第26話 武虫の森林にて 昆虫虐殺日記
第26話 武虫の森林にて 昆虫虐殺日記
幻想歴0年1月1日 武虫の森林
さて、俺たちは夜狩りを始めた。いや、狩りじゃなくて虐殺だな。だって反撃さえさせずに切っているだけだな。それも、2時間近く。おっと、レベルアップかな。
ポーン『称号【昆虫の虐殺者】を獲得しました』
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称号:昆虫の虐殺者
補正:昆虫特攻・特防(大)
詳細:短時間に昆虫種を444体討伐した者に送られる称号。
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「称号かー、でも虫にはもうオーバーキルなんだよなぁ・・・」
「そんなことよりも、私はこんな殺伐とした称号じゃなくて、スキルが欲しかったわ」
2時間ノンストップで狩りをしているせいか、ミヅキの声に元気がない。
「でも、鈴虫もあれから5体狩れたからいいじゃないか」
「そうね、でも100体のうち1体くらいの割合でしか、出てこなかったじゃないの。確率絞りすぎじゃないのよ」
「だけど、スキルが取れたから良かったじゃないか。それに、今日中なら、他のプレイヤー達が来ていないし、もしいたら1体狩れたかも怪しかったじゃないか」
「確かに、それだけが救いね。それで、あれはどうするの?」
ミヅキが問いかけと共に、真正面のあたかも難易度が上がります。と言った風な木々の密度増えた森林が、目の前にあった。
「ここまで来たんだ、覚悟を決めて行くべきだろう」
「そうね、行きましょうか」
幻想歴0年1月1日 武虫の森林 深部
奥へ進む俺たちを最初に出迎えたのは、こいつらだった。
「鑑定」
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兜刀虫×2
双剣クワガタ×1
針銃蜂×4
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いきなり難易度高すぎないか。名前しか見えないということは、俺よりもレベルが高いということだ。しかもこいつら前衛と後衛に分かれて、連携まで取ってきやがる。もう泣きたい。
「こら、アオイ呆けてないで1体でも多く倒すのよ」
「くそ、一撃でもくらったらダメな完全オワタ式じゃないか」
おう、昆虫特防(大)ついてるのに、掠っただけで3割持っていかれた。てか、後衛ズルイ。あっ、ちょ、タイム、ターイームー。
「やばい、死ぬ、死ぬ、しーぬー」
「うるさい、蜂は倒したわ。クワガタを受け持つから、カブトムシお願い」
「よし、了解」
なんとか、持ち前のAGIで敵の攻撃を捌いていたら、ミヅキが蜂を倒してくれた。これならいける。俺はカブトムシの関節を切った。しかし、一撃では倒れなかったので、一瞬のうちに三度同じ個所を切った。ふむ、関節に四撃か。これなら何とかなりそうだな。そして、残りのカブトムシ同じく四度切った。
「よし、ミヅキ加勢する」
「ありがとう、助かるわ」
そう言うと、俺とミヅキは位置を入れ替わった。
「低位筋力上昇、低位速度上昇」
俺はミヅキから、バフをもらうとクワガタと対峙した。両方のハサミで、俺の胴体を切り裂こうとする攻撃上に飛んで避け、クワガタの背に飛び乗るともう一度跳びその力を利用し、クワガタの首を落とした。
「これからは、こんなのばかりか」
「ええ、普通にやばいわね」
「普通にやばいが、頑張るしかないだろう」
「戦略的撤退は?」
「無しで、でも戻れるくらいの位置でいったん狩りをしよう」
「それが、いいのかしらね」




