母娘のナポリタンとオムライス
忙しい日々の中、ようやくできた休日。子育てや家事に追われる主婦は、まだ幼い娘と「喫茶シャングリラ」に訪れた。
以前この主婦が「喫茶シャングリラ」を訪れたときは、心に余裕もなく、時間的にも精神的にも追い詰められていた。あのとき食べたスープとパンの味が忘れられない。喫茶店を出る頃には、この店の温かみのある雰囲気に癒され、エネルギーがチャージされたことを覚えている。
母娘が席に座ると、娘は迷わずオムライスのお子様ランチを選んだ。
「ママの作ってくれるオムライスが大好きだから!」
母親は娘の純粋さに目を細めつつ、自身は昔からの定番ナポリタンを注文した。
2人とも、キッチンから漂う香ばしい匂いに、食欲をそそられる。
やがて、テーブルに運ばれてきたお料理。娘のオムライスには、ケチャップでかわいいネコさんが描かれていた。
「わぁ、かわいい!」と娘は大喜びでスプーンを手に取る。
「おいしい?」母親は微笑みながら尋ねる。
「うん!ママも食べて」娘は一口分のオムライスを分けてくれた。
母親はその一口を味わいながら、何か忘れかけていた大切な感覚を思い出した。忙しい毎日で家事に追われていたけれど、この瞬間だけはゆっくりと流れる時間を感じることができた。
2人はお互いの料理をシェアしながら、笑い声が絶えなかった。
喫茶店を出るとき、母親は心の中でそっと誓った。
「これからも、どんなに忙しくても、こうして娘と一緒に過ごす時間を大切にしよう。」