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4 成長

こんにちは

今回、いつもよりは長いと思います。


2018/1/22 修正を入れました。

木さんこと、聖樹にいろんなことを教わった・・・・。

___________________________________________


俺は、聖樹の体たる大木を目にし聖樹を信じ多くのことを学ぼうと心に決めた・・・。


聖樹は、ひとしきり話をし終わった頃、自分に対してわずかに心を開いてくれた赤ん坊を見つめこの子に何をしてあげればいいかと考えていた。


「ねぇ、私は君を何て呼べばいいかな?人というものは、名前が必要なのだろ?私は、あまり頓着しないが・・・・。もしあるのなら、教えてくれないかい?」


俺は、名前と突然言われてとっさに、昔のつまりは前世で生きていた時の名前をしゃべろうとしたがどうしても思い出すことができなかった。

前世での歴史、知識、物の名前などは思い出すことができるのにどうしても自分の名前や自分が生きていたころの思い出など自分に関することは何一つ思い出すことができなかった・・・。


俺が知識や自我を持っていて、自分に関して思い出せないことに驚き焦っていると聖樹は自分が悪いことを聞いてしまったと思ったのか、気まずそうに謝ってきた。

俺は、すぐに謝るようなことはないと心の中で説明した。俺の説明を聞いて、少し申し訳なさそうにしていたがすぐに切り替えて名前を私が付けると言い出した。


「ちょっと嫌なことを聞いちゃったみたいですね・・・。でも大丈夫、名前がないなら私がつけてあげます!いい名前を考えますね!!!」


そう言って、聖樹はぶつぶつとつぶやきながらいろいろと考え出した。

つぶやいている言葉に耳を傾ければ、俺の知っている言葉も多かったが全くわからない言葉も多く、音?のようなものも多くあった。

そんなことをしている横で俺は、身動きも取れずただただ、ぶつぶつとつぶやく聖樹をおいていつの間にか寝てしまった・・・。


俺が目を覚ますと、すでに日は真上を過ぎ傾き始めていた。


「あ、起きた?やっと名前をきめたよ!  レシルって名前はどうかな?」


「う・・・うん、いんじゃないかな・・はぁ~~。・・・うん!?ちょ、ちょっとまっって!!!」


俺は、昼寝をしてしまったためか頭がボーとしていて、適当に返事をしてしまった。返事してすぐに待ったをかけたが、すでに遅かった。

聖樹に付けられた名前は、目に見えないモノだったが俺の名前として形となって心に刻まれた。

こうして俺は、自分でよく考えずに「レシル」という名前となった。

ま、赤ん坊なんて元々名前を考えることなんてできないんだから仕方がないが・・・・。選択肢は元々ないと言っても過言ではないが・・・・・・・・はぁ・・・。


そんな俺をしり目に、聖樹は名前をすんなり受け入れてくれたことを喜んでいた。言葉にしないが、俺のため息の理由が分かったと思うのでこれ以上なにも言わない。

俺はこうして、レシルと言う名前になった。

名前を得て、落ち着いたときにはだいぶ日が傾いてきていた。


そしてふと気づく、こちらに来てから何も食べてないのに腹が何一つ減っている感覚がなかった。

レシルが疑問に思っていると、聖樹が説明してくれた。

どうやら、聖樹がレシルに巻き付いているツタを通して栄養?力を流してくれているとのこと。

しかし、さすがに水分まではツタを使っても渡せないらしくのどが乾いたら直接口にくれると言った。もちろん口移しじゃないからな!これも、ツタを使ってだった!


