天堕天界戦争:不死王vs六番大天使1
天堕天界戦争:不死王vs六番大天使1
※不死王のセリフをカタカナ表記から普通に戻してます。セリフが多すぎて流石に面倒いのでごめんね。
時は少し遡り、仁が六番大天使を城の外に投げ飛ばした頃。
ドラゴの背中に乗る不死王は、自分に向かって正確に飛んでくる六番大天使を見て慌てていた。
「ちょ、私をピンポイントで狙ってくるとか聞いてないんだが........団長さんは私を殺す気か?」
正確無比に飛んでくる六番大天使はあまりの速さに空中でのコントロールが効かず、不死王を殺す勢いでやってくる。
不死王は予想と反した飛び方をしてきた六番大天使を避けると、不死王に向けて攻撃を開始した。
これだけ隙だらけと言うのに、攻撃しない手はない。
不死王は負の魔力弾を放ち、六番大天使にダメージを与えようとする。
「本当に要望通りになったな........前も思ったが、本当に人間か?天界にひとりで突っ込むと聞いた時は耳を疑ったが、やはりあの者は頭がちょっとどうかしている。私の瘴気に平気で耐えられている時点で、人間として見るべきでは無いな」
不死王はそう呟きながらも、続けて魔力弾を放つ。
放たれた弾丸は真っ直ぐ六番大天使へと吸い込まれて行き、六番大天使の身体を強く打ち付ける。
殺傷能力がそこまで高くは無いが、普通の人間相手に放てば当たった相手がミンチになるほどではあった。
相手が大天使でなければ、簡単に殺してしまっていただろう。
瘴気の纏う魔力弾は聖なる使徒である六番大天使を蝕み、聖を負へと変換する。
相性で言えば、光と闇。お互いがお互いの弱点となり、お互いがお互いの特攻である。
不死王は徐々にスピードが落ちていく六番大天使を追いかけながら、できる限り魔力弾を当て続けた。
一方的な攻撃は元聖職者である不死王にとってあまり心地の善いものでは無いが、六番大天使がしてきた事を思えばむしろもっと過激にやってもいい程である。
なんの罪もない人々を、自らの目的のために殺戮した六番大天使に慈悲をかける必要など欠片もないのだ。
しばらく不死王の追尾が続くが、やがて終わりはやってくる。
ジンに投げ飛ばされた勢いがようやく収まった六番大天使は、翼を大きく広げて瘴気諸共吹き飛ばしながら空中で体制を整えた。
「なんて人間だ。この俺を投げ飛ばすのもそうだし、天界に乗り込んでくる時点でいたまがおかしいとしか思えん。しかも、こんな負に塗れた劣等魔物まで居るとはも思わなかったぞ」
「その劣等魔物に今から殺されるのだ。“女神の使徒”を騙る詐欺師よ」
あれほど魔弾を受けたと言うのに、六番大天使には傷らしい傷は無い。
しかし、不死王からすればそこまで落ち込むことでもなかった。
ある程度は予想していたことだし、何より目的は既に達している。不死王は六番大天使への殺意を隠すことなく、不死の軍勢で六番大天使を囲み始めた。
「“女神様の使徒”を騙る?笑わせるな魔物が。魔物ごときが、女神様の何が分かると言うんだ?少し知能を持ったからと言って世界を知った気になるとは、随分と天使を舐めてるんだな」
「天使如きが女神様の何がわかると言うんだ?運良く選ばれだからと言って、その地位に胡座を掻く天の汚物がよく吠える」
「........口の利き方には気をつけろよ魔物が。俺の機嫌を損ねることは、女神様の機嫌を損ねる事と同意義だぞ」
「よく言うわ。女神様はそこまで度量の小さなお方では無い。それに、貴様は女神様でもなければ女神様の代弁者でもないのだ。口の利き方には気をつけろ」
売り言葉に買い言葉。
お互いが煽り合うその光景は、あまりにも幼稚すぎる。
しかし、ここで先に手を出した方が負けであることに変わりはない。口喧嘩という最初の戦いは既に始まっているのだ。
1歩も引かず、的確に痛いところを突いてくる不死王に苛立ちを覚える六番大天使は、額に青筋を浮かべた。
「魔物風情が天使を騙るな。殺すぞ」
「おやおや?図星を突かれて反論できないのか?可哀想だな。幼き頃から選ばれたと言うだけで持て囃された天使は。頭の発達が遅れて言葉もろくに選べない」
「選ばれなかった奴の僻み等聞くに値しないだけだ。嫉妬したいなら白いハンカチでも口にくわえてるといい」
「選ばれた結果がコレとか女神様もさぞ泣いておられるだろう。人間に期待したと言うのに、その期待を裏切られる形となったのだからな。あぁそもそも、女神様に選ばれてすら居ないのだから、女神様も涙を流す必要は無いか」
「これだから下々は嫌なんだ。嫉妬に僻み。哀れみすら浮かんでこない」
「少なくとも、貴様の下々は天使だろう?運が良かっただけのペテン師が、人間を管理するなどと言う神の領域に踏み込んでる時点で貴様は天使を名乗る資格は無い」
「天にとっては人類そのものが下々だ。貴様のような魔物から守る義務がある」
「守って貰った覚えがないのだかな。私が知っているのは、人間を殺す天使だけだ。それに、魔物から人を守る天使が魔物の手によって滅ぼされるとはお笑い者だな。見てみよ。天界は今、滅びているぞ」
天界を指さす不死王。
その指の先では、虐殺されゆく天使達が滅びに向かう天界があった。
既に栄えた天界の建物は朽ちていき、破壊のみが天界を創造する。
天界が滅ぶのも時間の問題だろう。既に大天使を失っている彼らに、厄災と対峙するだけの戦力は残っていない。
「下々を守る義務があるのだろう?ほら、今にも滅ぶ天界を守って見せろ。それとも、天使というのは自分の言った事も守れない嘘つきなのか?やはり詐欺師ではないか」
「貴様ァ!!余程死にたいらしいな!!ぶち殺してやる!!」
最後の煽りがよほど効いたのか、六番大天使は怒りに任せて不死王を殺さんと向かっていく。
不死王は最初の戦いに勝利したことを確信しながら、六番大天使を迎え撃つのだった。
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不死王と六番大天使の口喧嘩をしている最中。
仁は既に大天使の始末を終えて、不死王と六番大天使のやり取りを遠くから見守っていた。
「........何を言ってるのか分からんが、なんか口喧嘩してんな。聖職者も口喧嘩とかするのか」
六番大天使の表情を見るに、不死王が優勢。しかし、何とか食らいついているのが見て取れる。
内容こそ分からなかったが、コロコロと表情の変わる六番大天使を見ていればどちらが優勢かぐらいは簡単にわかった。
「こんなことなら不死王に煽り方を教えてあげれば良かったな。まぁ、本人は割と楽しそうだしいいか」
滅びゆく天界を横目に、仁は不死王と六番大天使の行く末を見守るのだった。
えー、大変申し訳ありません。不死王の台詞がカタカナで面倒と言って普通にした上に、不死王と六番大天使のやり取りが2回も出てました。
こっちが本編ということで何卒よろしくお願いします。
ガバガバ過ぎた......




