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ラストゲーム

作者: aki

不動産会社に勤める取締役の伊神と事務員の相原がショットバーでゲームに興じる秋の夜長。意地悪な伊神に遊ばれる、相原の可愛さを感じていただけたらと思います。


※本編「蜜月が終わる夜※注:R18」(http://novel18.syosetu.com/n4222bt/)の番外編で、本編より2年くらい前の時間です。本編を知らなくても分かるので短編で投稿しました。あと、先に謝っておきます。ごめんなさい!




秋風が穏やかに空気を研ぎ澄ます、満月の美しい夜。


深い黄金色に包まれた木造りの店内、8席のバーカウンター。

その中央に腰掛ける中年の男と若い女。

彼らの会話を邪魔しない程度で流れるジャズの調べ。


濃紺のスーツで長身の男は 伊神裕人(いがみゆうと)、年の頃は40歳。

その右に座る小柄な事務服の女は 相原七美(あいはらななみ)、20歳。


30代半ばと見える色白で華奢なバーテンダーが相原へモスコミュール、

伊神へやや大きめのショットグラスでウイスキーを差し出した。


「乾杯、します?」


「ああ・・・

 今日もよくやってくれた。ありがとう。」


カンっと軽くグラス同士を小さく響かせての呑み直し。

接待でアルコールを少し多めに入れられた相原が口を開く。


「ぜんぜんカジノに見えませんね。」


店内は6畳の部屋が4つ入りそうな、ほどよい広さ。

電球色が映えるログハウスのような洒落た内装のショットバー。


「敬語はもういい。気楽に飲んでくれ。」


「あ、はい。うん。」


相原がフッと軽くため息をつき、ストローへ口をつける。

ショットグラスを置いた伊神が口を開いた。


「カジノはあの扉の向こう。この店の広さの5倍くらいある。

 バカラやルーレットのようなテーブルゲームがメインだ。」


グラスを持つ伊神が、左奥の目立たない扉を一瞬見つめ示した。


「伊神さんも、よく行くの?」


「俺は金を賭けるギャンブルはしない。それにレートも高過ぎる。

 チップは1枚千ドルからだ。冗談でも行くなよ。」


「せん・・って、10万円?!」


頬をピンクに染めた相原が目を丸くした。

伊神がショットグラスを前へ突き出し煙草に火を着ける。


「ところで。俺に聞きたいことって何だ。」


口内からフワっと煙を吐き出し相原へ視線を送る。


「そうそう。伊神さんって謎すぎるよ。

 家族の話とかしないし、何かいつも暗いし。」


伊神が遠くを見つめるように寂しそうに答える。


「仕事と関係ないからな。知らなくていい。」


「えー、知りたい。私の話もするから。」


「俺は相原の家族のことなど別に知りたくない。」


残念そうに口を尖らせストローでカクテルを飲み続ける。

伊神が鈍く輝く金色の灰皿へ煙草を置いた。


「そんなに、知りたいのか?」


ストローを口にしたまま、左を向いて嬉しそうに首を縦に振る相原。


「そうだな、今日は世話になったからな。

 ・・・ゲームをしよう。俺に勝てば教えてやってもいい。」


ルールは双方が銀色のチップを5枚ずつ所有。


テーマを決めて会話をし、相手の考え方が自分より正しい、

または自分が説得されたと思ったならチップを相手へ渡す。

賭けるチップの枚数はテーマを受ける側が決める。


そしてチップを差し出すと同時にスピリタスを1ショット飲み干す。

どちらかが酔いつぶれる、またはチップが0になると終了。


「相原が勝てば私の家族の事を話そう。

 私が勝てば、そうだな・・・今は思い付かないから後で決めよう。」


「うん。」


「いいぞ。決まりだ。

 以後、ルールの変更は両者の同意があった時だけ。」


「うん、わかった。」


カウンター内でグラスを洗うバーテンダーがわずかに微笑む。

均整のとれた女性のような顔が優しい口調で相原へ話しかける。


「お嬢さん。今のルールは伊神様が一方的に決められました。

 同じ数だけルールを変更されたり付け足しされるべきでした。」


伊神の頬が余裕を見せるような笑みに歪む。


「あっ! 待って・・・ くれないよね?」


相原が伊神へ問いかけた。


「そうだな。一つだけ勘弁してやろう。ハンディキャップだ。

 スピリタスは相原にはきついだろう。そのブランデーでいい。」


円形のコニャックの瓶に大きく描かれたXOのラベル。

煙草を指に挟み伊神が指し示す。


ほっとした表情で答える相原。


「あ、ありがと・・・」


「始めようか。相原からどうぞ。」


静かにグラスを拭きつつ下を向き、笑みをこぼすバーテンダー。

相原が不安になり助けを求めるような口調で訊いた。


「あの、また何か騙されました?私。」


下を向いたまま微笑みつつ、ゆっくりと小さく横へ首を振る。

それを見た伊神が答える。


「相原は本当に甘いな。

 ごねられないよう、お前が有利になる小さなルール変更で誤魔化した。」


この小さな空間は伊神が仕切っている。

それを感じることのできない、少し悔しそうな相原が考え込み、口を開く。


「私からだよね?

