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プロローグ
ふと、今宵の月を見上げる。今晩の月は十六夜である。
「月⋯ねぇ」
月は光る。夜闇を照らす。しかし、太陽の光や雲の影響で陰ったりもするし、時には夜間に出てこない朔の時もある。月は、まるで人の心のようである。
でも少なくとも、自分の心はあのように清らかな光は放っていない。ネガティヴ思考な自分の心のことだ、きっと、色があるなら、薄い蒼色のように、もっと寒々しい色だろう。いや、光を放ってすらいないだろう。
それに対し、彼の心は⋯
きっと純粋に美しく眩まばゆい光を放っているのだろう。太陽のようでもない、粋な、色で例えるならば白い光。いつか、届くだろうか。私が、手を伸ばしている、けれど中々届かない、あの月へ―




