれでも尽きることなく出て切る質問に最後はジークが中に入り、今現在服を引かれ説明を受けた建物を後にし大通りを引きずられているのだった。
「もう、せっかく色々聞けたのに!」
「いいかげんにしろよ、お姉さん困ってたじゃないか。少しは遠慮しろって。」
「そうですよレシル。いつもならもっと落ち着いてるのにどうしたんですか?それに、自分で調べる方がためになると思いますよ。幸い、海洋区画には大きな図書館があるようですし、巫女さんにお願いすれば色々教えてくれるかもしれませんよ。」
「!!! よし、早くいこう!!! ジーク、馬車を探すぞ!」
レシルは服をひっぱっている手を離させると、ジークに叫びかけながら走り出し、馬車を探して先に行ってしまうのでした。慌てて、二人も追いかけていきますが大通りだけあって人は少なくなく、レシルを見失いそうになりながら捕まえ馬車を探します。
レシル達が探している場所は、大通りに設けられた「大谷広場」と言われる場所で、谷に渡されている巨大な橋の上にある。そこでは地上と遜色ない賑わいを見せ、人が多いため、たまに橋の上だということを忘れそうになった。
レシル達はここで食材の買い足しや必要な物の補充を済ませつつ馬車を探していき、「海洋区画」に行く荷車に乗せてもらえることになった。
「なんか、のーんびりしてるな。」
「そうだな、眠くなるな。」
「ダメですよ、、、眠った、、ら、、、。」
言っている本人が一番眠気に襲われているバルロ。二人も眠気に誘われていると、乗せてくれた荷車のおじさんが「寝ててもいいよ、着いたら起こすから」と言ってくれたため、その言葉に甘え眠ることにするのだった・・・・・。
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