そんな感じで、日は沈み辺りを暗闇が支配して光一つない世界が訪れた。

何も見えない視界に風で擦れる木々の音、崖を小石が転がる音、魔物の鳴き声など知らない場所、知らない世界での初めての夜は恐怖に怯えるには十分だった。

恐怖に心をざわつかせていると、辺りがほんの少し薄黄緑色に光り出した。

光の正体はすぐに分かった、聖樹だ。

聖樹は、静かに俺の顔を微笑みながら見つめておりちょっと恥ずかしくなって顔をそらし目をつむっていると、いつの間にか眠ってしまっていた。


朝になると聖樹は昨晩のことを何も言わず昨日と同じ様に接してくれた。

レシルはそれからというもの、夜に怯えることはなくなった。そして、動くことはできないので、聖樹のツタの中で眠り、それ以外の時間は聖樹と話をしたりして過ごす日々となった。




首も座り、体をある程度自分で動かせるようになったころツタのゆりかごから解放された。

体は昔よりも成長していたが、全体的に肉が少なく、骨がわずかに浮き出ており傍から見れば栄養失調を心配されるような体つきだった。

さすがに、そんな体を見た聖樹は心配していたが当の本人は不思議と気分、体の不調共に異常はなさそうだった。

レシルはこんな体ではあったが、動き回れるように体を地面にこすりつけながら動かし始めた。はじめのうちは聖樹も心配そうにしていたが、そのうちにどんなものを食べさせるか見守りつつも考えていた。


太陽が真上に来た頃、レシルは腹ばいから始まり、ハイハイができるようになり、壁を使って立ったり、物につかまりながらだが、歩けるようになっていた。

さすがに腹が減り、聖樹のもとへ行くと聖樹は木のみをいくつか用意してくれていた。

聖樹は、ツタで包み器用に皮をむいき木の実を口元へ運んでくれた。食べると、甘さあふれる果汁が口いっぱいに広がった。

赤ん坊になってから初めての食事であり、木の実の甘さに笑顔がこぼれまくった。

木の実は、桃のような感じのもので十二分に熟しており食べやすく、うまかった。そんな姿を見つめながら聖樹は俺を愛おしそうに見つめていたが俺は腹が膨れ心身ともに休んだ後、歩行の練習に励む。


レシルは、一週間程度で補助なしで歩けるようになっていた。

そこまで来ると、自分がいるところがどんなところなのかより詳しく見ることができた。


崖の中腹にある五メートル四方ほどのでっぱり(崖棚)に、聖樹の核たる木さん、寝るための葉っぱを集めた寝床、崖の壁際にある小さな湧き水がたまっている所、その周りの小さなベリーのような実をつける茂み・・・。

このベリーは酸味があり食べれるがたくさん食べると、口から酸味が抜けるまで他の味覚の感覚がなくなるのでたくさん食べないほうがいい・・・。

初めて食べたときはおいしくてたくさん食べてしまい、その日は食べたものがすべて酸っぱくしか感じなくなり、次の朝になるまで食事が辛かった・・・。


レシルが安全に行動できる範囲には、さしたる物はなかったが泉の周りにある葉っぱやツタで腰巻きを作り、レシルはとりあえず体を鍛えることにした。

聖樹に色んなトレーニングをしていると止められることもあったが、暖かく見守りつつどこから持ってきたのか大きめの布をレシルの体に合うようにして服を作ってくれていた。


レシルが自由に体を動かせるようになったことにより、聖樹がこの世界の文字と言葉を教えてくれることになった。

それからの日々は、午前中に勉強、午後にトレーニングをしている。







月日は流れ、レシルが五歳児くらいになる頃には、この世界の言葉、文字共にマスターし、聖樹の知識のもとにこの世界にいる種族の言葉を教えてもらった。

代表的なところでは、人、エルフ、獣人、あとは、精霊や妖精たちの言葉を少しだけ教えてもらった。


レシルは知識だけでなく、体つきも年相応の健康的な体へなっていた。

そして、聖樹にお願いして木刀を用意してもらい剣術も自己流で練習中である。


できることが多くなった子供は次、どんなことをするだろうか?

正解は、色んな所へ行こうとする。つまりは行動範囲の拡大、冒険だ!

レシルは、今までに崖棚の外へ行ったことがない。

確かに、高さがあり断崖絶壁ゆえ外敵のことを心配する必要性がないことなど利点も多いが俺はすでに、ここに飽きていた。


レシルが木刀を自由自在に使えるようになったころ、聖樹に意を決し崖の下へ行ってみたいことを伝えたのであった・・・・・・。


読んでいただいてありがとうございます。

よければ、また読んでください。

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