23 治療
カーミラの背にあった硬い物をレシルは、丁寧に調べていくとそれが骨でないことを確信した。
レシルは次に、魔力の流れから体の中を念入りに調べ上げ腰にあった物が瘴気を帯びた魔石であり日に日に大きくなってきていることをその後の観察で突き止めた。
この時、カーミラの体は胸辺りまで瘴気に蝕まれておりここからの回復を望むのは難しかった。
カーミラの主治医もここまで進行した現在、手の付けようがないとレシル指導の元治療法の確立に専念するようになっていた。
レシルは、カーミラをより詳しく診察していき一つの結論を出しレクトに告げた。
「レクト、確実に助かる保証はないが一つ方法を思いついた。前にも言ったが、カーミラの中にある魔石を取り出せば回復に向かうだろう、そのために考えた治療法は人体切開だ。」
「人体切開?」
「簡単に言えば、体を掻っ捌いて中にある魔石を取り出すって感じだ。そして、死ぬ前にもとに戻す。いうことは簡単だが、やるのは至難の業だ。もちろん、助かる確証はない。でも、やらないよりはやった方が可能性はある。 どうする?」
レクトは、自分の母が切り開かれるのを想像したのであろう、先ほどの血の通った色はなくなり今では青ざめていた。
不安を抱き、青ざめているレクトには悪いがこのまま何もしなくてもカーミラの命は一か月もないことを告げさせてもらった。
すでに瘴気の進行はかなり進んでいるのだ。たとえ、この人体切開が成功しても必ず助かる保証はできない。思いつく限りの説得と可能性を説明しレクトは、母カーミラの人体切開を了承した。
「では、今から言う物を用意してください。」
レシルは現代でいう手術を行うため、知りうる限り可能な限りの物を用意させた。
よく切れる小さな刃物、絹糸と針、度数の高い酒、眠り薬など・・・。
レシルに言われ集められたそれらは一つの部屋に集められ、次の日人体切開が行われた。
すでに意識のないカーミラに眠りの魔法をかけ、薬を飲ませる。そして、体を横のして背中の魔石を取り出すため刃をそっと突き立てた。黒く染まった肌を赤い血が流れ落ちていき、開かれた個所からは、真っ赤な肉が丸見えとなる。少しずつ奥に切り進み、魔石の一部が顔を見せる始める。肉に包まれるようにしてそこにあり、血管が魔石に絡みつくようになっており血管を傷つけないように丁寧に剥がしとっていく。時間にして五分、縫い合わせも合わせて十分をかけカーミラの魔石は体内から取り出された。
外で待つレクトにそれを告げれば、母の体から少しずつ瘴気が抜け出し元の肌の色に戻っていく光景に歓喜の声を上げた。
「ありがとう。本当にありがとう。」
カーミラの血を手に付けたままのレシルに、レクトは手を強く握り涙を流し感謝していた。
「これで、これ以上瘴気に蝕まれることはないでしょう。しかし、これから回復できるかはわかりません。回復魔法を施していますが、目を覚ますかどうか・・・。」
「いや、すでにここまで努力したんだ。たとえ助からなかったとしても、レシルさんを恨むことはありませんよ。俺は、母が苦しみから解放されたそれだけでも感謝します。」
レクトは、最悪の事態に関してもしっかりと覚悟を決めている様子を見せた。カーミラをもとの部屋に連れて行かせ、手術に使った部屋の窓を全開にあける。血の匂いが漂う部屋に新しい空気が入り込みよどんだ空気が無くなっていく。
「はあ、ようやく終わった。」
レシルは極度の緊張状態から解放され、ホッと一息を付く。
そして、これからのことを考え、これからの方針をカーミラの主治医と共に立てた。
方針として、カーミラには経過観察と回復促進の薬、回復魔法を使用をすることを決めた。
経過観察と薬については主治医が、回復魔法に関してはレシルが担当しカーミラの回復に最後まで付き合った。
カーミラは、若い母親だったためか比較的早く目を覚まし目覚ましい回復を見せ、一か月たたないうちに会話をすることができるまでに回復した。
「レシルさん、ありがとうございました。病にかかりながらも、今もこうしてレクトと共にいられるのはあなたのおかげです。心から、感謝いたします。」
ベットの上で体を起こし丁寧に礼を言うカーミラ。そんな母の回復を涙を流し笑みを浮かべるレクト。涙をこらえきれずハンカチで目を覆いながら泣いているノート。
三人の心はただ感謝と、ここに起きた奇跡を讃えていた。
カーミラの回復によって、レシルは今回の依頼を完遂むしろ追加報酬まで出される形で終わった。
「おー、レシル。やっと解放されたな。一か月以上かかりっきりだったな。」
「そりゃそうだろ、一つの病を治療法から探し出したんだむしろ早い方だ。」
レクトの家を出て、ジークと話しながらギルドに向かい街を歩く。
街を歩けば、いつものように声をかけられるがいつもとは違う呼ばれ方がちらほらと聞こえた。
それらを気にせずギルドに行けば聞き間違えることも聞き流すこともできない声でレシルは呼ばれた。
