~プロローグ~
―――目を開けると、白い天井があった。
消毒液の匂いが鼻を刺す。
白い布団に包まれ、周囲を同じく白いカーテンで囲んでる。
(病院……?)
喉に違和感を覚え、そっと触れる。
大きく腫れているようで、ひり、とした痛みを感じた。
……ああ。
失敗、したんだ。
そう思った瞬間、胸の奥がじわりと熱くなった。
―――生きている。
―――どうして。
自然と涙が溢れ、白い布団で涙を拭う……
そのとき、病室の扉が静かに開いた。
「あぁ、よかった。目を覚ましてくれて」
(……だれ?)
スーツの男性が立っていた。
三十代前半ぐらいだろうか。
メガネの奥の目が赤く腫れている。
「……僕だよ。」
(この声、どこかで聞いたような……)
すぐには思い出せず、困った顔をしていると、
「スレイだ……わかるかな?」
「……あぁっ!」
その名前を聞いた瞬間に思い出した。
私が毎日のように遊んでいたネトゲ仲間の、プレイヤーネームだった。
「間に合ってよかった、もう少し遅かったら……いや、」
そう言い淀み、彼は私に近付いて手を握った。
「つらいかもしれないけど、僕は君に生きていて欲しい」
その手は、驚くほど強く、震えていた。
でも、わたしは、もう、だれかを信じることなんて、できないと思っていた――――――
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