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31 種

顔を陥没させた狼の死体が、意識を亡くし倒れこむ。

レシルは、至近距離で爆発を受けたため気を失い顔中にやけどを負う形で横たわっていた。

ジークの様子を確認したバルロが、すぐさま駆け寄りレシルの状態を見ているとジークが小屋から出てきて横たわるレシルにを見て足を引きずりながら近づく。


「レシルは、大丈夫・・か?」


自身も吹き飛ばされた衝撃でもうろうとした意識の中、バルロにレシルのことを聞く。

バルロは、簡単な応急処置を手際よく行い処置していくがやけどの具合が見た目以上にひどく、やけどの周りの皮が溶け出し、処置している間も触れるたびに皮がはがれ肉があらわになっていた。

とりあえずの処置を施し、バルロはレシルを村長の家までレシルを抱き上げ急ぎ走りだす。


「ジーク、私は急ぎレシルを連れていきます。あとで様子を見に来ますので待っててください。」


この戦いで怪我の少なかったバルロは、二人の介抱に全力を注いだ。

村長を無理やり起こし、事情を説明した後村長を小屋に行かせ、レシルをベットに寝かせた後手持ちのポーションを傍に置きジークのもとに急ぎ戻り、ジークを回収しレシルの隣のベットに寝かせた。


「私は、後始末をしてきます。ジークはレシルさんと休んでいてください。」


バルロは、そう言って部屋を出ていきジークはその言葉に甘え眠りについた。

2人を休ませた後バルロはまず、村長に状況の説明と事の顛末を話し騒ぎに起きだした村人たちと言葉を交わしていった。話が終わり、事態が落ち着くとすでに日が昇り始めていたので一度二人のもとに様子を見に戻った。


村人たちが小屋を修理するために木材を運び、道具を持ち運ぶ姿を横目に村長宅の二人のいる部屋に向かう。


「おはよう。バルロ。その様子だと色々やってくれてたみたいだな、ありがとう。あと、置いてあったポーション飲ませてもらったから。」


部屋に入るとレシルはベットから起き上がり窓を見つめており、バルロに気づくと感謝の言葉をかけ顔に巻かれた包帯代わりの布を取っていく。バルロは布を取るレシルを止め、寝るように促しましたがレシルはそれを無視し布を取った後、何食わぬ顔で横になります。


「はあ、息苦しかった。さすがに、顔全部はやりすぎだろ。」


レシルは、笑いながらバルロの処置に文句を言いますがレシルの顔にはあちらこちらにあった酷い火傷が消えいつも通りの顔に戻っていました。

バルロはそのことに驚き、レシルに駆け寄りどうして治っているのか聞きこうと横になったばかりのレシルを起こし揺らします。


「やめろ、バルロ!話すから~。」


バルロは、とりあえず落ち着きを取り戻しレシルの話を聞きました。レシルは、簡単に「よくわからん」と片付けて寝ようとしますが、それで納得などできるはずはありません。レシルを再び起こし、真顔で向かい合い本当のことを聞こうと真剣です。レシルは、仕方がなくごまかしを入れつつ話しだすことにします。


「俺は元々、傷の治りが早いんだ。それに、バルロのポーションも合わさってこれだけ早く治ったんだと俺は思う。あ、後俺自身起きた後回復魔法を使ったしな。くれぐれも、このことは秘密だからな。」


「はあ、なるほど。すごく便利な体質を持ってるんですね。ちょっと羨ましく思ってしまいますがこのことは誰にも言いません。」


飽きれ気味な表情をされてしまったがなんとかバルロをごまかせたようで、レシルはもう少し休みたいと横になるとバルロも、さすがに疲れたと隣の部屋のベットに寝に行ったので一安心。


実際のところ、この超回復にはレシル自身驚いていた。もちろん、体の体質で治りが早いなどそんなことはない。しかし、どうしてすぐに治ったか思い当たる物がレシルにはあった。

レシルが自分の中を魔力で感じ取ると、いつも体内を流れる魔力の流れとは少し違う流れが胸より広がっていることを感じ取った。

胸に手を強く当て、流れの中心辺りを触れば微かに硬い感触があった。


「やっぱり、これのせいだよな。たぶん・・・。」


そう、レシルが触れた硬い物は昔レシルの体内に入った聖樹から貰った種であった。

レシル自身体の中をじかに見ている訳ではないので、はっきりと断言はできないでいたが種が入ってからレシルはその力が遥かに向上した。

強すぎて使いこなせるようになるまで苦労すくほどに変化を与たそれらが、種によって起こったことだと考えていた。レシルを乗せた虎が別れ際に言っていたことも相まってレシルはそう確信した。


「種は体内に取り込んでこそ真価を発揮する」   別れ際の虎の言葉の意味が・・・。

「とても貴重な物ゆえ無くしたり、誰かに取られたりせぬようにするのだぞ」  別れ際の忠告が・・・・。


そう考えることで、手元にあった情報が一つの形に組みあがり複雑な感情が湧き上がる。。


「すごい物を俺は貰ったんだな。聖樹・・・。ありがとう。」


レシルは、聖樹の残した物の価値を理解し感謝した。最後の最後まで、自分を思いそれこそ身を粉にして尽くしてくれた聖樹を思うとうれしさと悲しさで涙があふれ、朝日差し込む窓辺で一人静かに涙を流した。


