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27 常駐依頼

レシルは、ギルドであったことをジークには話しませんでした。

それでも、ジークはなにかあったことを感じ取ったようでさりげなく探りを入れます。


「レシル。ギルドはどうだったんだ?なんかわかったか?」


「ああ、ダンジョンで出てくる魔物とガトーク周辺に出てくる魔物の情報はあらかた頭に入れておいた。」


「さすがだな!これで、この街でバンバン稼げるな。」


ジークは、何があったのかは知ることはできませんでしたが確実に今現在、レシルの機嫌が悪いこととギルドから帰ってきたことを踏まえ、今までの傾向から揶揄われたりバカにされたりしたんだろうと勝手に思い込みました。

機嫌が悪かったレシルも、夕食を食べ始めれば機嫌は良くなっていました。三大欲求の一つである食欲を満たすことはとても有意義な時間です。そして、それに拍車をかけたのはラージ亭の老夫婦でした。

二人にとってレシルは、孫のように感じたのでしょう。いくら老舗と言えど宿に泊まりに来るのは大人ばかり、若い子供でもジークくらいの年の者くらいです。

レシルは、ラージ亭に泊まりに来た子供の中でも幼くそれでいて老夫婦が話しやすいと言う条件をもった存在だったのです。


「レシルさん、良ければこれも食べとくれ。私が作った豆の煮ものだよ。」


「ありがとうございます。おばあさん。」


子を亡くした二人にとって、話しやすく幼い見た目のレシルはたとえお客であっても孫のように接していた。

レシル自身はじめの内は、子供の様に扱われることに気を害したが老夫婦の話を聞き、優しく扱われることにいつの間にか気を許していた。

親と言う者がいないレシル。育ての親たるものはこの場にはおらず、祖父母との関りなど皆無だった。そんな身の上だったためだろうか、レシルはいつものようなツンとした口調で話さなくなっていた。


「おい、レシル。あんまり羽目を外すなよ。」


「ああ、もちろんだ。でも、なんだかうれしくてさ。俺には親もいなかったからな。こんな扱いされたのは初めてなんだ。」


レシルの頬をわずかに染め照れ臭そうに話す姿は、背伸びをしていた子供が見せるそれと同じだった。

老夫婦との話と食事を終わらせるとレシルは、生活魔法の練習を宿の裏でやることにした。

なぜ、生活魔法の練習を今さらするのかと言うとお湯が有料だからである。

宿をはじめ、民家には風呂と言うものはない。付いてるとするなら、王様の城や貴族の豪邸くらいであろう。そして、今現在レシルの懐は非常に苦しいものになってきている。もちろん、素材などを売れば金に換えることはできる。しかし、現物の金はかなり少なく素材を売るのももったいなく思っていた。

長旅で疲れた体を、お湯できれいにしようと思ってもお湯が買えないのである。そのため、レシルは魔法を複合させお湯を作り出そうとしているのだ。


「まずは、水を作って・・・。火で、お湯に変えるイメージ!」


レシルによって作られた、三十センチほどの水の玉。それに、表面を這わせるように火を巡らしていく。

お湯を作る魔法を作るなど簡単にはいかない。なので、既存の魔法をコントロールだけで合わせ同じ結果を出そうとしていた。

レシルは、今までにやってきた瞑想とコントロールの修行でやろうとしていたことは難なくできた。

しかし、思ったように熱を水に伝えることはできていなかった。

そろそろかと、桶に入れてみてもせいぜいぬるくなる程度。これではお湯とは言えないので、レシルは何度も繰り返す。今日のところは、同じ水に五回ほど火を巡らせるとこでお湯となった。


「はぁはぁ、こんだけやってやっとお湯になったか。はぁ、かなり先は長そうだ。」


作ったお湯が冷めないうちに、濡らした布で体を拭いていく。レシルが着ている服は、聖樹から貰った服で、その服には付加魔術で「浄化」が掛けられているため汚れることはない。


