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20 大ムカデ

レシルが、虫との戦闘でケガをしてギルドに運ばれた。大事に至ることはなく、ギルドで事の顛末を説明し再びレシルは眠りに落ちていった。

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レシルの眠りはそう長くは続かなかった。レシルが眠りについて間もなく、ドアは勢いよく開かれ壁にぶつかる音が部屋に響いた。

部屋に入ってきたのはギルマス本人であった。レシルは、目を擦りながらギルマスを確認するとその剣幕に驚いた。傍に寝ていた、ラナとルーフェも飛び起き、突然現れたギルマスにぺこぺこと頭を下げる。


「どうしたんですか、いきなり。こんな朝早くに。」


「どうしたもない、君がケガをしたこともそうだが、先ほどルルから知らされたことについてより詳しく聞くためにここに来たのだ。」


ルルには先ほど起きた時、詳しい説明を追及され簡単ではあったがその概要と要点を説明していた。


「レシルが戦ったという大ムカデ。そいつは、この辺りにある洞窟にいたというのことで間違いないか?」


ギルマスは、持ってきた地図を広げ指をさす。そこは、レシルが昨日入った洞窟のある場所であったが辺りには特質して目立つ物がないこの場所を、なぜこんなにも必死に聞いて来るのかと疑問に思っていた。


「はい、この辺りにあった洞窟です。ここの洞窟に、甲虫系の虫が多く住み着いているという話を聞いてその素材を集めようと行ってみたんです。少し入ったところで、たくさんの虫に襲われて倒してると中から、大ムカデが出てきたんです。」


「ほう、それでレシルは逃げてきたと・・・。  そのムカデ、どのくらい強いと思った?」


「外に出てたとき、五匹の狼とムカデが戦うことがありましたがムカデはたやすく倒してました。なので、かなり強いかと。」


ギルマスは、何かを考えていた。考え込み、そしていきなり笑顔で声を上げる。


「よし、討伐依頼を出すことにする。話で聞くところの強さは、AからBと言ったところだろう。久方ぶりの、高難易度依頼になるだろうし力を持て余してた連中が喜ぶだろうな。 レシル、良い情報を感謝する。」


ギルマスは、そう言うと早速依頼を出すために出ていくのであった。


「なんで、凶悪な魔物の出現にあんなに大喜びしてるんですか!ふつう逆でしょ!!!」


「いやー、この街、案外冒険者のレベル高いのよ。他のところと比べると・・・。」


「そうそう、だけどその代わり難易度の高いクエストが取り合いになるってわけ。中には、他の町に行ってしまう冒険者さんも最近は出てきてるから、ギルド的には難易度の高い依頼は願ったりかなったりなのよ。それに、こういう依頼は、ギルド依頼で褒賞国持で発行できるから一石二鳥ってわけ。」


なるほどとしか言えないレシルであった。国絡みの説明であっても、つかえる事なく答える二人はさすがであるがレシルは何とも歯がゆう気持ちになっていた。自分が、逃げ出した相手を糸もたやすく倒せる冒険者がこの街にはたくさんいる事実に・・・。


レシルは、その日無事に退院もとい、いつもの日常に戻っていた。昨日から溜まっている書類を仕分け報告書をまとめ、掃除をこなしてやっと自分の時間。

傷は、だいぶ癒えもう後も残っていない。レシルは、昨日倒した死体の山から素材を回収するために街の外に行こうとする。ここでも、解体はできるのだがさすがに収納のことを隠せそうにないしいらない部分の処理も大変なので外でやろうということだ。

ホールを抜けると、ラナ達に捕まってしまうと思い裏口からこっそり門に向かう。

いつものように門を抜けるが、今回は門番に人にかなり強く忠告された。その言葉を右から左に流しつつ、話が終われば全速力で道を進む。

今日訪れたのは、昨日来た岩山から少し離れたところにある渓谷だ。ただの谷と言ってもいいかもしれない、大地にできた割れ目の淵でレシルは収納から昨日集めた大量の死体を取り出す。


「よし、準備完了。そろそろ出てきたらどうだ、ジーク。俺をつけてきたんだろ。」


「ははは、なんのことかな?俺は、たまたま昨日レシルが来てたっていう洞窟を探しに来てただけだぞ。」


「ま、そういうことにしとくか。ついでだから、ジークも手伝ってくれよ。」


レシルに言われ、ジークは木の陰から出てきてレシルの隣に座ると一緒に魔物の解体を始めた。素材をはぎ取り要らない部分は谷に落としていく。


「で、レシル。この死体の山はどこから出したんだ?」


「見てただろ。俺の収納魔法に入れといたやつだ。このことは誰にも言うなよ。」


「おう。」


その後は、タヒコを含めた三人でひたすら解体していくのであった。

日も暮れ始め、集まった素材をレシルがすべてしまっていきジークと共に街に帰る。

ギルドに戻り換金すればまとまった金になった。ジークにもお礼に、いくらか渡しジークと食事をとる。


「お前、魔法使えたんだな。剣も使えるし、冒険者になったらかなり稼げそうじゃねえか。」


「まあな、俺は冒険者になるために色々やってきたからな。でも、魔法のことは誰にも言うなよ。秘密にしてんだから。昔からの友人のジークだから教えたんだからな。ちゃんと守れよ。」


