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6 白い猿

2018/1/22 修正を入れました。

崖棚の下から聞こえた、鳴き声をたどり魔物の子小ザルを見つけ助けた。

聖樹によって癒されていく小ザルの横でレシルは聖樹のツタに包まれ小ザルと共に眠りにつく・・・。

___________________________________________


眠りに落ちたレシルは、朝日の日差しに起こされた。

まだ残る眠気の中、聖樹はいつもと変わらぬ顔で挨拶をしてくる。挨拶を返しレシルは、はっと思い出した。


「ねえ、あの小ザルはどうなったの?」


聖樹は、ちょっと難しそうな顔を見せていた。そんな顔にレシルの、心は不安があふれ出してくる。

恐る恐るではあったが聖樹の言葉を待っていると、聖樹はレシルを包んでいたツタをゆるめ地面におろすとツタを泉の方へ向けた。

泉の方を見ると、泉の周りにある茂みに白い毛並みが見え昨日助けた小ザルであろう魔物がいた。

レシルは元気になった小ザルの姿を見て喜んだが、聖樹の顔はすぐれない。レシルは、そんな聖樹の様子に気づかず、小ザルのもとへ駆け寄っていった。

レシルが小ザルの傍まで近づくと、小ザルは茂みの中から出てきて口を大きく開け叫びながら威嚇してきた。

叫ぶ小ザルにたじらうレシルに、聖樹はこの小ザルをどうしたいのか聞いてきた。


「えっと、森に逃がすとか?・・・」


疑問形の答えを返すレシルにためため息つき、困った顔を見せる。


「逃がすのは賛成だけど、逃がすには骨が折れそうだね・・・。」


聖樹の答えに疑問を持ったので、詳しく話を聞くと、どうやら治療し終わったあと小ザルは目を覚ますとツタを無理やり抜け出してこの崖棚を暴れまわったらしい。

はじめこそ逃げようと、走り去ったがここが崖棚で下にサルといえど簡単には下りられないことがわかると暴れまわり、日が昇る前にやっと落ち着いたらしい。

そんな話を聞いて、レシルはこの小サルをどうしようか考えていると聖樹が無理やりツタで捕まえて下へ下ろそうかと提案してきたが、レシルはすぐに却下した。

レシルは、何とかするために簡単に考えた。餌付けや力関係を示すため戦うなどいろいろ考えたがこれからどうすべきか決めかねていると、聖樹から獣魔にするのはどうかと提案してきた。


「え、獣魔の契約って俺にもできるの!?」


「できるよ、私が手伝ってだけどね。」


その言葉にレシルは目をキラキラさせて聖樹に詰め寄る。知識としてそのような魔法があることは知ったいたレシルだったがやはり興味津々らしい。

聖樹は「ここまで食いつくとは」と思ったのだろう、ちょっと引き気味にいつもの勉強のように獣魔について教え始めた。


獣魔とは、この世界のいたるところに生息している魔物モンスターの中でも契約を用いて従属化させた魔物のことを総称して言う。

モンスターには強さがあり、上には、Sから下には、Fまである。そして、それぞれのランクのモンスターをさらに、+、既存ランク、-、と三段階に分けることができるらしい。

ちなみに、あの小ザルは「F - ランク」くらいで、モンスターの中ではもっとも低いランクであるため、だからほかのモンスターに襲われていたんじゃないかと聖樹は予想が付け加わる。


モンスターは、その種族や生息している環境で生まれながらにしてのランクが変わってくるがそれ以外に、生きた年月や戦闘や経験などでそのランクは変動していく。

ちなみに、聞くところによるとドラゴンは生まれながらにして、C -ほどの力をもち100年も生きれば、Aランクに入るくらいまで成長するらしい。


「簡単なところでは、こんなものですか。なにか、質問はある?」


「えっと、獣魔になったモンスターも成長するの?」


「もちろん成長する。一応、契約を結んでも魔物だからね。ただし、獣魔となった魔物は普通とはちょっと変わった成長をしたりすることがあるらしい。」


レシルはこれから獣魔にしようとしている小ザルがどのように成長するのか内心期待に胸を膨らませていた。

獣魔について話し終わると聖樹は契約するまでの流れを説明しだした。

まず、契約の魔方陣を魔力を使って描き、魔物にその魔方陣を展開させた後、何らかの方法で魔物を納得・・・させてから魔方陣がその体にあとを残せば終わりらしい。

軽くまとめてみたが、聖樹の話にはたまにニュアンスで話しているような理解しにくいことが多々あった。

レシルが、この説明で一番困ったのは何らかの方法で納得させるという点だ。

何納得って!、どうすればいいのかわからず、聖樹に聞き返せば、「私にもわかんない」と返ってきた。

聖樹曰、人によってさまざまなやり方をしているらしい。

戦い屈服させたもの、餌付けに成功したもの、幼い時から共に過ごし心を通わせていたもの、脅迫などもあったらしい・・・。

それらの説明を受け、レシルは契約の流れをイメージすることができたので早速聖樹に魔方陣を用意してもらった。

聖樹から渡されたのは、指の先にちょこんと乗った水滴のようなものだったが明らかに違っていた、逆さにしても滴り落ちることはないし、振り回しても指先に付いたままだ。魔方陣を凝縮したものらしいそれを色々とやっていると、聖樹から補足説明が付け加わる。


