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44 「サンフラワー」採取

山のふもとを沿うように進んで行くと、ちょっとした岩場にたどり着いた。そこには、泥が不自然に落ちていた。

泥は大きな岩から、小さな岩にまであちらこちらに散らばっておりさらに進むと、岩場ではなく沼地と言えそうなほど泥が多く、岩場の面影はなくなっていた。


「変なとこだな。水源なんて、見当たらなかったのに。」


「前に来た時は、沼なんてなかったぞ。それにこの泥、普通の泥と何か違うような・・・。」


イブルは、靴の裏についた泥を地面に擦り付けながら気になって違和感を三人に告げると、レシルは気配探知を行った。

レシルは、沼状になっている領域全体を調べ驚きの声をあげた。


「魔物がいるぞ!」


「なに!?イブルさん、バルロ!魔物がいるらしい、気をつけろ。」


それを聞いたジークが、二人に注意を促し声をあげた。

レシルは、魔物の場所を指し示しジーク達は倒すためその方向に進んでいったが、レシルはあたりの沼に向かって魔法を次々に放っていく。

ジーク達が向かった先に魔物は居るが、辺りにも小さな魔物の気配があったためだ。

レシルが魔法をいくつも放ち、魔物を倒していくうちに魔法によって魔物が泥の中よりはじき出され姿を見ることができた。大きさは小さかったが少なくとも二種類の魔物がいた。一つは泥の色と同じ色をしたスライムで、もう一つは泥と同じ色のムツゴロウのような魚型の魔物だった。

ジーク達はレシルの露払いのおかげで、さした邪魔が入ることなく魔物の元に行くことができた。

岩の上に、牛ほどはあろうかと言う泥の塊。しかし、それは絶えず形を変えていた。この沼のボスともいるであろう、泥のスライムであった。すかさず、剣を抜きスライムを切りつけていくがダメージがあるようには感じられない。


「なんだこいつ!剣に手ごたえがないぞ。」


「スライムなら体のどこかに、核があったと思います。それを突けば倒せるはずです。」


「俺に任せろ!せいや!!!!!」


ジークの振るう剣は水に突き立てるように空振りに終わり、バルロの言葉の通り核を探して剣を振るい続けた。しかし、三人の剣は核を捕えることができずに体力が消耗されていった。

それにしびれを切らしたのか、イブルが剣をしまい岩の上を走りスライムに突進をかけた。スライムも触手を伸ばしジーク達の剣をいなしたり攻撃したりしていたが、イブルの突進をまともにくらい体の半分が吹き飛んでいった。

吹き飛んで細かくなった体はまた一つに戻るために集まろうとし、残った半分は何事もなかったかのように丸くなり飛んでいった体を取りに行こうとしているのか、岩の上から泥の中に入りそのままどこにいるのか分からなくなってしまった。


「くそ!どこ行った!」


「二人とも集まれ、相手が弱ったとしても引きずり込まれたらひとたまりもない!」


イブルは、ジークとバルロを集め互いが互いを助け合えるように呼びかけながらスライムを探す。

緊張した空気が辺りを包み、姿は見えないが膠着した状態となった。そこに、あらかたザコを倒したレシルがジーク達に追いついてきた。


「ジーク。そっちはどうだ、終わったか?」


レシルは、何も知らないがため普通にここまで来てしまった。ジーク達が陣取っている岩の上に向かって沼を進もうとしたとき、レシルの足に何かが触れた・・・。


「レシル!!!」


レシルは転び、吹きあがる泥しぶきの隙間から姿が消えました。三人がレシルがいたところを中心に、辺りを探しますが見当たりません。


「レシルー!!」「レシル返事をしてください!」「小僧ー、どこだー!」


三人が三人、スライムのことなど気にせずレシルを大声で叫び探しました。すると、姿が見えなくなってさして時間を置かずに、沼の一角から轟音が聞こえてきました。そちらに三人が一斉に振り向き見たのは、噴き上がる水蒸気に飛び散ったジェル状のなにか・・・・。

その中には泥だらけになり、とても不機嫌そうな顔のレシルが立っていました。


「「レシル!!」」「小僧!」


三人がレシルの姿を目にしたとたんに走り出し、無事であることを確認しようと駆け寄ろうとしました。

さっきまでのレシルと違うのに初めに気づいたのはジークでした。


「待て二人とも!    おい、レシル大丈夫か?」


呼び止められ、足を止めた二人はなにかに警戒するジークの姿に自分たちも警戒しはじめレシルを見ました。

イブルは、あのスライムに何かされたのではないかと考え何があってもいいように剣に手が伸びていました。

立ち込める水蒸気がだんだんと無くなっていき、レシルの姿がはっきりと見えるようになった時バルロはジークが警戒していた意味が分かりました。


レシルの体は、泥にまみれていたが太陽の光を反すような光沢があった。ジークが恐る恐る声をかけようとしたとき、横からイブルが何事もなかったかのようにレシルに声をかけました。


「おう、小僧。無事でよかった。二人ともなんなんでもねぇじゃねえか。警戒してるみてぇだったから、スライムに何かされたんじゃないかと心配・・・・・。」


イブルの言葉が終わる前に、レシルはイブルの体に抱き着きました。イブル自身、何があったのか、子供ゆえに怖くて抱き着いてきたのかと初めは思ったが、どうも違うようだと思い始めました。