「お、我らがギルドの賢者様がお帰りになられたぞー。」
「「「おかえり、賢者様ー」」」
出迎えた、ギルドの者たちは皆一応にふざけだ笑顔を向けていた。
そう、小ばかに悪戯に玩具にしている顔だ。
「なんですかその変な呼び名は、バカにするはやめてください。」
「何にを言うのレシル君。レシル君は、今まで誰も治せなかった不治の病の治療法を発見し、助けたのよ。もうこれは賢者様と言っても過言ではない異形よ。」
ギルドに集う者たちはみな、うんうん、と頷くが皆の口元は少し吊り上がっていた。
賢者様と言われてもおかしくないほどの働きをレシルはした。しかし、皆が笑うのはレシルが、背も小さく威厳と言えるものや纏う覇気を感じさせないむしろかわいらしい子供が賢者、と言うギャップに皆一応にツボっていた。
ジークも例外なく。
「お前まで笑うな。」
ジークにツッコミを全身で入れたところで、みんなも我慢ができなくなり笑いだしホールは笑いに包まれたが、ガチギレしかかったレシルによって静間に帰る。
「いい加減にしろよ、お前たち。」
「も、もう、嫌ねレシル君。本気で怒らないでよ。あ!そうだギルマスがレシル君を呼んでたわよ、早く行って行って。」
ラナに背中を押されつつ、不機嫌のままホールを後にすれば安堵のため息が漏れ、レシルはギルド長室に向かった。
中では、ギルマスとマードさんが待っておりギルマスからランクの昇格を言い渡された。
よくわからず、聞き返せば今回の不治の病の治療法確立の功績をたたえ、昇格試験なしにランクが二つ上昇することになったらしく、青だったプレートは橙色のプレートとなった。
十二歳の若さでここまで来た者は未だかつてないことで、街中でしばらくの間レシルの噂が飛び交うこととなった。
そんなこんなで、一か月が経ちました。今現在、女性に囲まれ胸で圧迫死しそうです。周りの冒険者や通行人の男性たちには羨ましそうな目や怒りの眼差しを感じますがそれどころではありません。
実のところ、不治の病の件を発端にレシルのことが街中に広がり、レシル大好きな女性がギルド周辺んのみならず街中に広がってしまいました。今もみくちゃにされているのも、そんなレシル大好きな女性たちです。以上、説明、、終りょ、、、、、。ガク。
「おいよー、レシル起きろ。」
目を覚ますとベットの上で横になっており、目の前にはジークの顔がありました。
「ジークか、まさかまたか・・・・。はあ。」
「ああ、まただ。この一週間で二回目だぞ。少しは学習しろ。」
レシルは、今回のように女性によって気を失うことが今までに二回ほどありました。
ジークもはじめこそ複雑な気持ちでいましたが今ではあきれ果ててます。
レシル自身ジークに言われるまでもなく、何とかしようと努力をしているのですが女性にとっては子供の背伸びと変わらず、ただ可愛いと同じ結果に終わっています。
最近では、ギルドにまで女性が訪れることもあり、冒険者になって近づこうとするものまでいるとラナさんから聞いたこともありました。
さらには、獣魔契約しているはずのタヒコでさえ女性に捕まりそうになり別行動することが多くなってしまいました。
「はあ、旅にでも、でようかな・・・。」
「いいんじゃないか。冒険者なんだし、お前と旅するのも楽しそうだ。」
ぼそりとつぶやいた、一言にジークは乗る気満々のようでした。
ジークはその後も、ここからどの町に行くかとか、何をもっていこうとか考えを口にして同意を求めてきます。
レシルは、少し逃げ出すような気がして寂しい気持ちを抱いていましたがギルマスに相談することにしました。
「失礼します。ギルド長、旅に出ようと相談しに・・・。」
「だから、ギルマス。レシル君のファン組合を作りたいので許可を下さい!!!!」
大きな声で、ギルマスに訴えていたのはラナであった。開きかけた扉をそっと占め、ラナの話に耳を立てればどうやら、街で膨れ上がっているレシルのファンたちをまとめ上げ組合を設立しようとしているらしく、その直談判に来ていたようだった。
ギルマスも、勢いづいたラナに押され気味でうまく言い返せていない様子。ラナは持参した、参加希望者が書かれた束をギルマスの机にどさりと置き畳みかける。
「ギルマス、これだけ多くの住民からの要望です。組合設立に同意してください。」
「いや、私は反対はしないがレシル君の意思は・・・」
「ご心配は無用。レシル君は優しくて純真無垢な子供です。それをめでる私たちの気持ちなどあの子なら二つ返事で了承してくれます!!!!」
レシルの気持ちもあったもんじゃない、このセリフに完全に溺れ切っている様子のラナ。レシルは、すでにどうすることもできない事を悟り街からの脱出もとい旅に出ることを固く、硬く決意した。
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