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42 双子

その日の夜・・・。

レシルは、みんなが寝静まった真夜中に物音で目が覚めた。

「ゴソゴソ」と言う音が、二つ。何かが動く音が聞こえ、体を起こし辺りを見渡せば双子の姿がなかった。

用を足しに行ったのかと初めは思ったが、ここが安全地帯であっても夜の森は危険が少なからずあるためレシルは、二人を追いかけてテントを出ていった。


テントを出て、辺りを見渡しても二人は見当たらず気配を探って二人を見つけた。

2人は、テントから少し離れたところを歩いているようで今もどんどん離れて行っている。まずいと思い、レシルは追いかけ二人を連れ戻そうとした。


「「あーあ、起きて来ちゃったんだ。」」


見つけた二人に声をかける前に、レシルの方を向き声を発する二人には昼間見た時とは違う雰囲気を纏っていた。レシルは、少し警戒をし始め双子の様子を探りつつ何事もなかったかのように話し出す。


「いきなりいなくなって心配したよ。さあ、帰ろ。夜は夜で危険だよ。」


レシルが言葉をかけ、連れ戻そうとするが二人の顔に変化はなくその雰囲気も変わらず纏っていた。

2人は、互いに顔を見合わせ小声で話をした後レシルを今度はじーと見つめだし話はじめた。


「君には、私たちの魔法が効かないのかな?不思議だね。」「不思議だね。」


「僕たちの魔法が効かないのは、君がこの世の人じゃないからかな?」「そうじゃないかな?」


「じゃあ、どうしようか?」「ホントね、どうしようか?」


2人の会話は、確実に昼間の時に話した双子の物ではなかった。なにより、レシルに対して「この世の人じゃない」と言った点についてレシルは驚きを隠せなかった。

今まで、誰にも言っていない隠してきた秘密をこの双子は言い当てた。もちろん、謝って話すことは絶対にしていない。このことを知る者は、赤子のころ育ててくれた聖樹くらい・・・・・。

レシルは、引っかかるものを感じて考え出した。

聖樹はもういないが、聖樹は特別な存在・・・。

同じような存在であった、あのトラはレシルの正体に気づくことはなかった・・・・。

レシルは、その二点から、ある仮説を思いついた。

特別な存在ならば、レシルの正体に気づくことができるのでは?と考え付いた。そして、あのトラは、聖樹と比べればまだ、若かったことを思い出しこの仮説を踏まえて双子に語り掛けた。


「お前たちは、何者だ?双子の体で何をするつもりだ?」


「なにを言ってるのかな君?この体は、自分の物だよ。」「そうよ。私たちのよ。」


「じゃあ、質問を変える。お前たちは昼間話した双子じゃないだろう。でも、その二人の中にいるお前たちは、聖樹のような特別な存在じゃないかと考えてる。どうなんだ?」


2人は互いの顔を見合わせ、驚いた顔をしていたが呆れた顔にすぐに変わってしまった。


「なるほどね、わかったわ。あなたになら、教えてあげてもいいわね。」「そうだね、君になら大丈夫そうだ。」


2人は、まるで一人でしゃべっているかのように声を合わせ説明しだした。


「「私たちは、「見守る者」体を亡くした今も生き物の体を借りて見守り続ける者。世界を超え来し汝に、わずかながらの力を与えよう。汝の行く末を我らはこれからも見守り続けよう。」」


双子の言葉が終わると、強い眠気に襲われ抵抗虚しくレシルはその場に倒れてしまった。

眠ったレシルは、夢を見た。不思議な双子が、夢の中で言葉を交わすよりも多くのことを伝えてくれた。

レシルは、夢の中で双子に疑問を思ったことを聞きましたが何一つ答えは帰って来ませんでした。夢の双子は、レシルに与えた力について教えてくれました。レシルが得た力、それは「共鳴」の力。

自分の心をつなぐ力、人の気持ちを知り、伝える力・・・。



「レシル、レシル・・・。起きて、、。」


レシルは、目を覚まし起こしてくれたシュシュの呆れた顔が目に入ってくる。いつも起きる時間からだいぶ遅れて目を覚ましたレシルは、テントの中を見渡します。双子を探し、シュシュに聞きましたがシュシュは「誰それ?」と全く知らない様子。テントを出て、ジーク達にも聞いてみるがやはり知らないようだった。

レシルは、キツネにつままれたような状態に自分に自信がなくなってきましたが、そんなことを思っていると頭の中に感情が流れ込んできました。

言葉ではなく、レシルを心配している感情を感じ驚き「なんだこれはと」戸惑いだしました。そして、知りました。その感情は、タヒコがレシルに向かって送ってくれていた物であったことを・・・。


「これが、あの見守る者とか言ってたあいつらが与えた力・・。」


レシルは、今双子にあったことが夢でない事、この力によってタヒコと意思疎通が取れるようになったことをしり「見守る者」と名乗った双子のことがさらに気になりましたが素直に感謝することにしました。


「レシル、食事にするぞ。早く来い。」


その声に、シュシュがレシルの手を引きみんながいる焚火の傍まで行き、朝食を食べました。

ジーク達は、昨日あった奴隷商とのことについて話していますが、話の中にはやはり、双子のことは出てきません。とりあえず、双子のことを忘れることにして、レシルは「共鳴」の使い方をよく知り使えるようにしようと思いました。


