21 気付き
レシルが、マルスに来てから三年ほど経ちました。十二歳となったレシル君は、やっと念願だった冒険者となることができる歳に達し、今日早速説明を受けることなった。
十二歳となったレシルだったが、来た頃と背丈も変わらず周りの者たちにはからかわれることもありませたが悔しい気持ちを抑え日々を過ごしてきました。
「レシル君、おめでとう。念願の冒険者にやっと慣れたね。」
嬉しそうに、ラナが祝福してくれた。周りでも、顔なじみの面々が祝福してくれている。
「やっとこれで、一緒に冒険に行けるなこれからが楽しみだ。」
ジークとの約束だったチーム登録も済ませ、レシルはこの日冒険者として再スタートしたのだった。
レシルは早速、依頼を受けようと依頼ボードを確認しに行った。並ぶ依頼は、さまざまにあったが最も多く張られている討伐系の依頼の中から選ぶ。
選んだのは、街周辺に出没するゴブリンやオークの討伐依頼を受けることにしたが今回はレシル一人で行くことにした。
ジークは、一緒に行こうとしたが自分より上の青プレートのジークを付き合わせるのは悪いと思い一人で草原に来ていた。
オークは、ゴブリンよりも頭が回り中には罠などを使う個体もいるらしく気をつけて辺りを探していた。
しかし、探せど出てくるのはゴブリンばかり。半日が過ぎる頃には、討伐数が三十を超えていた。
オークの出ないことに文句を言いつつ、辺りの気配を探れば少し離れたところに魔物の気配を感じ魔法を放つ。使ったのは、風の魔法エアーカッター。気を根元から切り裂き、茂みを切り飛ばせば探していたオークがわなを仕掛けている所であった。驚くオークに、間髪入れずに魔法を放ちその首を斬り飛ばす。
案外あっさりと、警戒していたオークが終わってしまい少々物足りなさを感じながらも今日のところは帰ることにした。
「ジーク、俺一人でゴブリン三十、オークを一匹倒したぞ。」
今日の成果を、誇らしげにジークに伝えればレシルをほめるがジークの今日の成果を見て少し驚いていた。
今日、ジークの倒したのはクマの魔物、グリズリーベアーであった。気性が荒く、力が強いため近接での討伐は厄介な相手であるはずの魔物がジークによって三頭討伐されたと聞き正直悔しさを覚えた。
「俺が、本気を出せばドラゴンだって狩れるからな。調子に乗るなよ。」
レシルの負けじと放った言葉は、辺りにいた者たちに笑いをもたらしホール内は一時笑いに溢れた。
心の中で、怒りがこみ上げ魔力を高め最大級の魔法を使おうと魔力を集めていく。そして、レシルはいつも以上の魔力をまとめ上げた時、自分のすべてを理解した。
純度の高い魔力が全身を駆け巡り、体の中にある聖樹から貰った種の存在を確かに感じた。種の鼓動を、種から溢れる魔力を。そして、聖樹に感じた暖かさを・・・。
ボーと佇むレシルの変化を、ジークは見逃さなかった。
「レシル、どうかしたのか?大丈夫だ、お前が強いのは知ってるから。」
「あ、ああ。今の俺なら国も亡ぼせるかもな・・。」
レシルがぼそりとつぶやいた言葉に気づかず、話は終わり解散となった。
レシルとジークは、チームとは名ばかりに個人で依頼を受ける日々を送っていたそんなある日、ドラゴン退治の緊急依頼が告知された。
内容は、目撃されたドラゴンの討伐もしくは迎撃によって追い返すこと。
2人はこれに参加することを決めた。集まった冒険者は二百を超え、それぞれの方面を担当する形で組分けされることになった。
レシル達の担当は、前線組への後方支援担当で空を飛ぶドラゴンや共に飛ぶ亜竜の排除なども行うことになり、次の日を準備をする。
「おい、レシル今回の戦闘楽しみだな。真近でドラゴンを見れるぜ。」
「そうだな、この街の冒険者は強いしたくさん勉強させてもらおう。」
2人は、戦いに胸膨らませドラゴンを待ち受ける。遠くの空に、影が見え始め迎撃用の高櫓が慌ただしくなる。
「ドラゴンを確認、全員配置に付け。迎撃用意。 放て!!!!!」
ギルマスの掛け声とともに、多くの矢が放たれ、魔法が飛び交った。亜竜たちが次々と落とされていき、レシル達も本体に向かってバリスタを放っていく。
放ったバリスタは、ドラゴンの纏う風に阻まれそのほとんどは届かずに落とされていく。ドラゴンがしっぽを振り回してくるが、結界や力自慢の冒険者によっていなされ、双方膠着状態に落ち着き始めていた。そんな状況を打破するために、ギルマスは各地に配置していた冒険者たちをかき集め、ドラゴンにぶつけることにした。
人が集まり今まで以上に、激しさを増していきドラゴン側を少しずつ押し始めたころドラゴンの一撃が戦場を焦土と化した。
ドラゴンのはなったブレスによって戦場の一部が何も残さずに消失。開けた大地に、佇むドラゴンが追い打ちにブレスを放ち結界によつて辺りに炎が飛散する。
そんな窮地に立たされ、時がとまったように固まる者は意識が戻ると共に狂気に襲われ心弱き者たちが逃げ出していく。
ジークも、狂気にかられた者の一人でり、泣いてこそいない物のレシルを連れて逃げ出そうとしていた。
「おい、早く逃げようぜ。あんなの勝てっこない!結界だっていつまでも持つわけない。レシル!!!」
「もう辺りには、誰もいなさそうだな。」
レシルは、周りにジーク以外の人がいないことを確認すると、魔方陣を空に描き始め複雑に線を重ねていく。
「ジーク、これが俺が今まで隠してた魔法で、今までの修行の成果だ。」
描かれた魔方陣が輝き、魔法が発動するとドラゴンに向かって一流の光の束が飛んでいきドラゴンの四肢を貫いていく。
四肢を貫かれ、悲鳴を上げながら倒れこむドラゴンに間髪入れずに最前線で戦っていた冒険者たちがとどめを刺していく。
そんな姿を、遠く誰もいなくなった櫓の上で静かに見守り勝利の雄たけびを聞きながらレシルはジークに顔を向けられずにいた。
自分が持っている、普通でない力をジークに知ってほしかった。でも、拒絶されることを心配してここまで明かした今でさえ怖くて顔を見れずにいた。
「今のは、お前がやったんだよな? すげーじゃないか!あんな魔法、誰も使えねえよ。」
「この力が怖くないのか?」
「怖いわけないだろ。驚いたけど、友達のお前が使った魔法だしお前は優しい奴だからな。」
ジークの興奮しきった顔に、あっけにとられながらレシルは嬉しかった。受け入れられたこと、これほど信頼されていたことに、涙をこぼしていた。
ドラゴンを倒したことにより、街ではお祭り騒ぎが連日続いきドラゴン退治に参加した冒険者たちには報酬がたくさん出された。
小金持ちとなった二人は、装備を一新。今回の討伐で、レシルがこっそり集めたドラゴンの素材でジークの胴を前よりもいいものに変えた。レシルはと言うと、魔法をより使いやすくするために魔法の杖を探していたが思うものが見つからず、悩んでいた。
金はあったが物がない、そんなことを考えながら街を進む。結局、一日かけて探し回ったが良いものは見つからず代用の物でしばらく我慢することにした。