レシルがジークに、念入りに釘を刺しこの話は終わり食事にもどった。

ジークは、食事をしているレシルにこれからどうするのか聞いてきたので興味がなさそうに答えたが話は終わらなかった。レシルが冒険者になるにはまだ二年かかる。それゆえ、ジークは自身の力を磨きレシルが冒険者となった時チームを組もうと考えていたのだ。この話は、一応レシルも知っている。むしろ、子供のころからの約束に含まれていると考えていた。

しかし、ジークはこの話を嬉しそうに話し出す。


「もうこの話は何度もしてるだろ。俺が冒険者になったらチームを組む。それはもう決まってんだ、ジークは強くなるために依頼をバンバンこなせるように頑張れよ。」


ジークに軽く呆れながら応援して、今回のもろもろの話は終わったがその後、ギルマスから一応多くの人に心配をかけたということで一週間の外出禁止が言い渡され、ギルドをしばらく出られなくなってしまった。


レシルは、自分の仕事をいつものようにこなし自由な時間を瞑想をして過ごしていた。

外に出られないのならやる事はほとんどレシルはない。趣味のようなことなど特にないし、せいぜい素材の確認くらい・・・・。

レシルは、はっと自分の収納の中にしまっていた薬のことを思い出し、次にやる事を思いついた。

部屋を出て、ある場所に向かう。レシルが向かっている場所は、調合専門室。ギルドで使われているポーションやその他調合して生み出されるいろいろな物を取り扱っている錬金術の専門家が集まる所であった。


「すいません、調合専門術師のマードさんはいますか?」


部屋の中では、何人もの魔術師たちが錬金術を使ってポーションの作成に勤しんでいた。

その中の一人に教えられ、レシルは奥の個人研究室に入っていく。

そこでは、黒ずくめのローブに身を包んだ老婆が薬の研究をしていた。


「おや、レシルじゃないかい。この部屋まで来たのは初めてだね。でもなんで、こんなとこまで来たんだい?」


レシルと話しているのは、ギルドで調合関係の一切を取り仕切るマードと言う老婆であった。マードとレシルは、同じギルド職員と言うこともあり見知った間柄であった。レシルの持ってきた、書類にサインを書いたり、必要な素材を書いた書類をレシルに渡しに行ったりと仕事上関りは多かった。


「今日来たのは、ポーションの作り方を教えてもらおうかなと思ってきました。一応魔法は使えます。素材も、いくらかは持ってきてます。」


そう言うと、レシルはあらかじめ袋に詰めておいた薬草や自分で作った薬をマードに見せる。一通りを確認して、マードはすぐに話し出す。


「ポーションの作り方を知ってどうするつもりだい?ましてや、あんたが持ってきた薬草は中々いい物ばかり、この薬だってそこそこいい物だよ。この薬は、レシルが作ったんだろ。これが作れるならそれでいいじゃないか。」


「こんな薬よりもすぐに使えるポーションの方が便利です。俺は冒険者になるけど、自分で作れた方がいろいろ便利じゃないですか。だから、教えてください。」


マードは、レシルの答えに一瞬あっけにとられたが一応教えることを約束してくれた。

しかし、ここで色々と教える代わりに素材すべての提供しこれからも薬草を集めてくることになり、ポーションを作れるようになったらここでポーションづくりの手伝いをすると言う交換条件を付けられた。

いささか、レシルの方が損をしているように感じるかもしれないがギルドで作られるポーションは一般で流通している物とは違い即効性に優れており、冒険者御用達の代物なのだ。その作り方を教えてもらえるのだから普通は喜ぶであろうが、レシルはその価値をよく知らなくても他に当てがないため飲むしかなかったのだった。

レシルはその日から、調合室に通うことが日課となった。

調合室の外にある薬草畑の手入れや、様々な素材の整理、補充、在庫チェック、追加などマードにこき使われて今まで以上に疲れる日々を送りだした。レシルは、そんな合間を縫ってマードからポーションの作り方を教えてもらっていたのだが、案外早く作れるようになったため、ポーションづくりでさらにこき使われるようになってしまった。

そんな生活も、一週間を過ぎれば終わりとなった。外出禁止が解かれ、レシルは再びギルドの外に出られるようになったからだ。マードも、これ以上こき使えなくなり残念がっていたが最後は案外さっぱり別れることになった。


「ありがとうございました。また、薬草が集まったら持ってきますね。」


「ああ、そうしてくれると助かるよ。あんたが見つけたムカデ。この前退治されたみたいだけど、中々強い相手だったみたいで腕の立つ奴らでも怪我する奴が多かったらしくてね。ポーションの在庫もかなり消費されちまったのさ、おまけにポーションを普段から数本所持する奴らが前よりも増えたせいで生産が追い付かないんだよ。」


「そう言えは、最近採取系の依頼が多く出されていましたっけ。そのせいだったんですね。」


「そういう事、ま、こっちとしたら大変だけどコレがなかなかいい額、貰えるからねこれからも頑張るさ。」


マードは、指で輪っかを作りニヤニヤと話笑いレシルを見送る。

レシルは、ポーションづくりを一週間でマスターし冒険者を目指して修行に明け暮れるのであった。



読んでいただいてありがとうございます。

よければ、また読んでください。

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