食事も終わり、今日中にノホウの着けるように荷車を出発させます。

みんな、相変わらず思い思いに話をしていますが、レシルはタヒコと「共鳴」の練習を行っていました。

声を口に出さず、心で念じて指示を出します。


「(タヒコ、シュシュのところまで行って戻ってこい。)」


レシルが心で念じるとタヒコが指示道理に行動し帰って来ます。そして、タヒコの「なんでこんなことするのかな?」と言う、感情もしっかりと伝わってきました。

今度は、距離について調べます。タヒコに、できるだけ遠くに行ってもらい、後から指示を出し戻ってくるようにするとちゃんと伝わったようで返事も帰って来ました。

どうやら、レシルにとってとても良い力をもらえたと今では心から感謝していました。


その後もレシルは様々な試みをして、「タヒコを返して魔法の行使」や「収納の共有化」、「五感共有」などができることを見つけました。これにより、レシルの出来ることが大幅に広がることとなりました。



レシル達は、長い道のりの果て何とか予定通り六日で「ノホウ」へたどり着くことができました。


「それでは皆さん、色々とお世話になりました。また機会がありました、お会いしましょう。」


ノホウに着いたということは、シュシュたちとの別れも来た事を意味しシュシュは今、涙を一生懸命拭いている真っ最中です。初めこそ、レシルとうまく話せず、距離を取っていたシュシュですが今ではレシル達との別れをとても悲しんでいました。ディグは、そんなシュシュに「仕方のないことだ」と言いますが、簡単に割り切れるはずもなく、しかし頭では理解していて歯がゆい気持ちをシュシュは抱いていました。


「シュシュ、あんまり泣くなよ。また会えるさ。俺たちは冒険者だ、色んな所を旅をする。もし、ノホウに来ることがあればシュシュに会いに行くよ。」


「レシル、そういうときの決め文句は、「愛してるとか、迎えに来る」とかですよ。」


「言えるか!そんな言葉!!!」


バルロは、相変わらず面白そうなことに首を突っ込んできますがレシルは、そういったキザなことを言うタイプではなく、堅実で紳士なキャラをしていたいようでバルロに軽く怒ります。

シュシュは泣き止みましたがやはりまだ受け入れられないような顔をして、別れようとしているレシル達を見つめていました。ジークは、そんな視線に耐えられなかったのかレシルにどうにかして来いと頼みました。

レシルは、「どうしろと」と言う顔を見せましたが、シュシュの元に行くとハグした後「またな」と言って去って行きました。

シュシュは、いきなりのことに頬をそめ呆然と立ち尽くしてしまい、悲しげな視線はなくなり、レシル達は「ノホウ」の街に入りました。


街に入りすぐに目についたのは、多くの農作物を運ぶ荷車でした。レシル達は、門を入ってすぐのところに居ましたが運ばれる荷車に思わず足を止め見入ってしまいました。


「すげえ、こんなに物に溢れてる街とは・・・。」


ジークも、バルロも、もちろんレシルも初めて見る街の光景に驚き自然と道の先に立ち並ぶ店に興味が移ります。

店に並ぶ農作物は、どれも色がよく新鮮さが伝わる物ばかりでそれでいて何より、とっても安い!

根菜から始まり葉物、果実、多肉植物までいろいろな形の物が並んでいます。昼時と言うこと相俟って、店の呼び込みでとてもにぎわっていました


「二人とも、そろそろ宿を探そう。それにギルドにも行かないと。」


「お、おう。そうだったな。やっぱり、国が違えば食べ物も違うな。」


「食べ物ばかりですか?私は、食べ物もそうですがこの街の住人達の方が気になりますね。」


バルロが気になるのも無理はないだろう。この街の住人の約半数以上が獣人であり、今までにない街だからである。

そんな街の住人達には、さまざまな種類がいる。犬、猫、クマ、ウサギなど、身近な者から数は少ないがエルフなんかも居たりする。


「確かにな、これだけ色んな種族がいると見てるだけでも面白そうだ。」


「話がそれてきてるぞ。早く宿を探そう。」


レシルの号令で、宿探しが始まり宿が決まったら、ギルドに向かう。この街に来るまでの間に、倒した魔物の報酬を受け取ることと、換金のためだ。この街には、二日ほど滞在することになっているので簡単な依頼をついでに見るつもりだった。

ギルドに着き中に入れは、やはりどこのギルドも同じような雰囲気を持っており賑わっていたが、獣人が多い街だけあって獣人の冒険者が少なからずいた。獣人だけあって、普通の人よりも体が大きい者が多くレシルなど簡単につぶされてしまいそうだ。


「ジーク、俺は依頼を見に行けそうにないから、適当に見てきてくれ。バルロは、常駐依頼の報酬を受け取りに、俺は換金してくる。」


三人、それぞれの役割に動き出しことを済ませる。ジークは、依頼が張り出されているボードまで来てみると、さすがにこんな時間に残っている物だけあって、難しい物や時間のかかる物など要するに不人気の依頼ばかりであった。しかし、中身を確認してみればガトークでは見たことのない物の回収や魔物退治など気になる物は多かった。


「コトン!おう、すまねえ。ちゃんと、見ていなかった。」


「おお、大丈夫さ。何ら問題ねえよ。うーん?見かけねえ顔だなどこから来たんだ?」


「ありがとう。ザークス聖王国からだ。旅の途中で寄ったんだ。」


ジークがぶつかったのは、猪の獣人だった。どうにも酒を飲んでいるらしく、少し酔っているようだ。

なんとも、よく笑ったり真剣になったりと変化の激しいこの男とは、何となく息があいそうと感じたジークであった・・・・。


読んでいただいてありがとうございます。

よければ、また読んでください。

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