 ・・・生きること。生きるって何?」


バーテンダーが目を瞑り、年季の入った手つきでグラスを磨く。


「ほう。壮大だな。チップは1枚で行こう。

 相原は生きるってのは何だと思う?」


緊張していたところへ優しく切り返され、ほっとした表情で続ける。


「うん・・・できるだけ長く生きて、たくさん楽しいことをする。

 そのために、お金をたくさん稼いで、好きなことをいっぱいする。

 それが生きるってことと思う。」


負ければアルコール度数96%のウォッカ、スピリタスのショット。

それがあるにも関わらず、山崎の18年物を喉の奥へと流し込む伊神。


「そうだな・・・私もそう思う。恒久的に金を稼ぎ楽しむ人生。

 しかし俺のように仕事以外に魅力を感じない人間もいるぞ?」


ショットグラスを指し、カウンターを人差し指でトントンと叩く伊神。


バーテンダーが僅かに頭を下げ背の高めなグラスを手にする。

正球の氷が沈む、地下水だけで造られたチェイサーを差し出した。


「伊神さんは、普通の人とちょっと違うから。

 私みたいな普通の人って、死ぬまで楽しいことを求めてるはず。

 生きるって、楽しい時間をできるだけたくさん作ることでしょ?」


微笑みながら聞いていた伊神の表情が、少しだけ寂しそうに変わった。


「結果から考えようか。どうすると生きたと言えるか。」


「うん。」


「生きるとは、人間としてだから1人ではないんだ。」


「・・・」


「子どもの頃に自ら命を絶つと、それは生きたとは言いきれない。

 生きたと言えるには、他人の記憶へ自分との良い想い出を深く残すこと。

 人を助け、守り、役立つ。その質と数が重要だ。」


「たとえば?」


「そうだな・・・俺なら、社長を助け、相原を守り、会社の役に立っている。

 家では女房を助け、子どもたちを守り、家庭の役に立ちたいものだ。

 このように俺との想い出を深く多く残すほど俺は生きたと言える。」


「・・・うん」


ペースを落ち着かせるようにチェイサーを手にし冷水を口へと運ぶ伊神。

ウィスキーを一口だけ口内へ含み、香りを楽むように話を続ける。


「子どもでも望まない死。病気でこの世を去ったなら。

 病に対して最後まであきらめなかったその心は尊敬に値する。

 その姿は親の記憶に残り、その子は親の心を一生を助け続けるだろう。」


「うん・・・」


「相原の考え方は間違っていない。

 けれど、金を儲け楽しいだけで生きたと言い切るのは、少し寂しくないか?」


「・・・だね」


相原が続けて口を開く。


「あの、この勝負って、なんかずるくない?」


意地悪そうに微笑む伊神。


「ゲームに参加したのは相原の意思だ。

 それに簡単に聞けるほど俺のプライベートは安くはない。」


そう伝えると煙草を手に取り、ほくそ笑む。

カウンターに置かれた自分のチップを1枚、左側へ差し出す相原。

彼女の正々とした潔い判断を見て、嬉しそうに伊神がグラスを傾けた。


バーテンダーが小さめのショットグラスへブランデー、カミュXOを注ぐ。

8分目まで入った琥珀色の洋酒へ、天井の暖かな照明が写り込んでいた。


ひととき考え込むように、相原の黒い瞳がそのブランデーを見つめる。

そして一気に喉の奥へ流し込んだ。


「ぷっは、きっつい! でも、おいしい!」


バーテンダーが微笑み、応援するような優しい眼で相原を見守る。

新しい煙草を取り出し先端へ素っ気なく火を着ける伊神。

カウンターで金色に輝くビールサーバーへ視線を移し口を開いた。


「いいテーマだったと思う。次も相原でいいぞ。」


ブランデーの芳香を身にまとう相原が伊神の勧めに乗ろうとしたその時。

首をかしげ質問へとすり替えた。


「また、私だまされてる?」


