26 ガトーク
レシルは、朝早く目を覚ました。
「距離があるが魔物がこの村の近くにいるみたいだな。」
レシルは起きるとすぐに服を着替え、旅路の準備をする。
ジークもレシルが起き出したことにより、目を覚ましレシルに続いて準備を済ませる。
「魔物か?」
ジークに、感じた気配のことを説明しわずかに警戒をしつつ支度が終われば村長に挨拶をして村を出ていく。幸い、村から魔物の位置はそれなりに距離がある。心配はいらないだろう。
レシルは、自分たちの旅を優先させ先を急ぐ。
朝日が朝露を乗せる葉たちに、光を屈折させられ二人の目にまぶしく入り込む。
日も登り、黒パンに燻製肉と野菜をはさんだサンドイッチを食べガトークを目指し進む。
結局、村を出た後三日の野宿と一日の別の村での滞在をしてガトークの砦が見えてくる位置までやって来ていた。
「やっと見えてきたぞ。あれがガトークだジーク。」
「やっと着くのか。やっぱり遠いな、結局途中から急いで歩いたけど五日ぐらいかかっちまったな。」
ガトークの門まで行き、入街のために手続きをして金を払い中に入っていく。ガトークの門をくぐるとそこにはもう一つ大きな壁があった。二つ目の壁を越え、ガトークの活気ある街に入る。
街並みは、レンガを使った建物が多くほとんどの建物は二階建てであったがどの建物も植物をどこかしらで育てており、赤っぽいレンガに緑色が生える形となりそうだいな雰囲気を醸し出していた。
「すげーなこの街並み。どの建物もちゃんと決められて作られたんだろうな、それでいてちゃんと自然を取り込んで堅苦しくないように考えられている。この街を作らせた奴はすごいな。」
レシルは、レンガ造りで洗練された街並みにテンションが上がっていたが、ジークは街並みよりも街に漂う食べ物や酒の匂いに興味をひかれていた。二人が興奮を抑え、これからの拠点となる宿を探して街を歩きだす。街並みが、ほぼ同じ建物が並ぶためどうにも方向感覚や道を覚えるのが大変そうだとレシルは思いつつ探し、三つの候補があがった。
一つ目、鳥のさえずり亭。二階建てで外見はレンガ造りの建物だが中は木の板をはって木の温かさを売りにしている大宿である。
二つ目、酒場件宿のロックドラゴン。二階が宿で一階が酒場と言う二足の草鞋の宿で、中々人気のある宿らしい。
三つ目、老夫婦が営む老舗、ラージ亭。古くからあることで最も多く名前が挙がった店であり、その経験から最も居心地がいいと評判らしい。
レシルは、宿探しで聞き集めた情報をジークと共有しどの宿にするのか決める。
「どの宿にするか。どの宿も、金額的にはさして変わらないみたいだが。レシルはどうする?」
「俺は、そうだな・・・。ラージ亭とかどうだ?落ち着いてそうだし、何より居心地がいいと聞いた人のほとんどが言ってたし。」
「じゃあ、そこにするか。」
ジークは特に反論することなくレシルの意見に賛成してくれました。
2人は、ラージ亭に宿をとることにし宿の名簿に記入します。
「はい、結構です。お二人様、同室一泊で銀を一枚いただきます。お部屋は、一階奥と二階の角部屋が空いておりますがどうなさいますか?」
「二階でお願いします。」
銀貨を先払いし、交換で鍵を受け取る。二人は、二階の部屋に着くと荷物を置きギルドに向かう。
他の街のギルドを見たことがなかったため、レシルはとてもワクワクしていた。ジークは、宿探しの際に外見だけ見たそうで、マルスのギルドよりも若干大きいとのこと。そういえば、ギルドに向かう道すがら立ち並ぶ冒険者向けの店はどこも活気づいていた。その訳は、立ち並ぶ商品を見てすぐに分かった。
どれもマルスでは見たことのない物ばかりか、道具自体が魔力を帯びている物も多く並んでいた。
ギルドに行く前に、近場の店で話を聞くとガトーク周辺のダンジョンから出土したものが多いそうだ。それだけでなく、ダンジョンから採れる素材を使って作られた道具も多くどれもレシルやジークが持つ装備よりも良い物ばかりだった。
懐も心もとなくなってきていたため、話を済ませ店主にまた来ると告げギルドに向かう。
「ジーク。ここで、バリバリ稼ぐぞ!」
レシルは、店に立ち並ぶ商品を見て俄然やる気をにじみ出していた。そして、ジークも一攫千金を狙えるこの街で稼ぎまくろうと考えていた。
ギルドに着けば、例に倣ってラナさんを探す。近くにいた冒険者に、ラナさんの居場所を聞き窓口に並ぶ。
ギルドの作りは基本的には変わっていない、しかし、やはり規模はアルスよりも大きく換金専門の窓口も用意されていた。
レシル達の番が来て、受付嬢にガトークで仕事をすることを告げ詳しい説明を求めた。
ラナは、他の職員に声をかけ二人は別室で説明を受けることとなった。
