壁際のジェントルマンとプリンアラモード
おやつの時間、午後3時。一人のジェントルマンが「喫茶シャングリラ」にやって来た。
このジェントルマンは、背筋がピンと伸び、グレーのスーツを品よく着こなしている。
ジェントルマンは、壁際の目立たない席にそっと腰を下ろし、メニューを見ながら少し躊躇する。子供の頃からの憧れだったプリンアラモード。その甘いデザートはあまりにも子供っぽく、大人の彼が頼むには勇気がいる。
しかし、「喫茶シャングリラ」の温かみのある空間に包まれていると、ジェントルマンは不思議とその恥ずかしさが薄れていくのを感じた。
ジェントルマンは店主に目配せをして、オーダーをお願いした。
「プリンアラモードを一つお願いします」スマートな注文だ。
やがて運ばれてきたプリンアラモードは、鮮やかなフルーツに彩られ、カラメルソースがつややかに輝いていた。そっとプリンを口に運んだ。
甘さとクリーミーさが絶妙に溶け合い、彼の舌の上で広がる。ここでは、自分が子供のように楽しんでいることを誰も気にしない。
ジェントルマンは、優雅にプリンアラモードを味わいながら、ほんの少しだけ自分に素直になることができた。
店を出るとき、ジェントルマンは苦いコーヒーがほしくなった。「次は、飲み物とセットにしよう。」