涙を流していたレシルは、いつの間にかそのまま寝てしまい村長の遅めの訪問で目を覚ました。

ジークもレシル同様に目を覚まし、お互いの無事に一安心。

村長は、村の問題が解決したことに大層喜んでいたがレシル達の怪我のことを心配して見舞いに来たそうだ。

レシルも今ではすっかり元気な様子で、ジークも眠そうにしつつも顔色はいいと判断した村長は食事を持ってくると言って出ていった。


「大丈夫か?ジーク。派手にぶっ飛んでたけど。」


「ああ、装備も新しくしといてよかったぜ。衝撃は激しかったが大丈夫だ。」


「レシルこそ大丈夫かよ。バルロがかなり騒いでたが?」


レシルは、もう大丈夫なことを伝え互いに今回の健闘を称えた。そんなことをしていると、バルロが再び部屋にやってきてジークの様子を確認した後三人で食事をとった。


その後村を出たのは一日休養を取ってからだった。依頼だった狼を倒し、村人たちにとても感謝されながら村をガトークに向けて出発した。ちなみに、倒した狼はレシル達の手で解体され今はレシルの収納の中に半分ほど素材を隠し仕舞われており。残りは、手持ちの袋の中に入れ持ち帰る予定である。

体調は全快とは言えなかったが、かなり回復しているため帰る道筋では問題はなく来た時を逆になぞるように帰ってこれた。


ギルドで報告を済ませ、宿に戻ればしばらく活動を休むことにした。せめて、体が全快になるまでは簡単なクエストのみをこなすことで決まり三人が完全に復活するまでに三日ほどかかった。

今回、一番重傷だったのはレシルだが治るのに時間が掛かったのはジークだった。

関節やきしんだ骨の治療に思いのほか時間が掛かり、ジークはしばらく激しい動きをさけベットで過ごすことが多かったが、逆にバルロとレシルは二人で依頼をこなしたり炎水玉アクアフレイムの練習をしたりしていた。

レシルは、今では炎水玉アクアフレイムを完璧に使いこなせるようになり好きな大きさ、形に操作できるようになった。当初の目的であったお湯の生成も、作った炎水玉アクアフレイムに水をさらに作り足すことで実現できていた。


「これで、毎日桶さえあれば風呂に入れるな、」


「そんなことのために、この魔法を、スクロールを手に入れようとしてたんですか!?金貨100枚もするようなものを?」


バルロが思うことはもっともであったし、言っていることも至極当然の質問だ。

普通、そんなことのために大金を貯めてまで覚えたいとは考えないだろう。しかし、そんなことと言えることでもレシルにとっては大事なことであった。


練習をしていた二人は、ジークのいる宿に帰ろうと歩き出す。

隣を歩くレシルを目の端で見つつ、バルロは疑問に思うことがいくつかあった。

隣を歩くこの小さな子供は今、十二歳らしいがどう見てもそれよりも幼く見える姿であった。まあ、人によっては成長は遅かったり姿が幼いままだったりするのでまだいいとしよう。

では、この子どもの並外れた頭の良さはどうやって身に付けたのだろう?確かに、元々頭はいいのだろうし、レシルは本をよく読んでいるがそれだけで得られる知識などたかが知れている。植物学と魔物に関しては年相応とは言えないレベルでものを知っている。それに、この年で多くの魔法を習得しておりあまつさえ、不治の病の治療法の確立、しかも人体切開と言う普通の者ならば思いつかないような方法を思いつき実行し、成功させている事実。

レシルには、まだまだ秘密がありそうだとバルロは心の中でレシルへの興味を膨らませていくのであった。


そうこうしているうちに、宿に付きジークの様子を見舞う。


「ジーク、どうだ体の具合は・・・。」


そう言って、部屋に入ればジークは女性とベットでお楽しみ中であった・・・・。

レシルは一瞬でフリーズし、続けて入ってきたバルロはやれやれとあきれ顔を見せる。

当の本人ジークは、慌てふためき女性は服を素早く着ると頬をそめ部屋を走り出ていった。


「誤解だ!俺は彼女に体を、そう、拭いてもらっていただけだ。ほんとだ、信じてくれ!!!」


呆れてものも言えなさそうなバルロ、冷たく凍えた視線でジークを見つめ拒絶するレシル。そんな二人に、必死で抗議するがバルロが無言で肩をたたきなだめる。

その様子に、言い訳を信じてないことを悟ったジークはさらに言い訳を続けレシルに同意を求めるが冷たい目線に怖気づくばかり。


「な、なあ。レシルは、俺のこと信じてくれるよな?な?」


「・・・・・・・・。」


「わかってます。男ですもんね。仕方ないですよ、私も定期的に女性とはお付き合いしてますし・・・。」


「   !?    ケッ!   汚らわしいな・・二人とも・・・。」


レシルはバルロの言葉に驚き、ジークとフォローを入れたバルロの二人に吐き捨てるようにつぶやき部屋を出ていってしまった。

あまりの状況に今度は二人して固まり、再起動したのち出ていったレシルを探して二人はガトークの町中を探し回ることとなった・・・・・。


読んでいただいてありがとうございます。

よければ、また読んでください。

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