「初めまして、この街での説明をさせていただきます。ケープです。これからも、色々と関わることもあると思いますのでこれからよろしくお願いします。」
説明のために来てくれたのは、ケープと言う黄緑色の髪に眼鏡をかけた女性職員だった。
彼女は、レシルとジークを席に座らせるとこの街の簡単な説明とダンジョンについて説明をする。
ガトークで、依頼を受けることに関しては他のギルドでやっていたことと変わりなかったが難易度に関してはアルスよりも少し難しいものが多いとのこと。
ダンジョンに関しては、入るには通行手形が必要でそれを説明された時に手形の発行をケープさんにお願いした。
ダンジョン自体には、入り口や周辺に結界が常に張られ見張りの兵士や櫓が組まれ、その管轄は国がしているらしい。ダンジョンに関する新情報、新階層や新しい道に関しては報告義務があるそうだ。
入場料が掛からないのはありがたかったが、ダンジョン内でもルールはあり国の決めたルールは必ず守らなければ手形を取り上げられることとなっている。
「あのー、国の決めたルールについて詳しく知りたいんですけど。」
「はい、えっとですね。国の決めたルールに関しては必ず守るようにしてください。他にもルールはありますが、このルールは絶対です。簡単なことなので、そこまで構えることはありませんが大切なことです。」
ケープは軽く脅しを入れてきたが話によると、国決めのルールはギルド指導で守らるように色々しているらしい。
このルールは、大きく分けて三つ。さっきほども話に出たが、ダンジョン内の情報開示と報告義務。そして、希少アイテムの割引購入権理、ダンジョン内での一人一日十体のモンスター討伐。
ルールはこの三つだけだった。
どのルールも、冒険者として当たり前にやる事であるし、割引購入権理も国の利益や戦力増強と考えれば妥当なルールだとレシルは思った。
確かに、当事者となった場合を考えれば少し悔しくも思うが取り上げないだけましと考えることにした。
「国決めのルール以外のダンジョン内でのルールは、冒険者同士で殺し合いや、成果の奪い合い。迷惑行為など様々ありますがまあ、マナーの範囲内のことばかりですし、大丈夫でしょう。」
ケープは、話飽きたのか最後の方を簡単に説明すると話を切り上げ説明を終わらせた。ちなみに、ジークは話の途中から居眠りしている。
ジークを肘でつつき起こすと、ケープと共にホールまで戻ってきた。
手形の用意をしておくとケープに言われ、二人は早速依頼の張り出されているボードに向かった。
ボードには、常時受付可能な討伐依頼からダンジョン内でのアイテム探し、ダンジョン内での採掘などマルスで受けてきた依頼と同じものからダンジョン系のものまで依頼の幅は広かった。
この街に来たばかりと言うことを考えて常駐型の依頼をとりあえず受けることとした。さすがに活気があるだけあり、このような依頼でもマルスよりも報酬額は良かった。
依頼を決め、窓口にいけばラナさんが依頼の受付のあと手形を渡してくれた。
これから、ダンジョン内に入ることができるようになったわけだがまずは、目の前に依頼である。
この依頼の期限は三日。ガトーク周辺に出る魔物を五十体倒すことがノルマとなる。
この依頼は、人を襲う魔物であればカウントされるためまずは、魔物の性質を調べようとギルド内の図書室に向かう。
ジークは、先ほど頭を使ったためか宿で休むと帰ってしまったのでレシルとタヒコで情報収集だ。
この街で、宿を見つけた段階で昼食はすでに取っていたが図書館で、分厚い本を三冊も読み終えればさすがに腹が減った。
時間的には、夕方手前ぐらいだろうか、本を片付けここら周辺やダンジョン内で出てくる魔物についてあらかた調べつくしたので宿に向かう。
夕方のホールは、だいぶにぎわっていた。換金窓口には列ができており、ほかのどの窓口にも冒険者がいた。
そんな様子に目を取られ、出口に向かって行くと何かにつまずいてレシルは転んでしまった。
「いたたた。なんなんだよ・・・。」
転んだ足元を見れば、レシルをあざ笑うようにして悪そうな笑みを浮かべる冒険者たちがいた。
「おっと坊主、すまないな。どうも足癖が悪くてよ。ははははは」
わざとらしい口調、あざ笑う声、どれをとってもレシルは不快にしか感じなかった。
立ち上がり、服に着いたほこりを払い落しレシルは、怒りを飲み込んだあと宿に帰るため足早にギルドを後にする。
「あのくそども、今日は引くが今度やったらただじゃおかねえぇ。」
レシルは、外で怒りを言葉にし宿に帰りるのでした。
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