わずかな笑みを浮かべ、聞いていないかのように無視する伊神。

カウンター内へ助けを乞うように見つめる相原。

バーテンダーが静かに口を開いた。


「お嬢さん、そのゲームはお二人だけのものです。

 既に始まっていますから、もう私からは何も申し上げられません。」


突き放され、熟考するような表情でしばらく考え込む相原。

ひらめいたように口を開く。


「結婚。結婚にする。

 あれって子ども産むための世間体だよね。」


少し困ったような表情で左手の煙草を見つめる伊神。


「なるほど。自信がないから1枚にしよう。続けな。」


煙草を指でつまむように持ち替え、目を閉じて聞き入る。

先端からの煙が時間を遅くしているかのように、ゆっくりと立ち昇り続けた。


「結婚したからって子どもを産むって変だと思うし、

 結婚せずに子どもを産んでもいいわけでしょ?」


酔っているのか頬をやや赤く染めての世間への小さな反論。

灰皿へ煙草を置き、静かな口調でそれに応える。


「そうだな。やはり相原は間違っていない。正しいと思う。

 しかし、もう少し心を広く、優しく他人を見てみな。」


その答えへ敵対の準備をするかのように、カクテルを多めに吸い取る相原。

伊神が寂しそうに煙草を手に取り語り続ける。


「結婚はその人との子どもが欲しい、そう本能的に直観した時にするものだ。

 好きだから結婚、結婚したから子どもという形式が先ではないんだよ。

 その人との遺伝子を残したい、そう感じ自然に結婚という形になるんだ。」


バーテンダーが棚のグラスを並べている。

空気を演じるかのように、会話の邪魔になりそうな音へ気遣いながら。


「私が尊敬する作家の受け売りだが・・・

 愛情の愛はいつか消える、残るのは情だけ。という上手い表現がある。

 しかし、その情から愛を生み出す人間ならいつまでも上手く行くだろう。」


「・・・そんな人、みつかるのかな?」


「俺は神や仏や預言者でもない。聞かれても知らん。

 ただな、相原が直感した時は、そうなれるようお前が男を育てればいい。」


相原が一瞬何かに気付いたように返す。


「伊神さんも、奥さんに育てられたの?」


「その手には乗らん。」


ぐっと悔しそうな表情でチップの上へ左指を置く相原。


「・・・もう、ぜんぜん勝てそうにないし」


拗ねた表情で指を左へ動かす。


バーテンダーが琥珀色のショットグラスを憐れむような笑顔で差し出す。

一気に飲む相原。頬が紅潮し限界が近づいているかの表情。


カウンターの伊神側には7枚のチップ、相原は3枚。

棚に置かれた目立たない木製の置き時計の針が、ちょうど12時で重なる。


「もうこんな時間か。

 相原、ルールを変更したい。」


反射的に答える。


「だっ、だめっ!また何かたくらんでるでしょ!」


もう負けられない、そう顔に書いているかのような抵抗。


「まあ聞けよ。お前のチップ3枚に対して私も3枚出そう。

 相原が勝てば6対4で俺の負け。一発勝負だ。

 俺は歳だからな、これ以上体がもたない。良い条件だろう?」


カウンターテーブルを見つめるふりをしつつ、上目遣いで視線を上へ。

伝票を書くバーテンダー。相原へ助言する雰囲気は微塵もない。


「俺の性格は知ってるだろ。中途半端が嫌なだけだ。」


「私が勝ったら、伊神さんの謎なこと、ぜんぶ教えてくれる?」


「ほう、全部になったのか。いいぞ、私は約束を守る。」


「知りたい、伊神さんのこと。

 だって、いつも寂しそうだし!私にできることあったらしたいし!」


予想外の言葉に戸惑い、新たに煙草へ火を着け直し気持ちを落ち着ける。

すぐに冷静になり、改めて伊神からの質問。


「もう一度聞こう。条件変更の提案、飲むか?

