49 「精神」
レシルは、バルロの無くなったお金を探して、部屋の中を探し回りました。もしものことも考えて、自分の収納の中も確認しましたがどこにもあらず、見つかりませんでした。
ジークにも、探してもらおうと部屋に向かうと中でバタバタと物音が聞こえました。
中に「どうしたか」と入れば、ジークが黒い服を着た男を羽交い絞めにしている所でした。
「おー、レシルバルロ。ちょうどいいところにって!!!立ち去ろうとするんじゃない!!!!!」
「なんだよ、お楽しみの最中じゃなかったのか?」
「うんなわけあるか!レシル早くロープを出してくれ。バルロこいつを縛るぞ。」
「う”ーう”-う”う”う”!!!!!」
ジークは男の首に手を回し、喉を締めながら男の体を全身を使って拘束してました。男も必死に逃げようとしていましたがジークはそれを許さず、部屋に来たレシルとバルロによって完全に捕まりました。
ジークによると明け方に商人たちの動き出す音で目が覚め、起きるとこの男が荷物をあさっていたので捕まえようと戦いになったが拮抗しあい何とか先ほどの状況に持ち込み、レシル達を待っていたらしい。
「ふう、助かったぜ。ありがとな二人とも。」
「いえいえ、さしたことはしてませんよ。気にしないでください。レシルなにかありましたか?」
「武器以外なら、いくつか出てきたがこれバルロのじゃないか?」
レシルは、男を薬で眠らせたあと持ち物を確認していた。出てきたのはお金の入った袋が四つと、小粒の宝石が入った袋と何かわからない薬であった。持ち物は少ないが価値や使用用途がある物なのだろうとレシルは思い、宝石と薬は回収した。
バルロにお金を返し、残った三つの袋をどうしようかと考え始める。
ジークとバルロは、誰の者か分からないし俺たちが貰えばいいと言うがレシルは「本当にいいのか?」と思ってしまう。結局、答えを出し切れなかったレシルはジークの意見に従おうとしたが一袋だけ宿に預けることにした。
「もったいねーぜ。せっかく、手に入るのによ。」
「そうですよ。もしそれが先に宿を出た商人の物だったら取りに来るわけないですし、貰といた方がいいですよ。」
「いいの!とりあえず、二袋は貰うことにしたんだから、一袋は預けることにしたっていいじゃないか。」
「どうせ、宿の人がネコババしますよ。」
「それでも。」
レシルは、部屋を出て宿の人に袋を拾ったことにして預けに行きました。ジークとバルロは、まだもったいなさそうな顔をしていましたが、気にしないことにしました。レシルが袋を預けて戻ってくると、盗人の男は目を覚ましていました。
「レシル、こいつと知り合いか?俺たちが聞いても、なんも言わないくせにレシルと話をさせろだと。」
「え?俺はこんなやつ知らないけど。」
レシルが部屋に入り、扉を締めようとしたとき椅子に縛られた状態で座っていた男が一瞬で動きたし、ロープをほどきレシルの真ん前にやってきた。
ジークとバルロは、そのまま意識を無くし床に倒れこんでしまった。男は、レシルが構える隙を与えずどこから出したのかナイフをレシルののど元に構えた。
「君がレシルであってるかな?僕の名前はレオっていうんだ。みんな君に注目してるからさ、一目見たくてここまで来たんだ。」
突然のことに固まり、状況を理解して冷や汗を流すレシル。男の名前はレオ。その名を聞いても、レシルには心当たりは全くない。首に突きつけられたナイフに、緊張の糸がピーンと張りつめこの状況を何とかしようと考えを巡らせる。
「逃げようとしても無理だよ。僕は心を読めるからね。魔法を使おうものなら、容赦なく切っちゃうからよ。」
レシルは、逃げ出すために魔法で不意打ちをかけようと考えていたがそれを言い当てられてしまい、レオの言葉に新表性が出てきてしまった。もし、レオの言うことが真実だとしたら逃げ出すことはまず不可能だとレシルは思った。その時、レシルの服の中からレオに向かって「風の刃」が放たれた。
男は、レシルから飛びのき驚いた顔でレシルを見つめる。
レシルは、その隙に風の壁を自分の周りに作り、魔法をいつでも放てるようにした。
「いい獣魔をお持ちのようで。獣魔がいるなんて気づきませんでしたよ。」
「タヒコありがとう助かった。」
「キッキッ!」
タヒコは旅に出てからレシルの服の中に隠れて過ごすことが多かった。そのため、今回もレシルの服の中にいたのだがレシルの危機に魔法を使って助けたのだった。
