第27話 武虫の森林にて 昆虫復讐記
第27話 武虫の森林にて 昆虫復讐記
幻想歴0年1月1日 武虫の森林 深部
やはり、格上とのしかも多数の闘いは、熾烈を極めた。先ず、カブトムシとクワガタはまだいい、いや5、6体来られるとつらいが、やばいのは蜂だ。こいつらは、カブトムシどもを盾にして毒針を銃弾の如く打ち込んでくる。これに気取られると、カブトムシどもの対応が遅れ、被弾してしまう。よって、いかにミヅキが蜂を処理できるか、それで勝負が決まるといっても過言ではない。
しかし、見返りがでかっかた。1つは、『毒耐性』スキルを取得できたこと。2つ目は、『切り返し』と言う『疾走』スキルの技、称号『刀技に頼らざる者』の獲得。そして、この虫たちはなんと、武器をドロップするのだ。これで、俺の刀の耐久の低さをカバーすることができる。
「ねえ、アオイ。この使わない武器を売ったら、いくらくらいになるんでしょうね」
「そうだな、店売りのものよりも幾段か性能がいいから、一つ平均7,000Fくらいになるんじゃないか」
「これなら、100,000Fな堅いな」
「よしこれで、アオイの防具が買える。毎回ひやひやしないで済むわ」
「そんなのよりも、AGIが上がる装備が欲しい」
「流石に防具買って~~~!」
「しょうがn!?ミヅキ、後ろから一体だなんかやばいぞ」
俺の索敵範囲にそれが入った瞬間、ものすごく嫌な予感がした。そして、ミヅキが目視すると物凄い勢いで見てわかるほど青ざめていった。
「鑑定」
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行進油虫
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「チッ、まだ名前しか見えないか」
「ヒィィ、なんでこんな奴が出るのよ~~~!」
「おい、大丈夫かミヅキ!」
「もうやだ~」
「ええい、しっかりしろ」
ミヅキは、涙目になり幼児退行していた。そして、俺でも見える位置に来ると、流石にGはあたかも俺たちに見せつけるかの如く、止まった。俺も泣きたい。人間大ある黒光りするGは、触覚をこすり合わせ。
キィィィギチギチ
と鳴いた。すると、
「おいおい。マジか」
周囲から今までどこにいたんだ。と言いたくなるような量が、そこらかしこから出てきた。
「もうや~」
「頼むから帰ってきてくれ。てか、三十体くらいか」
「ぽやー」
「ええい、許せ」
そう言うと、俺はミヅキ後頭部をはたいた。
「あ痛!ハッ、私はなにを、そうだ特大の・・・」
「よし、戻ったか」
「Gぃー!ヤバイどうするのよ。これ~」
「流石にこの数は無理だ。だが、囲まれているから、どこかから突破しないと」
「アオイ!頼んだ!」
「俺も嫌なんだが」
「男でしょ。頼むから頑張って、本当に頑張ってください」
「・・・・・・了解。右手側が一番少ないから、そこから行くぞ。突破したら抱えていくからな」
「(ブンブン)」
ミヅキはもうしゃべるのも嫌なのか、本当に死にそうな顔をしている。
「行くぞ」
俺は宣言すると、右にいるGに切りかかった。しかし、
「なに!」
Gの体表を覆う油に阻まれ、浅くしか切り裂くことが出来なかった。それでも、なんとか、同じ箇所を何度も切り裂くことにより、倒すことができた。
「ミヅキ!AGIバフ」
「低位速度上昇。二重魔術、低位速度上昇。これでいいかしら」
「十分だ」
そう言うと、ミヅキを抱えて俺は走り出した。
(一体俺たちが何をしたというんだ。虫どもの虐殺しかやってないぞ。だが、それは遅かれ早かれ誰かしらがやっていたことだぞ。それなのに、なぜこんな初見殺しが・・・・・・初見?いや、違う!俺たちのレベルが低いからか!)
「アオイ、もっと速度出せないの!?おいつかれるわよ!」
「こんな、森の中じゃ無理だ。とにかく逃げるぞ。ミヅキは、バフが切れないようにしてくれ」
「わ、わかったわ」
しかし、どこまで逃げればいいやら。深部からか、はたまた森林からか。森林だったらやばいな。てか、
「ミヅキ!方角はあっているか」
「分からないわどうするのよ」
「とにかく逃げるしかないか」




