第20話 武虫の森林にて
第20話 武虫の森林にて
幻想歴0年1月1日 武虫の森林 入口
デカ兎との、衝突事故(故意)が起きてしまった後、俺たちは、早めの昼休みを取った。もちろん、大魔王ルートは回避した。
閑話休題
昼休み後も、俺は走った。途中で、丁度いい一角兎を数百くらい蹴った。そうこうしている内に、俺たちは、目的地である武虫の森林に到着した。武虫の森林は、木々がまばらに生えているため、森林の内部は明るく、風通しも良くジメジメしていない。
「ピクニックするのには、良さそうな森ね」
「ああ、そうだな今度来るときは、こんな味気にないものじゃなくて、サンドイッチとかがいいな」
「そうね。でも私は、おにぎりと卵焼きかしら」
俺たちは、空腹度を満たすために市場で買った食糧食べながら、移動中に獲得したスキルについても話をした。
俺が、手に入れたのは『格闘』、『突進』のスキルと『蹴撃者』という称号だ。効果は、『格闘』は、殴る、蹴るなどの打撃技から、関節技など幅の広い格闘技に補正(小)が掛かる。というものだ。『突進』は、自身の速さ(馬などでも可)を攻撃力に加算するときに補正(中)が掛かる。称号『蹴撃者』は、蹴りに補正(小)がある。
ミヅキは、『多重魔術』、『姿勢制御』スキルと『捕捉者の瞳』という称号を手に入れたらしい。それぞれ、『多重魔術』は、文字通り消費MPが、増えるが再詠唱待機時間を無視して魔術が使えることと、重複して効果が少し下がってしまうらしい。『姿勢制御』は、読んで字のごとくバランス感覚が良くなるスキルだ。『捕捉者の瞳』は、自身の5倍速いものを見続けると獲得できるらしい。効果は、自身の10倍までの速さのものを見ることができるようになり、索敵範囲が(視界だけ)ひろくなるらしい。
「さて、食べ終わったことだし、森林に入るとするわよ」
「ああ、わかった。索敵は任せたぞ」
「もちろん、任せなさい」
ミヅキが先頭になり、俺たちは武虫の森林に足を踏み入れた。
そうこの時はまだ、広大な森林にプレイヤーが二人しかいないことを、真剣に考えるべきだったとは、二人はまだきずいていなかった。
幻想歴0年1月1日 武虫の森林
森林に入り数分後、ミヅキの狐耳がピクピクと動いた。
「アオイ!右から敵、多分1体!」
「了解!」
俺は、ミヅキに返事をし、刀を抜き戦闘の準備をした。ミヅキの方も、薙刀を構えた。
しかし、現れたのは虫眼鏡の凸レンズのような羽を持ったテントウムシだった。
「おい、ミヅキ!流石にあの高さを飛んでるとあたらないぞ!」
「こっちも無理よ!てかアオイは、属性魔術使えるんじゃないの!」
「・・・・・・」
「ま・さ・か、忘れてたのか~~~!」
「そ、そんなわけないじゃないか」
「アオイ動揺隠しきれてないわよ」
「小風玉」
俺は、ミヅキのジト目から逃れるように、魔術を発動した。小風玉は、テントウムシもどきの右羽にあたり、姿勢を崩し落ちてきた。
地面に落ちひっくり返ったところを、ミヅキの薙刀で地面に縫い付けられた。
「アオイ、今よ!」
「おう!」
ミヅキの声に答え、俺はテントウムシもどきを一刀両断した。
ポーン『イベントモンスター鏡集天虫を初討伐しました。よって、報酬を送ります。リストからお選びください』