 相原の方。家族の範囲が全部になった変更を俺は認める。」


「うん・・・はい。」


「いいぞ。決まりだ。

 ここまで相原から2回だったからな。次は私から出題しよう。」


その言葉の意図を少しだけ理解した相原が瞬時に応える。


「だっ、それだめ!待って!」


待っていたかのように伊神が返す。


「嫌ならやめておけ。このゲームは無かったことにしてやる。

 うちの家庭事情は複雑なんだ。相原に心配させたくない。」


煙草の灰を落とし、ウイスキーのグラスを傾け帰宅を促す空気を醸し出す。

伊神の寂しそうな眼に相原の心が動かされた。


「・・・知りたい。」


頬を赤く染め再開の決意。

伊神がチップを3枚差し出す。相原が合わせるように3枚。


「よし。俺が勝った時、相原に何をしてもらうか決めた。」


「え?」


「まだ決めていなかっただろう?相原へ1つ頼みがある。」


楽しそうに笑む伊神を見つめる、アルコールに侵され潤む両の眼。


「お前の体を見ていたら我慢できなくなった。

 ストレートですまない、そこのトイレでしよう。」


「え・・え?!」


「俺は酒が入ると上手くなる。安心していい。」


一気にチェイサーを飲み干す伊神。


「あの、伊神さん、何言って」


「ラストゲームだ相原。俺の女になれ。」


突然の提案に息を詰まらせる相原。


「断るなら俺の負け。相原を落とせたら俺の勝ちだ。」


「私、が?伊神さんの?」


驚きを隠せない相原。


「正直に言おう。以前から相原のことが気になっていた。

 もちろん給与とは別に手当を出す。あのマンションに住め。」


「あの・・・」


「俺が嫌いか?」


寂しそうな眼で相原を見つめる伊神。


「えと、嫌いじゃないけど でも、突然だし・・・」


「女房のことなら気にするな。上手くやる。あの車も好きに使え。

 月30、いや50出そう。悪い話ではないだろう?」


眼の潤みが限界に達し頬の紅潮が強まる。

しばらく俯き、迷っていた相原が顔を上げて答えた。


「あの・・お金は、いいです・・・」


再び俯き恥ずかしそうに両手で顔を覆う相原。

勝利を得た伊神が微笑む。


「ゲームはここまで。俺の勝ちだ。約束だからな。」


「ちょ、ちょっと!本気?!」


グラスを置き煙草を咥えると、相原の腕を掴み立ち上がる。

椅子から降ろされた相原がカウンター右奥へやや強引に連れ去られた。

バーテンダーは誰もいなかったかのようにカウンター上を片付ける。


ドアが開き相原が押し入れられると鍵を締める音が短く鳴り響く。

咥えていた煙草を洗面所へ吹き出すように飛ばす。

ジュっという音と共に、静寂がその狭い空間を包み込んだ。


「あ、あの、 伊神さん・・・」


不安そうに、訴えかけるよう呟く相原が洗面台の前で立ちすくむ。


「名前で呼んでくれていい。ほら、来いよ。」


伊神が腕を大きく横へ広げると、拗ねるような笑みをこぼす相原。

トンっという小さな音とともに相原の額が伊神の胸へと当たった。


優しく相原を抱き締め続ける伊神。

頬を紅潮させ、安心したかのように目を瞑り身を任せる相原。


伊神が腕をゆるめる。

相原が少しだけ離れ、やや上にある眼を見つめて再び眼を閉じた。


伊神が両頬を両手で包んだ後、相原の前髪を上へ逸らし額への軽いキス。

相原が潤ませた両の瞳が、その意地悪な目付きへ問い掛ける。


「ほんとに・・・ここでするの?」


冷静にそれへ応える伊神。


「カジノ客がまだ通る。店に迷惑だからな。でかい声出すなよ。

 そこへ手を着いて尻を突き出すようにうつ伏せろ。」


顎で洗面所を指し示すと、あきらめたように相原が指示に従う。

手を洗面台の両側へ置き、言われた通りにすると自分たちが鏡に映った。


「だめ、恥ずかしい・・・」


「下向いてろ。こっちもその方がやりやすい。」


あきらめたように洗面の陶器を見つめ緊張する相原。

その瞬間、伊神の親指が突き刺すように相原の背肉へと押し込まれた。


「いっ!いった!」


肩甲骨の内側を伊神の親指の先が捉える。


「このくらい我慢しろ。」


外側からの内への強い指圧。


「待って!痛いってば!」


「思った通りだ。

 相原の姿勢を見ていたら我慢できなくてな。」


「・・・え?あれってそういう意味だったの?」


「何だと思ったんだよ。」


鏡に映る意地悪な笑みの口元が歪む。


「ちょっ!いったいって!超痛いってばあ!」


蛇口を握り締め、あられもない姿を晒す相原。

伊神の指が相原の躰の奥へと容赦なく押し込まれる。

苦しそうな、そして高揚した声がその狭い空間で鳴り響き続けた。


「二度と俺のプライベートを詮索するな。」


伊神の指が力を弱め、優しく柔らかい動きへと変化する。


「っは、はい!んっ・・・あぁっ!

 ご、ごめんなさいっ!あんっん!そこ、気持ちいい」


小柄な身を包む事務服が小刻みに震え続ける。

伊神の指の腹が小さな背中をゆっくりと揉みしだいて行く。


「ところで相原。お前、あの話本気にしてたろ?

 笑い話が1つ増えたな。」


手を止めた伊神が意地悪そうにつぶやいた。

少し驚いたような表情で相原が言葉を漏らすように聞く。


「え?・・うそ?」


「ばっか、冗談に決まってるだろ。

 あれはゲーム。俺の作戦ってことだ。」


勝ち誇るような笑みで背中をほぐして行く伊神。


「あっ、んっ・・ひどいよ・・・裕人。」


「おい。やめろ。」


伊神へとどめの言葉を連ねる相原。


「さっき、名前で呼べって言ったよね?

 バラしちゃだめだよ、 ゆ う と 」


電球の明かりが漏れる建物を明るい満月が見守る深夜。

ゲームは引き分けに終わったようだ―――


(了)

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本編「蜜月が終わる夜」の番外編です。※本編は18歳未満の読者様はご遠慮ください
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