* Lost Virgin
部屋に戻ってみんなで少し話をしたあと、一足先にリーズたちが帰っていった。
マスティたちは午後十一時前まで居てくれたものの、そのうち眠くて限界だから帰ると言いだした。“薄情者!”と叫んでやった。笑われた。
シャワーとアゼルのTシャツを借りた。なぜここに奴の服があるのかよくわからなかったけれど、わりと泊まることがあるから、それなりに置いてあるのだという。
ものすごく抵抗したけどけっきょく、向かって左側の、アゼルがよく使っている狭い部屋に入った。クローゼットはあるものの、それを除けばベッドと、ナイトスタンドと灰皿の乗ったナイトテーブルがあるだけだった。
そして私は、処女ではなくなった。
「夏はキライ」真っ暗な部屋の中、アゼルが言った。「こうすんのすら暑苦しい」
彼はクッションに頭を乗せて左腕で私に腕枕をし、背後から私の腰に腕をまわしている。
笑える。「じゃあもうしなきゃいい。あんな痛いの、もう二度としたくない」
本気で痛かった。死ぬかと思った。カラダが引き裂かれるかと思った。骨が折れるかと思った。少なからず時間は経ってるはずなのに、まだ痛い。
「ぜんぶ入ってねえのになに言ってんの? 加減したほうだぞ」
ぜんぶとか、加減とか、まったく意味がわからない。「ぜんぶ入れられたら本気で死ぬと思う」
「んなわけあるか。何回かすりゃそのうち平気になるはず。処女相手にしたことねえからよくわかんねえけど」
平気で言うな。「喰わず嫌い?」
「痛い痛いうるせえだろ。途中で無理とか言われたら萎えるし」
私はそれを何十回も言った。でも彼はやめなかった。「下手なんじゃないの?」
「黙れアホ。そのうちわかる。そのうちぜんぶ入る」
どうだか。「中学三年生でそういうのもどうかと思うけど、そのうえ中学一年生に手出すってどうなの?」
彼は笑った。
「自分でもどうかと思うわ。だからわりと悩んだ」
「悩む? 悩むなんてことしたの? できるの?」
「もうお前、マジで黙れ。じゃねえともう一回突っ込むぞ」
「まだ無理」
「朝までなら待ってやる」
「三年待ってください」
「三分後に変更する」
「三秒後じゃないところにやさしさを感じる」
「お前アホだろ」
「だいじょうぶ」
「なにがだよ」
「三分後にはもう寝てる」
「寝てても起こす」
「蹴飛ばしてやる」
「突っ込んでやる」
「黙れロリコン」
「黙れクソガキ」
「墓穴掘ったね、今」
「もう黙れ。マジで黙れ。黙らねえとマジでヤる」
「三十分待って」