「魔物に触れて、魔方陣に魔力を流し展開されたらテイムのスタート!頑張ってね。」


聖樹は、笑顔でそう言うとツタで細い糸をより合わせたり、その糸で何かを編み始めた。

一度に複数の作業をしているためか集中しているらしく、こちらに目向きをしなくなったのでレシルは、小ザルを獣魔にすべく近づいていく。

小ザルは、ある程度近づいてきたレシルに前と同じように威嚇してきたが威嚇に動じずさらに近づく。

そんなレシルに、小ザルは茂みの中に姿を隠した。茂みをかき分けようとしたとき、小ザルが突然飛び出してきてレシルを引っ掻こうとする。

レシルは、とっさにかわし一歩引いたが小ザルはさらレシルの左腕につかまり顔を引っ掻こうと上ってくる。

左腕を振るい、右手で払いつつ小ザルの背中を捕まえ引きはがす。

小ザルは、投げられたがバランスを取り地面を転がりつつも無傷だった。レシルは、爪を立てられレシルの左腕には血が垂れたが気にせず少しにやけた。

にやけるレシルに、小ザルは警戒した。

再び二人がぶつかり合い、引っ掻いたり、殴ったり、噛みついたり、蹴飛ばしたりしていると、小ザルが聖樹の方へ蹴飛ばされ飛んで行った。

聖樹はいきなりのことでびっくりして作業を中断、小ザルは聖樹のツタが編んでいた布やそれに使っていた糸をつかみぐちゃぐちゃにして暴れ出した。

驚いたときに地面に落とした糸を持ち、土煙をあげながら暴れた小ザルだったが煙の収まる頃には糸に絡まり身動きが取れなくなっていました・・・。

レシルは自分が戦っていた相手が、身動きの取れなくなっている姿に笑いが込み上げてきたが聖樹が怖い顔で微笑んでいたので、俺の笑いはどこかへ行ってしまった・・・。


小ザルが必死になって、絡まった糸から脱出しようとしていると聖樹のツタでさらにぐるぐる巻きにされ締め付けられながら、怖い笑顔がドアップで迫ってきた。

殺気にも似たものを向けてくる笑顔と、身動きの取れない状況に慌てふためき暴れたがキャパオーバー・・・。


小ザルは気絶した。そんな、小ザルに聖樹はふん!と空気をはくとツタをほどきレシルに放り投げた。

とっさにキャッチしたレシルを確認すると聖樹はため息をつきつつ、散らかした糸を直しまた編み物を始めた。



レシルは、キャッチした小ザルが当分目を覚ましそうにないことを確認するとそのまま絡まった糸をほどいていった。ついでに展開させた魔方陣を確認しようとしたとき、すでに魔方陣はなくなっていた・・・。

痛いのを我慢して、腕から引きはがした時に付けた魔方陣が飛んだハプニングで水の泡に消え、レシルは腕の中で気絶している小ザルをテイムできなかったことに落ち込むしかなかった・・・・。


興がそがれ今日のテイムを諦めたレシルは聖樹の用意した夕食を食べ気持ちを切り替え、眠りにつく。

食事を用意してくれた聖樹は、小ザルを気絶させた後からずっと編み物をやっている。

聖樹曰、「私は寝なくても問題ない」らしい・・・。







次の朝、横になるってレシルが目を覚ますと、茂み近くで寝かせていたはずの小ザルが体の上で寝ていた。

今ならと、小ザルを両手でしっかりとつかむと、小ザルが目を大きく開く。レシルはそのまま聖樹の元へ行き、寝ずに編み物をやり続け尚もやっている聖樹に契約の魔方陣を頼んだ。

聖樹が編むのをやめ、小ザルに目を向けると聖樹は嬉しそうに微笑んだ。


「レシル、おめでとう!その小ザルと獣魔契約できたんだね。」


聖樹の言葉にレシルはしばしフリーズしたが、そんなレシルにお構いなしに聖樹は獣魔契約の最後の説明をしだしレシルは、はっと起動し聖樹の説明をきいた。

獣魔契約は、名前を与えて初めてその者の獣魔となるらしく、さらに与える際には魔力を消費するため魔力の少ない状態でテイムをするのはやらないようにとのことだった。


レシルは、なぜテイムができているか後回しにして小ザルに名前を付けることにした。

サルに関する名前で、いい名前がないか考えているとふと神話に出てくる神の名前が浮かんだのでそこから名をもらうことにした。


「よし決めた、お前の名前は「タヒコ」だ!」


レシルが名前を大きく小ザルに向き合って呼ぶと、小ザルの体が少し光ったように見えた。タヒコは掴む手を抜け出し肩へ来ると頬をこすりつけてきたのでお互い嬉しそうに頬を擦りあわせた。


「レシル、獣魔契約も無事に出来たから魔法をそろそろ覚えようか!」


レシルに頼まれ続けていたが教えようとしなかった魔法を教えてくれるという聖樹に、レシルはタヒコを腕に抱き寄せ顔の前まで持ち上げ嬉しさをこれ以上見られないように我慢していたが吊り上がる口元や、細くなる目元が聖樹にはばっちり見えていた。


そんなレシルを聖樹は暖かく見つめ、これから忙しくなるであろう今後のことを考えていた・・・。





読んでいただいてありがとうございます。

よければ、また読んでください。

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