15 ギルド
体調崩して更新が遅れました。
タヒコと共に、ギルドの厄介になることになったレシル。
受付嬢のラナに溺愛される状況に戸惑いながらも新たな生活がここから始まる。
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「えー、ゴホン!少々取り乱しましたが改めて。ようこそ、冒険者ギルドマルス支部へ。レシル君は冒険者ではないけれど、ギルドの準職員としてこれからよろしくね。」
「はい、これからよろしくお願いします。」
ギルマスが、うんうんと頷きつつ、他の近場にいたギルド職員たちに自己紹介を済ませる。
その後、ギルマスに案内されギルドの奥に入っていく。
そして案内されたのは、ギルド職員たちが自室として使っている部屋が並んでいる所だった。
「さあ、ここが今日からお前の部屋だ。」
職員たちの部屋となるところだけあり、掃除は行き届いている。
備え付けの家具は、ベット、机、イスのみで必要最低限だ。
レシルは、腰に携えた刃のつぶしてある剣と腰に下げている小袋以外荷物と言う荷物は特に持っていなかった。それらを、机に置くとギルマスがこれからについて話してくれた。
「よし、部屋も決まったから、これからのことを話すぞ。お前さんには、このギルドの雑用をしてもらう。主なことは、ギルドに集まる報告書の整理や書類の仕分け、ギルド内の掃除とかだな。一日銅貨五枚でどうだ?給金としちゃーかなり安いがな・・・・。」
苦笑いを浮かべながら、レシルに同意を求めてくる。しかし、レシルの頭には?が浮かぶ。首をかしげるレシルにギルマスも?を浮かべる。
「あの、俺お金についてよく知らないんですけど・・・・。」
その言葉を聞き、ギルマスは驚いていた。街に住む子供なら、八歳ともなればおこづかいをもらい好きな物を買ったりなど当たり前にやっている歳だからだ。その後、レシルから生まれ育った環境など、今までのことをざっと聞き納得するとお金についてレシルに教えてくれた。
「いいか、金には白石から始まり、銅、銀、金、白銀、白金、と六種類ある。一番多く使われるのは銅貨だ。銅貨百枚で銀、銀貨百枚で金と言うように百枚集まって次の位に上がる。白石は、今ではあまり使われることはなくなったが今でも、しっかり流通していて銅よりも安いが数がいらないようなものなどを買ったりする場合に使われる。まあ、そういうものは種類が少ないし使うことも少ないから白石自体あまり使われないがな。金の種類は大体こんな感じだ。」
「なるほど、じゃあ、銅貨五枚ってどれくらいの価値なんですか?」
「うーん、価値云々と言われると言葉にしづらいが、親子三人の家庭で慎ましく生活すれば一か月を銀貨一枚で過ごせるだろう。物で例えるなら、定食屋でそこそこ上等な料理と同じくらいだったと思う。」
レシルがギルマスの説明を聞き、お金の価値を理解したところでドアをノックする音が響き、ギルドの制服を持ってきた職員からギルマスが服を受け取るとレシルに渡した。
「これからギルドで仕事をするとき、この服を着て仕事をするようにしてくれ。これは、お前がギルドに所属しているって証明するとともにお前さんを守ることにつながる、だからこそ、責任をもってしっかりと務めてくれ。重いことを言ったが、今日はゆっくり休むといい。明日からよろしくな。」
そう言い終わりレシルの返事を聞くと、ギルマスは部屋を出ていった。
レシルは早速、ギルマスから渡された制服を着てみることにした。服のサイズはぴったりで、もってきた職員員の見立ては間違いなかった。
服を着替え終わり、ホールに行けばラナが冒険者の相手をしていたがレシルを見るや凄まじき勢いで抱きしめる。冒険者は、唖然としてる。そして、レシルに声をかけられ手を離しつつもニコニコとその笑みが崩れることはなかった。
「はあ、コホン。変な空気になってしまいましたが、明日よりギルドの準職員となりましたレシルです。これから、どうぞよろしくお願いします。」
夕方ゆえ、ギルドはそこそこににぎわっていたが、レシルの挨拶はラナの奇行によって静間に帰ったギルド内に良く響き、その挨拶を笑う者も僅かながらに居たが、ラナの殺気の篭った目つきに黙り込み拍手へとその行動を移行していった。
何ともしがたい、雰囲気に包まれつつレシルとギルドに集う者たちへの自己紹介は幕を閉じた。
レシルは、その後お金を一銅貨も持っていないことを理由にラナに素材の換金を相談した。
するとラナは、冒険者以外は本来は無理だが職員と言うことで換金してくれることになった。
レシルは、喜び部屋へと戻ると収納から袋と共に今まで集めてきた魔石を袋に詰め込み降りてきて、レシルを待っていたラナが構える受付に袋をどさりと置いた。
「どれどれ?ずいぶんたくさんあるみたいだけど・・・。な、ナニコレ!サイズは小さいけど全部魔石じゃない!こんなにたくさんどうしたの?」
「俺が、育った村で集めた魔石たちです。村には、魔物は出ても換金できるところはなかったので全部貯めてました。」
「ねぇ、ちょっと待って。レシルあなた、今八歳って言ってたわよね?子供の君が、これだけの魔石を集めたというの?」
