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16 ギルドの仕事

冒険者になることの出来なかったレシルは、ギルドにて準職員として働くこととなる。

そんなレシルに架せられた仕事は書類の山の整理だった。

________________________________________________


レシルはまず、書類の山で遊ぶタヒコを捕まえ書類の山に向かい合う。

そして、部屋の隅に積み上げられていた空箱を空いている床に三つほど並べると手当たり次第に書類に目を通していった。

この部屋にまとめられている書類は冒険者が達成した依頼の書類ばかりだった。

植物採取、魔物討伐、鉱石発掘、護衛、警護、生産、教育などなど・・・・・。

とりあえず、それぞれを箱に一枚ずつ仕分けていく。床に散らばる書類が片付き、机の上の書類に手を伸ばす。机の上が、半分ほど片付けば討伐系を入れていた箱がいっぱいになったので別の箱を持ってきてさらにスタート。

机の上の書類があと数枚に差し掛かったころドアをノックする音が聞こえた。


「レシル君、どうですか?書類整理は進みましたか~? て、レシル君まさが朝からずっとやってたんですか?」


「はい、とても書類が多かったので早く終わらせないとと思って。」


レシルの疲れた顔を見て驚き、健気さに呆れ、アンジェラの心に罪悪感が生まれた。


「もう、今日はこの辺で終わりにしてご飯に行きましょ!今日は私がおごってあげる。初日から頑張ってくれたわけだし。」


疲れたレシルを連れてギルドの食堂にいくと、レシルを席に座らせアンジェラは注文しにカウンターに行く。

戻ってくると、両手の盆にはスープに白パン、サラダに果汁水、そして香辛料のきかせた焼き肉があった。

自慢気に献立を離す話すアンジェラをよそに腹をすかせたレシルは盆の料理に釘付け。


「さ、さあ、早く食べましょ。」


「ありがとうございます。 もぐもぐもぐ・・・。   おいしい!」


レシルは、タヒコにも分けながらおいしい食事を楽しんだ。そして、アンジェラの罪悪感はレシルの笑顔できれいさっぱり無くなったが、持ってた財布の中身もほぼ無くなった・・・。

そんなことも知らず、いや、悟らせないアンジェラはさすがであったが食べ終わりお互いに部屋に戻っていくアンジェラの背はどこか寂しげであった。

腹も膨れ、疲れていたレシルはベットに横になるやすぐに眠りに落ちていった。


レシルはその後毎日書類の部屋に入り浸り、無理をしない程度に仕分けていき仕分け終わったものをギルマスや記録収集の人たちに渡したりを繰り返し、五日で書類をすべて片付けた。

掃除の仕方を教わり、報告書の処理の仕方を教わると、やっとレシルは自分の時間を持つことができた。

やる事をやれば、自由にしていいという話でまとまっていたためレシルはしばらくやっていなかった修行と、おこづかい稼ぎのために街の外に行こうと出掛けようとする。


「レシル君。どこ行くの?それにお仕事は?」


「俺の仕事は一区切りついたんで、街の外に修行しに行こうかと思って。」


声をかけたのは、ラナであった。ラナとは、初めて会って以来まともに話はしていなかった。レシル自身食事の時くらいしか人が集まるところには来ず、部屋に行くために受付横を通る時しか顔を合わせる事はなかったからだ。


「レシル君偉いわ!まだ小さいのに、しっかりしてるし修行まで自主的にやろうだなんて!でも、普段着のままだと街を出たら入るときまたお金を払うことになるわよ?」


レシルは、すっかり失念していた。確かに、街にまた入る金は持っているがわざわざ払うのはバカバカしい。冒険者であれば、依頼書とギルド所属のプレートを見せれば、大概の街には入街時に掛かるお金は免除される。

しかし、レシルはギルドの職員であれど準職員であり、それを証明する制服はあくまでもギルド内で仕事をするときだけと言う決まりがあった。

レシルが、入街にかかるお金を惜しんで考えていると、ラナから助け船が出された。


「しょうがないなー、ラナお姉さんが何とかしてあげよう・・・はい、これ。」


ラナがそう言って渡してきたのは、受付窓口から持ってきた木札であった。しかし、ただの木札ではなく大きくギルドのマークが彫られ、反対の面には何らかの魔方陣が描かれたものだった。


「これは仮札と言う物よ。ギルド職員が用事とかで出かけるときに使う物なんだけど、これをセシル君に貸してあげちゃう!あー、でもちょっと待っててね門番さんに事情を説明する用にお手紙書くから。」


