高尾の日記・その五
今日はハチがナナと口を合わせようとしていた。
それが何の意味がある行為なのか僕には分からないけれども、ひょっとしたらリターナ特有の習性なのかもしれない。
観察するべきなのだろうか?
それはともかく、最近のハチは様子が変だ。
なんだか落ち着きが無いし、いらいらしているみたいだし、見様によっては落ち込んでいるようにも見える。
まるでクリスを見ているようだ。
こんな事は今までに無かった事だ。
これはやはりナナに原因があるのだろうけれども、ナナの何が原因となっているのかだろうか……まるで見当がつかない。
少なくとも僕自身の経験からは該当する事象を体験した事は無いし、一般的な人間の男が女が近くにいたせいでこんな変化を見せた件例は聞いた事が無い。
ひょっとしたら純粋な人間方面に関係があることなのか?
とすると、あの口を合わせようとする行為も昔の資料を調べれば何なのかわかるかもしれない。後で調べておく事にしよう。
それにしても、僕の研究もようやく軌道に乗ってきたような気がする。
ハチを僕達人間と同じように見てしまっているせいで理解できないでいる事は多いが、ハチは順調に変化を見せ始めているし、リターナに関するデータも増えてきた。
引き続き、研究を続ける事にしよう。