青春のレモンスカッシュと夢いっぱいのクリームソーダ
ある夏の午後、「喫茶シャングリラ」の扉が軽やかに開き、幼い孫を連れたおじいさんが入ってきた。
おじいさんと孫は、4人がけのテーブル席にゆったりと腰を掛けた。
「好きなものを頼みなさい」おじいさんが孫にメニューを渡すと、孫は興味津々でメニューをめくり始めた。
「おじいちゃんは、なににするの?」決めかねて、孫が尋ねる。
「わたしは、これにするよ」おじいさんは、レモンスカッシュの写真を指した。
「この隣の緑色のはなに?」メロンソーダである。
「興味あるかい?試してみようか」おじいさんが微笑みながら尋ねると、孫は遠慮がちにこくりとうなずいた。
「アイスもつけよう。甘くて美味しいよ。」
おじいさんは、レモンスカッシュとクリームソーダを注文した。
レモンスカッシュが先に運ばれてきた。氷の音が涼しげに響き、レモンの爽やかな香りがふわりと漂う。
次に、孫の前にクリームソーダが置かれた。鮮やかな緑色のソーダの上に白いバニラアイスが浮かび、チェリーがちょこんと乗っている。孫は目を輝かせた。
「さあ、飲んでごらん」おじいさんは孫に促しつつ、自分もレモンスカッシュを飲み始めた。
口に入れた瞬間、レモンの爽やかな酸味が口いっぱいに広がった。青春時代の甘酸っぱい思い出がシュワシュワ弾けながらよみがえる。
孫もクリームソーダを口に含んだ。パチパチと炭酸が舌の上で弾けたかと思ったら、アイスの優しい甘さが口の中に流れ込む。孫は今までにない感覚に心を躍らせた。
おじいさんは青春を懐かしみ、孫は初めての出来事に夢中になって、しばらく2人は無言で飲み物を楽しんだ。思い出のシュワシュワと無限の可能性のパチパチが、2人の間を駆けめぐる。
やがて、2人は飲み終えたグラスをそっとテーブルに置き、満足げな表情で店を後にした。