「はい、俺はそんなに強くないですが村の周りには、敵わない魔物はあまりいませんでしたしそういう相手がでれば逃げますので。」
にこやかに笑うレシルを前に、ラナは乾いた笑いを吐くばかり。次第に落ち着きを取り戻せば、「レシルが、これからとんでもない冒険者になるやもしれない。」と期待に胸を膨らませ、袋に詰まる魔石の鑑定に勤しむのであった。
レシルの持ってきた魔石は、ゴブリンが中心で一つ一つでは大した価値はない。しかし、ちりも積もればである。持ってきた魔石はゆうに百を超え、換金価格は銀貨一枚と銅貨五十三枚となった。
初めて手にするお金に歓喜に満ち、喜ぶレシルにラナは呆れた目線を送りつつもその満面の笑みにラナ自身も笑みをこぼすのであった。
その後、レシルはギルド内にある食堂へ向かった。夕食を食べようと値段を確認し、お金があるとはいえあまり使わないようにと銅貨三枚で食事を済ませようと考えた。冒険者とは、何かと金がかかる。より多くの金を手に入れようとすれば、多くの金がかかる場合もある。金を使えば、無事に済んだもののケチったがばかりに命を落とす話などこれからよく耳にすることとなるだろう。
レシルは結局、パン、スープ、干し肉を買い席に着きタヒコと共に食事をする。
ギルドの料理は値段の割に味は良かった。しかし、干し肉は味はともかくとても固く獣臭かった。
レシルの知識の中には、ビーフジャーキーなる似た食べ物があったがそれとはまったくもって別物と言えた。
匂いは我慢するとしても、その硬さは何とかしたいと思いスープに漬ければ薄味のスープは塩気を帯び、今までよりもうまいと思えるものとなったが獣臭さが移ってしまった。
パンを先に平らげ、スープを我慢して飲む。息を止め飲んだため、匂いは感じなかったが一気飲みなど普段はしないためか咽てしまう。残りをタヒコに渡せば顔にしわを寄せながらもすべて飲み干した。その後、げっぷをするたびに獣臭さが込み上げてきたため、収納から香草を見つからないように出し口で噛み砕き水で飲みこむと匂いは収まった。タヒコには、香草の強い香りが獣臭以上に苦手らしく無理やり捕まえて同じことをさせたら顔を引っ掻かれた。
初めて食べる物や慣れなければいけないことを再確認し、レシルは自室に戻ろうとホールを通れば顔にあるひっかき傷を心配され、苦笑いを浮かべながら部屋に向かい眠りについた。
次の朝、起きたレシルは朝食を取った後ラナに会いにホールへ向かい、ラナを呼ぶ。
「ラナさーん。ラナさーん。」
レシルの声に答えて来たのは、昨日の女性ではなかった。
「はーい、何でしょうか? あのー?」
固まるレシルにどうしたのかと首をかしげる女性に、他の受付嬢が声をかける。
「この子が、昨日準職員になった子だよ。レシル君。」
「あー、この子が、初めまして、私はラナ事、アンジェラと言います。これから、よろしくね。」
「あ、はい。よろしくお願いします!」
「ふふふ、今日はあの子お休みよ。その様子じゃ、私がラナと名乗ったわけを知らなそうね、良ければ教えてあげましょうか?」
反射的に返した返事を笑うアンジェラは、そのままレシルが疑問に思っていたことを話し出した。
「昔、ラナと言う初心者冒険者にいつも気さくに声をかけ、慕われていた受付嬢がいたそうなの。ギルドでは、初心者、中堅者、上位者の冒険者はある程度どの受付嬢を利用するか決まってるの。上位者ともなれば、持ってくる素材やその人に対しての接し方や言葉使いなどより高度なものを必要とする場合もあるし、初心者のように不安を抱いている者も居るがゆえに区別化がある程度られ、昔の受付嬢に習ってラナと言う名の初心者専門の受付嬢が存在するってわけ。専門と言っても、十分実力はあるけどね!」
「へー、そうだったんですね。だから、ラナって名前で呼んだら来たってわけなんですね。でもそしたら、昨日会ったラナさんはなんて名前なんだろう?」
「あー、あの子の名前は普通にラナよ。さっき話した、受付嬢の血を引いてるらしくて親がそう名付けたんですって、ここに入った時はそれなりに盛り上がって、しばらくは頬を真っ赤にしてたわねあの子、ふふふ。」
そんな話をし終わり、レシルは自分がここに来た目的のギルドでの仕事について聞くとアンジェラは奥の部屋に連れて行った。
「この部屋にある書類をある程度種類別に分けてほしいの、よくわかんなかったり判断に困る物はまとめておいてもいいし、適当にこれかなと思うものに混ぜてもいいわよ。とりあえず、仕分けをお願い。」
そう言って中に入れば木箱に重ねられた書類の山が三箱。机の上にも、すでに崩れ落ちたのであろうたくさんの書類が床に散らばっていた。
書類の多さに唖然とするレシルを残し「頼んだわよ」の一言を言うとさっさとアンジェラは部屋を出ていった。
タヒコは、書類の山を巻き上げて遊んでいたがレシルはそれとは正反対の顔をしていた。すぐには終わらぬ作業に覚悟を決め、書類の整理を少しずつレシルは始めた。
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