タヒコの不意打ちで男の優勢は崩れ去り、今はにらみ合っている状況だったが、突然男はナイフをしまい両手を挙げた。
「やめやめ。こんなことしても仕方ない。レシル、僕の宝石と薬を返してくれないか?お金はあげるからさ。」
「・・・・。何を企んでる?」
「なんにも、ただ返してほしいだけ。とりあえず、返してくれたら話をしてあげるよ。ただの盗人ではなく、「見守る者」としてね。」
レシルは、「見守る者」と言う単語に驚いてしまった。見守る者と言うことは、前にあった双子と同じ連中と言う事であった。レシルは、警戒を緩めるつもりはなったが話を聞きたいと思い宝石と薬を収納からだし投げ渡した。レオは、受け取るとレシル同様収納にしまってしまった。レシルは、自分以外の収納を初めて見て、また驚くことになった。そして、収納を持つがゆえに何を出されるか分からないことを考慮してさらに警戒を強めるのであった。
「ありがとう。じゃあ、これお礼ね。」
警戒をさらに強めていたレシルだったが、レオの姿を一瞬で見失いレシルは額に触れる感触を感じてレオを発見した。レオは風の壁をたやすく越えレシルの額に中指を当てていたが、レシルが気付き魔法で振り払うともといた位置にひらりと戻り話し始めた。
「危ないな。せっかく力を与えてあげたのに。レシルは合格かな、僕を振り払ったりいい獣魔を持ってるし。これからが、楽しみな逸材かもね。」
「なに言ってるんだ、レオ、色々話してくれるんじゃないのかよ。それなのに不意打ちなんて・・・。」
「何もしてないじゃないか。力をあげただけだよ。僕の力{精神}をね。」
「この力は、対象を認識して心やその内を知ることができる力だよ。まあ、使いこなすのは大変だし難しいけどね。あと、心が強い奴なんかには効かなかったりするし精神系の魔法を使われたりするとヤバいんだけどね。まあ、なれれば便利な力だよ。」
「俺にくれた力に関してはわかった。それはともかく聞きたいことがある。お前たち、見守る者は何人いるんだ?あと、なぜ俺に関わってくる?お前たちは、見守るだけの存在だろ。」
レオは少しだまりレシルを見つめ、未だ警戒をとくことなく風の壁を張っているレシルにニヤリと笑いかけた。
「一つだけ質問に答えてあげるよ。僕たちはの人数は全部で十四人。もちろん、僕や双子を入れてね。さて、目的は達したし失礼しようかな。それじゃあね、レシル。僕たちを、見つけられたら全部教えてあげるよ、バイバイ。」
「ちょ!まて!!」
レシルの言葉虚しく、レオは消えその気配はどこにもなくなっていました。レシルは倒れているジークとバルロを起こしに駆け寄りました。未だ気絶している二人に魔法で水を作り浴びせ起こそうとします。
2人は目を覚まし、寝ぼけたように起き上がりましたがすぐに男のことを探し始めレシルに聞きました。
どうやら、双子の時のように記憶から消された様子はなくしっかりと覚えているようでした。
レシルは、男が逃げたことを教えとりあえずレオについての話を終わらせました。これ以上話をしていても仕方がないし、旅を続けなければならないため、旅の準備をして出発することにしました。予定していた時間よりも遅くなった出発でしたがレシル達は村を出ました。
レシルは二人の後ろから静かに歩いていきます。二人は、今朝の男について話あっているようです。
やはり、まだ気になっているようでそれなりに二人とも盛り上がっていました。レシルは、そんな二人にレオから貰った「精神」の力を使ってみることにしました。何となくで使ってみたがうまく言ったようでレシルの中に二人の感情が伝わってきました。二人とも、今話している内容と変わらない感情を持っているようでしたが、ジークはともかくバルロに関しては言葉にしているほどレオについて怒っていないようで、それよりもお金に関して残念がっているようです。
「(バルロって案外、顔に出さないタイプなんだな・・・・。)」
バルロの知らなかった思考を知ることとなったレシルは、バルロに関して少し複雑な気持ちになりました。
レシルは、とりあえずバルロのことは置いといて「精神」の力になれようとこれから練習していこうと決め歩きつつ、練習のため力を使い続けるのでした・・・・。
読んでいただいてありがとうございます。
よければ、また読んでください。