そう言って、受付窓口に戻るとスラスラと手紙を書き終えレシルに渡した。


「これで、大丈夫。この二つを門番さんに渡してね。確認が取れれば、入るときに木札を見せるだけで通してくれるから。じゃあ、行ってらっしゃい。」


「はい、ありがとうございます。ラナさん、行ってきます。」


ラナは、レシルがギルドを出ていくまで見送ると窓口に戻ってきた。


「ねえ、ラナ。レシル君に仮札なんて渡してよかったの?あれは、ギルマスの許可がないと使えない物でしょ?」


「大丈夫ですよ。もともとあの札は、ギルマスからレシル君が街の外に行こうとすることがあれば渡すようにと言われ渡された物ですから。でも、さすがにこんなに早く渡すことになるとは思ってませんでしたけどね。ギルマスも、レシル君のことがかわいいんですよ、きっと。さてと・・・・。」


「すいません、依頼の報告に来たんですけど・・・・。」


「おかえりなさい。来てさっそくなんだけど、今さっき出ていったレシル君・・・。子供の後を追って、街の外で修行しに行ったんですけど見つからないように見守ってもらえませんか?お願いします。」


「え、でもラナさん・・・。」


「お願いしますね。   お願いしますね。   お。ね・が・い・し・ま・す・ね!!!!!」


そう言って、報告しに来た冒険者の男性にレシルを追いかけるようにめいれ・・・。お願いして見守ってもらうこととなりました。


「帰ってきたら、色付けてあげるのでよろしくお願いしますね。」


(「「あんた、ほんといい性格してるわ・・・。」」)


他二名の受付嬢は、心の中でそう思ったのであった。


レシルは、ギルドを出た後の出来事など知る由もなく街の門に向かって歩いていた。もちろん、ラナに半強制的に頼まれて冒険者もレシルの後を追っていた。

門まで行けば、レシルが街に来た時と同じ門番であった。そして、レシルの顔を門番も覚えていたらしく話はスムーズに進んでいきレシルは門の外に出ていった。

冒険者もバレないように、自然に門をくぐりレシルの後を追っていくが広がる草原の高低差にレシルの姿がわずかに隠れ、冒険者はその後レシルの姿は見つけることはできなかった。


「おい、あの子供どこ行ったんだよ!ラナさんに叱られる。」


冒険者があたりを探しても見当たらず、足を延ばして森近くまで行こうともレシルを見つけることはできなかった・・・。


そんなレシルはと言うと、門から姿が見えなくなる角度で昔のように全速力で走りだしたのであった。

いくら早いとはいえ、姿を完全に見失うなど冒険者であればそうそうあることではない。しかし、ラナが頼んだ冒険者がまだ下位のランクであることと、子供だからと油断していたことにより狭い視野になっていたのであろう、その姿を見失うこととなったのだ。

レシルは、街に来るまでの道をたどるように道を進みつつ採取をしていく。

魔物を見つけては狩り、身の安全を優先して散策していく。

そして、日が傾き暗くなる前に街へと帰った・・・。


「おかえりなさい。レシル君。無事でよかっわ。」


「はい、ただいまです。そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。それより換金お願いします。」


「はいはい、どれどれ?あー、甲殻カブトの甲殻ね。換金価格は一つに付き銅貨二枚ってとこね。四つあるから、銅貨八枚ね。それでいいかしら?   じゃあ、はいどうぞ。」


「ありがとうございます。じゃあ、荷物置いて一度水浴びしてきますね。」


レシルは換金も終え、自分の荷物を置きにギルドの奥に消えていった。

レシルがいなくなると、追いかけていた冒険者がギルドに入ってきた。レシルの姿を、門を過ぎたあたりから見失い、その後探し回っていたが諦めて帰ろうとしたとき、門をくぐろうとするレシルを見つけることができたのである。


「ラナさん、なんと言いますか・・・。」


「ありがとうございました。あなたに頼んでよかったです。レシル君も無事に帰ってきましたし、今回の依頼報告特別にわたが色をつけちゃいますよ~。」


「は、はあー。ありがとうございます。」


「これからも、頑張ってくださいね。」


ラナは、依頼達成の報酬に色を少し付け冒険者をさっさと帰らせた。ラナには、相手に物言わせぬ何かを持っていた・・・。


「俺、まだまだだな。明日から、もっと頑張ろう!」


こうして、この日を境にこの冒険者は今まで以上に努力し、大きく成長していくことになる。


レシルの知らぬところで、いろいろあった一日はあっという間に過ぎていく。

レシルはこれからも、騒がしくも楽しいこの場所で時を重ね成長していくのであった。そう、レシル自身が冒険者としてこの場所を巣立つまで・・・。


読んでいただいてありがとうございます。

よければ、また読んでください。

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