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リターナ  作者: 如月由縁
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高尾の日記・その六

 今日、ハチがナナにキスをしていた。


 キスという行為は……いや、おぞましくてここに書きたくも無い。


 とにかく、ハチはナナにキスをした。


 その結果、ナナは片言だが言葉を喋るようになった。


 これが何を意味するのか、今はそんな事、考えたくすらない。


 そしてもう一つ分かった事がある。


 それは保護者がリターナを恐れていたのは僕が考えていたような理由じゃなかったと言う事だ。


 ……正直な話。僕は怖い。


 僕はただ、保護者が恐れている事が何かを知りたかっただけなのに、まさかこんな事になるなんて。


 けど、もう取り返しはつかない。


 この先どうなるかなんて分からないし、考えたくも無い。知りたくも無い。


 そうだ、止めてしまおう。


 リターナの研究を止めてハチやナナと別々に住むようにすればこれ以上、間近であんな行為を見なくて済む。


 止めてしまおう。


 ……けど、これは僕の責任だ。


 だからせめて見届けなくてはならないと思う。


 関わっていかなければならないと思う。


 けど、今は何も考えられないから、だから観察でわかった結果だけ書こうと思う。


 それぐらいは許されると思う。


 僕自身、信じられないし信じたくないしどうしてそんな事になっているのか全然考えがまとまっていない。


 だから本当はこんな事は書きたくないし考えたくないし本当に嫌なのだ。


 ……けど、逃げる事はできない。


 こんな事を肯定するのは怖いけど、目をそむける事だけはできない。


 だから、ここに結論だけ記す。


 そう……リターナの方が僕達よりも純粋な人間に……近いのだ。

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