17 ショートストーリー ~ 友達 ~
今回は短いお話です。次から、またいつも通りのお話を書きます。
レシルが村を出てから、一年ほど経った村でのお話です。
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[ねえ、お母さん。今日はどんなお仕事をしたの?]
そう、話し出したのは村でレシルと仲の良かったリアであった。
「うん?今日はね、隣のおばさんと一緒に夏用の種をもらいに村長さんの家に行ったよ。その帰り、ジーク君のお母さんに会ってね、ジーク君今ではだいぶ強くなったんですって。「昔の私よりかはまだまだだけど」なんて、三人で話し込んじゃった。」
「へえ、そうなんだ。最近会ってなかったから全然知らなかったな。あと一年もすれば、ジーク兄ちゃんも村を出るのかな?」
「あの子は、冒険者になりたがってるからね。そのために、頑張ってるんだし・・・・。寂しいかい?」
「そりゃ寂しいわよ。レシルも一年前に出て行っちゃったし。この後ジーク兄ちゃんも居なくなるのは寂しいわよ。」
リアは、ベットの上で背を起こして話しつつ、不機嫌そうにそっぽを向く。現在リアは、不治の病にかかっていた。足の先から、瘴気によって蝕まれていき、最後は全身が腐り落ちる病であった。この病には、進行を遅らせる方法はあっても治す方法はなかった。
「はあ、ジーク兄ちゃんもレシルみたいに何か思い出になる物くれるかな?」
そう言って、レシルから貰った蒼い石を胸元から取り出し見つめる。実は、この石はレシルから貰った薬草の束に忍ばせてあったもので、後から聞いてもレシルは顔も合わせず「知らない」の一点張りだったためリアが貰ったのだ。それでも、レシルからの贈り物としているのは手にした石を喜ぶリアを、レシルも頬を染めつつ嬉しそうに見ていたことを知っていたからであった。
「水の魔石だね。この辺りじゃ珍しいね。この魔石には、治癒と浄化に特化した特性を持ってるから、今のリアにとっては最高のお守りさ。」
「えへへ、そうなんだ。レシルが今でも傍で守ってくれてるのね。」
「そうかもね、ほら、さっさと横になりなさい。また寝込むことになるよ。」
リアをベットに寝かせるアンナ。母の言うことに従い、なされるがままのリア。
すでにリアの体は、半分ほど言う事を聞かなくなっていたがリアは、今も昔も変わらぬ笑顔を見せている。
「それじゃあ、またあとで来るね。(できればこの子が、少しでも長く生きられますように。)」
アンナは、ドアを閉めつつ一人娘のリアのため祈らずにはいられなかった・・・・。
ベットの上で、部屋に訪れる者との会話を楽しみにしていたリアは九歳の秋、中頃にこの世を去ることとなってしまった。
村長、アンナ、村の人々、皆リアのためにできうる限りを尽くしたが不治の病はリアを飲み込んでいった。
リアの遺体は、燃やされその灰は共同墓地に埋められた。アンナは、燃え盛るリアの死体を涙を流しながら見つめ燃え尽きると、その後旦那の胸に顔をうずめ声を漏らさないように声を出して泣いていた・・・・。
リアの身に付けていた物は、すべて処分されたが最後まで身に付けていた水の魔石だけは村長の計らいもありアンナに渡されることになった。しかし、アンナは共同墓地にある石碑にくぼみを作りそこにはめることを提案した。
「これは、あの子が最も大切にしてた物。だからこそ、私は手元に置いておきたいけれどあの子の物を勝手に取るわけにはいかないわ。それに、ここに来ればあの子のことをいつでも思い出せますし。」
涙で目元を膨らませ、それでも笑顔を作るアンナのひた向きさにすべての者は、アンナを支持した。
魔石は、石碑にはめ込まれ今までよりも立派に感じるものとなった。
柵に囲まれた村の一角、石が積まれて出来た山に、盛り上がっている土の山が並ぶその中心で、石碑にはめられた魔石は常に光輝いていた。
その輝きに、村の者たちは汚れを浄化し死者の痛みを治癒するように願いを込めるようになった・・・・。
読んでいただいてありがとうございます。
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