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RED - DISK01  作者: awa
CHAPTER 03 * KISSING AND HATING
20/91

* Self Hatred

 少しするとアゼルに促され、またベッドに入った。

 彼は向き合って私に腕枕をし、私の髪を撫でた。

 「誰になに言われても気にしないんじゃなかったっけ」

 そのはずだった。気にしないはずだった。「もう、わかんない」

 ただ、すごくムカついた。両親の姿が見えた。だけど知られたくないことは、考えたくないことは言わなかった。無意識に自制していた。

 「けど泣かねえんだな」

 泣くのは哀しいときだけだ。私にはもう、怒りと憎しみしか残ってない。

 「哀しくはないから」

 彼は笑った。

 「変なやつ」

 そう言うと少し下がり、微笑んで私の頬に触れた。

 「お前、その髪キライなの?」

 「大嫌い」即答した。

 「ふーん。似合うのに」

 「そういう問題じゃない」

 「俺に赤は似合うと思う?」

 「知らない」

 「青と赤なら?」

 「髪の話じゃないの?」

 「髪の話」

 「青い髪って、バカっぽい」

 「んじゃ一緒にブロンドにするか」

 ブロンド。ベビーブロンド以外ならいいかもしれない。「しばらくしたら私のほう、金と赤っていう、ものすごく不気味な組み合わせになるんじゃないの?」

 想像したのか、彼がまた笑う。

 「確かにそれは不気味だな」

 「髪を染めるなんて考えたことがない」

 「俺は更生施設に入る前にブロンドにしてた」

 「染め直さなきゃいけないの?」

 「いや、飽きただけ」

 「飽き性って最低だよね」

 「基本的に何事にも無関心な奴に言われたくない」

 「髪の色を変える気はないの」謎が解けるまでは変えない。私は目を閉じた。「赤は憎しみの色でしょ。怒りの色。敵意の色。炎の色。だから変えない」

 「俺の中で赤はもう、お前の色そのもの」

 笑える。「私もそう思ってる」

 髪はキライだけれど、赤は好きだ。落ち着く。だから携帯電話も赤にした。

 目を開けて、アゼルのグレーの瞳を見た。

 「知ってた? 私、あんたの番号知らないの。アドレスも」

 「知ってる。お前が訊かねえから俺も訊かねえ」

 「私が自分から番号訊くタイプだと思ってんの?」

 「だからって俺が訊くと思ってんの?」

 思わない。「一生知らないままでいいか。そしたらうるさくないし」

 「寝てるとこ起こされなくていいしな」

 「いがみあわなくて済むかもしれない」

 「夜中にお前の家に不法侵入すればいいし」

 「それはやめてください」

 「なにされようと気にしないんじゃなかったのか」

 「話が違うよね。ぜんぜん違うよね」

 「とりあえず黙ればいいと思う」

 「なら黙らせればいいと思う」

 ふたりで笑い、キスをした。

 アゼルはキスしながら私の身体を撫でたけど、それ以上はしようとしなかった。

 私はありえない痛みを承知で、早く慣れたいと彼に言った。

 彼は、応えてくれた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 また少し眠ると、リーズとニコラが来た。

 アゼルがリビングに行き、私たちはベッドに背をあずけて床に座った。ニコラは私の右隣で、リーズは私の左隣に。一度家に帰ったマスティから、なんとなくの事情を聞いたのだという。

 「失敗だったんだよね、最初から」リーズがつぶやいた。「なんにも考えずに、ただおもしろがってインミを連れてきたんだけど」

 ニコラが言う。「アゼルはあんまりいい顔しなかった。っつーか、ブルとマスティもか。でもうちら、一度誘ったからには引くに引けんくて」

 リーズが続けた。「うちら、アゼルのこともインミのことも、よくわかんないんだ。アゼルは基本的にそっけないし、マスティとブルは、アゼルが施設に入ってからもやっぱり、彼女がいると居心地悪そうにしてて。だからここの鍵も渡さなかった。それでもインミは、アゼルの話をよく持ちだしてて。なんかうちらも、どうしていいかわかんないし」

 ニコラが苦笑う。

 「でもほら、あんまり疎外すると、なんか仲間はずれにしてるみたいになってイヤじゃん。ツレとしては、話してるとわりとおもしろいし。あいつらもそれはわかってくれてんのか、はっきりとは言わなかったんだけど」

 私は立てた膝を抱え、床の一点からずっと視線をそらさずに、彼女たちの話を聞いている。

 「ベラが気にすることないよ」リーズは私の肩にもたれた。「これはもともと、うちらの失敗だから」

 ニコラが私の髪を撫でる。

 「イヤな思いさせてごめん。アゼルがはっきり、もう来るなって言ったらしいから、もう来ないよ。うちらはインミとどうなるかわかんないけど、そこはもう、あの子に任せる。ツレじゃなくなるかもしんないけど、それはそれでいい。うちらもうどう考えても、マスティたちと一緒で、アゼルのほうがだいじなんだ。怖いけど」

 リーズは笑って同意した。身体を起こし、ニコラと一緒に私の髪を撫でる。

 「だからもう気にしなくていいよ。平気だから」

 そんなやさしさに、自己嫌悪が自分を襲った。私はなにをしても、けっきょく、うまくはできない気がする。

 顔を伏せ、私の髪に頬を寄せた二人の腕の中、静かに泣いた。

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