レシルは、体をイブルに擦り泥を塗りつけはじめたのでした。「やめろ」と嫌がり騒ぐイブルだったが、レシルは離れようとせずにがっちりと腰を掴んでいた。イブルは力を込め無理やりレシルを剥がしとり、ジークの方に放り投げ受け止めさせた。

レシルは、宿主を変えた寄生虫のようにジークの腰に手を回ししっかりと掴まった。


「レ、レシル・・?   い、一旦落ち着け。魔法できれいにできるだろ!」


ジークの恐る恐るの言葉から、助言の言葉が発せられた時何かが切れた・・・。

レシルの手の締め付けがさらに強くなり、レシルが「ファイアーボール」を生み出した途端レシルが燃え出し掴まるジークに燃え移り始めた。


「あちい!!!!!!!レシル離れろ!!!」


これがほんとの「火事場のバカ 力」、レシルを剥がし泥の中にダイブ!火を消えほとっ一息つくジークでしたが、そんなことをしている間に今度はバルロがレシルに捕まっていました。


「レ、、、、。」   ボッ!


バルロの場合、一言すら話す隙を与えず燃え出し火が燃え移ったところで手が解けたので、ジークのように泥に体を沈めるバルロ。

燃え盛るレシルは、そのままイブルの元に再び走り出した。


「来るな小僧ー!!!!」


全力で逃げるイブルであったが、足場の悪い沼地では速度も出ず身軽なレシルに捕まり二人と同じ運命をたどってしまった・・・・。





「はあ!!!!!スッキリした!」


三人がレシルのように泥まみれになったことで、気は済んだようで笑顔を見せるレシル。

逆に腑に落ちず、理不尽さに文句を言いたげな三人。




要するに今回の事をまとめると、助けに来たのにいきなりスライムに泥まみれにされ、あげく殺されかけたことに対するレシルの嫌がらせである。

なぜレシルが燃えたかと言うと、あのスライムは取り込んだ死骸が体内でガスを生み、それをため込んでいたようで逃げだそうと放った魔法で爆発を起こしたのであった。そして、レシルが纏っていた泥はガスを豊富に含んだ泥でガスを常に出していたため炎を纏うことができ、また服についた泥が断熱の役割を果たしたためレシルはこの嫌がらせを決行したのだった。


レシルは、苦労して覚えた炎水玉アクアフレイムを使い一瞬にして泥を洗い流し自在に風と炎を使い服を乾かした。


「よし、完璧!さすが俺!! 練習といつもの修行を欠かさなかった俺、偉い!」


レシルは文字通り、心も体もスッキリとしたが他三名は一人清々しいレシルを見つめ、背後を取っていた。

ジーと見つめる視線に振り向くレシル。今にも爆発しそうな三人にも、魔法を使い泥をきれいにしてあげるのでした。



「痛い!あんなに、強く殴らなくてもいいじゃん。」


レシルの頭には、たんこぶができていました。ジークからの制裁は、三人分と言う事で一発殴られたのです。今でもレシルは文句を言っています。


「もとはと言えばレシル!お前が俺たちにも泥をつけたからだろ!」


「でも、しっかりキレイにしたじゃん。むしろ、前よりもきれいになったんじゃないか?」


「レシルの言い分はともかく道ずれにしたかったのでしょう」とバルロが言葉にするがイブルは「小僧は案外すごいんだな」などと、みんながみんなバラバラであった。

そんな、会話を程々に一休みしたレシル達は暗くなる前に「サンフラワー」を採取しようと立ち上がろうとしたとき、レシルのついた手に泥が触れ「また汚れた」と「水の造像」アクアクリエイトを使って洗い流そうとした。沼にある岩の上で魔法を使い、水により手に着いた泥は洗い流され立っていた岩場の泥もきれいになった。みんなのところに戻ろうと、向きを変えると足元の岩が崩れ、沼に足が浸かってしまった・・・。


「はあ!!!!!!!!!なんでだよ!なんだ?俺がジーク達に八つ当たりした罰ってか!」


レシルに降りかかった、不運にキレ。文句を大きな声で怒鳴り叫びながら足を沼から上げると崩れた岩の隙間に花が咲いていました。

もしかしたらと思いましたがとりあえず、もう一度水で足をきれいにした後イブルを呼ぶことにしました。


「おお!!これだ、これ!よく見つけたな。」


「やっぱり!足元の岩が崩れて出てきたんだ。俺の、日頃の行いがいいからだな。」


「なるほどな、だから魔物に荒らされることのなく育ったってわけか。」


「でも、光がたくさん当たる所に本来は育つんですよね?こんな、穴の中で・・・・。」


「だな。まあ、良く分からねぇが光の反射だの、隙間からの光だの、魔物がたくさんいたからだの、本当のことはわからねえが推測はいくらでもできるから、どうだっていいんじゃねぇか?」


こんなところで育った理由に関しては疑問に思うこともあったが、何はともあれ「サンフラワー」の採取を無事に完了したレシル達であった。

ちなみに、レシルの日頃の行いについてツッコむものは誰もおらず、レシルは少し寂しく感じたのは内緒の話・・・・。


読んでいただいてありがとうございます。

よければ、また読んでください。

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