「浄化の魔法を覚えればこんな手間もかからなくなるな。機会があれば、覚えたいなぁ。」


体がきれいになり、部屋に戻ればジークが椅子に座りながら寝ていた。

昼間休んでいたくせにまだ寝るかと思い、イスのバランスを崩そうとする。


「なんだ、レシル戻ったのか。」


「チッ」


?を浮かべるジークにかまわず、服を着替えベットに入るレシル。

ジークも、いきなり機嫌の悪くなるレシルを疑問に思いつつ装備を脱いでベットで寝ようとする。


「明日は、狩りに行くからなタヒコ。がんばろうな。」


そんなジークを背にし、タヒコに一言駆ければタヒコは頷きレシルと共に眠りについた。




________________________________________________


レシル達が眠りについた頃、少なくない客で騒いでいる店が街にあった。

ロックドラゴン、宿をやっている酒場のこの店にはまだ客が残っていた。

そんな店の客席奥に、他の席から見にくい作りになった特別席で周りを余所に話し込む人物がいた。


「今日ギルドにちっこいガキが来ていたんですが、どうも身なりは小さいくせに魔法使いの様で。ここ最近来たみたいです。」


「そうか、そいつはパーティーを組んでるのかい?」


「さあ?詳しくは調べないとわかりませんが、見つけた時は一人で肩に小さなサルを連れているだけでした。図書館の方から出てきたので、何か調べていたのでしょう。」


「なるほど、ありがとう。これで足りるか?」


「へい、まいど。」


怪しげな会話をするものに、酒場のだれも気付くことはなく夜は更けていくのだった。






翌日、レシルとジークはギルドで常駐依頼を受けてガトーク周辺の森に来ていた。

すでにゴブリンとオーガを数体倒しているが、やはりアルスと違い魔物が少し強いと感じていたのだが二人に掛かれば何の苦でもなかった。

森の中には、アルスとは違った植物もあり採取する物が豊富にあった。

タヒコには、採取したものを一つずつ教えていき覚えたものがあるとレシルのためにとタヒコは頑張って集めるのであった。

その後も、オーガやグラスラビット、レッドリザードなど魔物を狩っていきノルマの数に達するまであまり時間はかからなかった。

時間にして、昼を少し過ぎたくらいには五十体の魔物を倒し、ギルドに帰ってきていた。


「お疲れまでした。こちらが今回の報酬になります。素材買取のお金も一緒に入れさせて頂きましたので後程ご確認ください。」


受付のラナから金の入った袋を受け取り、次の依頼を探しているジークのもとに向かう。


「ねえ、君。魔法使いかな?」


いきなり前に立ちふさがり話しかけてきたのは、茶色の髪をオールバックにしてピアスを付けた戦士風の青年だった。ジークよりは細身であったが、おちゃらけた服装と違いレシルを見定めるような目を向けている。


「あの何ですかいきなり。俺は、剣士ですよ。ちゃんと剣だってもってるじゃないですか。」


レシルは、嘘にならない範囲で自分が魔法を使えることをとっさに隠した。

魔法が使える者は限られている。レシルは、それを知っているからこそ無駄な物事を避けるため隠してきたのだが、今目の前の男と関われば避けてきた面倒事になると感じていた。


「そうですか。魔法使いならぜひパーティーを組みたいと思っていたんですけど。残念ですね~。」


何とも癪に障る言い方をしながら、その青年は去って行ったのでレシルも気に留めながらもジークと合流した。

ジークは、ガトークから西にある湖に住むゲイルフィッシュの捕獲の依頼書を選んでいた。

ゲイルフィッシュは、水の中に住む魔物で食べることができる。しかし、その気性は荒く風の魔法を使うことができるため捕獲は中々に難しい。

そんなゲイルフィッシュだが、魔法を使うことができる者がいなければの話であってレシルがいるから達成できるであろうと考えたジークは、それなりに頭を使っていると言えるだろう。


「レシル。この依頼はどうだ?お前がいれば何とかなるだろうし。今か行くか?それとも明日にするか?」


ジークは、やる気十分だったがすでに今日は依頼を一つこなしているし、昼過ぎで今から行ってどれくらいかかるか分からないので今日のところはやめて、明日に回すことにした。

依頼だけ受付で受注した後、宿に一度帰り二人は各々自由に過ごすことになった。

ジークは、防具屋や鍛冶屋を見に出かけ、レシルは魔法薬ポーションの生成と今日集めた素材の整理、瞑想などをやろうと考えていた。

レシルは、アルスを出る前に集めていた魔法薬生成の道具を収納から取り出し素材を混ぜ合わせていく。

加熱したり、経過を見たりする時のわずかな時間に集めた素材の確認をしながら、魔法薬を十本ほど作ったあと瞑想少しやり、レシルも街に行くことにした。


「魔法関係の店か詳しい人を知りませんか?」


「うん~。魔法関係の店なら、大通りを進んで広場を超えた先に確かあったと思ったが・・・。魔法関係で詳しい人となると、ギルドで聞いた方がいいと思いますよ。」


宿の老夫婦にヒントをもらい、レシルは昨日うまくいかなかったお湯を作る魔法、もしくは浄化魔法について知ろうと言われた店を目指して街を歩いた。

魔法に詳しい人物に関しては明日、ギルドに行ったついでに聞くことにして大道理を進めば、夕方と言うこともあり大通りは露店など人であふれていた。夕食の買い出しに来ている者、そのまま夕食を取る者、店を片付ける者、そんな人たちの間を抜けていけば道に並ぶ店の中に別の雰囲気を纏った店があった。

レシルが探していた店はまさにこの店で、中には魔法のかかった道具が多く並び中では紺色のローブを着て髭を生やした小さな老人が、椅子の上に立ち道具の並び替えをしていた。

八歳から背丈の変わらないレシルと同じくらいの高さしかない老人は、レシルが入ってきたことに気づくと椅子からピョンとおり挨拶をする。


「いらっしゃませ~。今日はどんなものをお求めですかな?」


丁寧に挨拶する老人は、レシルを出迎えに入口までローブの裾を引きずりながら近づいていく・・・。

笑顔を見せながら陽気に話しかける老人は、レシルを見て少し表情を崩したがレシルと話しながらその様子を観察していた。


読んでいただいてありがとうございます。

よければ、また読んでください。

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