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ボディビルダーとミックスジュース

 「喫茶シャングリラ」に入ってきたのは、大柄で筋骨隆々の男性。レトロな喫茶店には馴染まない雰囲気をまとっている。


 この筋骨隆々の男性は、いつもであればジムのプロテインバーで食事を済ませるが、たまには違う場所でリラックスしようと思ったのだ。トレーニング後の体がまだ熱を帯びているのを感じながら、カウンター席に腰を下ろす。


 メニューを手に取り、すぐに目に留まった「ミックスジュース」の文字。「なるほど、これはフルーツと栄養が詰まったプロテインドリンクのようなものだろう」と思い注文した。

「ミックスジュース、ひとつ」と低く響く声で伝える。


 しばらくして運ばれてきたのは、カラフルでクリーミーなジュース。見た目からして少し違う気がしたし、飲んでみるとその甘さに驚いた。

「これが今どきのプロテインドリンクか」と疑問が頭をよぎるが、プロテイン特有の風味が一切しない。それどころか、まるでデザートを飲んでいるような感じだ。


 筋骨隆々の男性は店主を呼び、尋ねる。

「すみません、おねえさん。このドリンクには何が含まれていますか?」

 店主は淡々と回答する。


「そうか、これは普通のジュースだったのか…」男性は思わず顔が熱くなる。たが、ここで動揺しては鍛えた体が泣く。ゆっくりとジュースを飲み干し、店主に微笑んで見せる。


 喫茶店を出るときには、少し肩の力が抜けた。次からはメニューをもっと慎重に選ぶことにしようと心に決めたが、あのミックスジュースの甘さは意外と悪くなかった。

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