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作戦会議?

 五分と経たないうちにシルフォードは、三姉妹と獣人達も集めてきた。


 戦争に参加したがっていたエドストルはもちろん、その他の団員達もどこか嬉しそうにしている。


 この様子を見るに、エドストルだけが戦争に参加したいのでは無く全員が参加したかったのかもしれない。


 「準備はいいか?」


 俺はやる気満々の団員達に確認をとると、全員が頷く。


 その顔は揺レ動ク者(グングニル)に所属する者として、ふさわしいものだった。


 「よし、それじゃぁ行こうか。どっかのバカのせいで誠に不本意ながら、この世界で揺レ動ク者(グングニル)としての初陣だ。イス、頼んだぞ」

 「了解なの!!死と霧の世界(ヘルヘイム)


 霧に覆われ、普段暮らす森の中から寒さ凍える氷の世界へと入り込む。


 出迎えてくれたのは、毎度おなじみモーズグズとガルムだ。


 「お待ちしておりました。お久しぶりですジン様」

 「バゥ!!」

 「おう、久しぶり」


 丁寧に挨拶をするモーズグズと、おすわりをしながら元気よく吠えるガルム。


 いつもと変わらない2人を俺は微笑ましく思いながら、軽く挨拶だけを済ましてシルフォード達と作戦会議を始める。


 と言っても、細かい作戦は無いので簡単な確認程度だが。


 「さて、俺たちの初陣だ。不本意とは言え、やるなら完璧にやるとしよう」

 「仁、ヴァンア王国が初陣じゃないの?」


 花音がもっともな事を聴いてくる。


 確かに俺達の初陣はそうだったが、シルフォード達は今回が初陣だ。


 「俺達はな。あの時はシルフォード達はいなかっただろ?それにほら、初陣って言うと気が引き締まるじゃん?」

 「私達三人以外は初陣だねぇ」

 「だろ?毎度毎度初陣なら話は別だけど、今回は11人中8人は初陣なんだから、初陣でいいんだよ」

 「初陣初陣言いすぎて、ゲシュタルト崩壊してきた」


 初陣は初陣であって、俺達は初陣ではないが、この人数なら初陣となって........あれ?初陣ってなんだっけ?


 まぁ、おふざけはその辺にして、今やるべき事の確認をしよう。


 「作戦会議といっても、なんか細かい事をチクチク立てるわけじゃない。やることといえば、魔物の確認だけだな」

 「地竜(アースドラゴン)だっけ?私達がいた島にはいなかったねぇ」

 「流石に地竜レベルになると皆知ってるとは思うが、一応確認するか」


 地竜(アースドラゴン)


 この世界に存在する竜種の中で、唯一空を飛べない竜とされている最上級魔物の一種だ。


 見た目はほかの竜種とは違い、亀のような見た目をしている。


 “地を這う者”“大地の調停者”など色々な呼び名がある。


 地竜の特性としては、土魔法を使うという事だろう。


 赤竜(レッドドラゴン)が火魔法を使うように、青竜(ブルードラゴン)が水魔法を使うように、地竜は土魔法を使う。


 空を飛べるものにとってはさほど驚異にはならないが、地に足をつけて戦う者にとっては相性最悪だ。


 かなりの練度とその圧倒的な魔力から繰り出される土魔法は、大地を引き裂き、奈落へと落とすと言われている。


 さらに、その甲羅も異常な硬さを持っており、並大抵の者では傷一つすらつかない。


 この世界で最高硬度を持つ灰輝鉄(ミスリル)ですら、地竜の甲羅を切り裂くことは出来ないと言われている程だ。


 多分、光司の聖剣なら簡単に切り裂けるんじゃないかな?


 今回は、そんな地竜の巣をつついてしまったようで、およそ150近くの地竜が大行進しているらしい。


 「150もいるんだ。1体でも小国なら滅ぼせる強さがあるのに」

 「俺達が行かなきゃ間違いなくブルボン王国は滅んでいるな。地竜って見た目の割に足が速いようだし」

 「地竜........昔なら逃げるだけだったけど、今なら勝てるかな?サラ、どう思う?」

 「私は........トラップをふんだんに置ける時間があれば勝てますかね。話を聞く限りそんな時間なさそうですが」

 「私も土魔法使うからなー。勝てるかな?」


 三姉妹は、地竜150体と聞いてもさほど緊張していないようだ。


 まぁ、地竜150体よりもやべー奴に稽古をつけられてたからな。


 もちろん、その中には自分よりも大きな相手との戦い方もある。


 ウロボロスやジャバウォックとかにボコボコにされていたのは少し面白かったな。


 「ち、地竜が150体。勝てるのでしょうか........私の異能で勝てる気がしません」

 「僕の異能なんて相性悪すぎかも。どうしよう、勝てる未来(ヴィジョン)が見えない」

 「なぁ、プラン。俺の盾で地竜の突進を止められると思うか?」

 「行けるんじゃないかしら?ほら、フェンリルさんの突進よりはマシでしょ。それより私の矢が通じるか不安だわ」

 「皆さん戦闘系だからまだいいけど、私の異能なんて補助にもならないですよ。どう勝つんですかねぇ........|色覚異常《Colorablind》が通じればやりようはありますが」


 うーん獣人組は少し弱気のようだ。


 俺や花音のように赤竜の巣に放り込まれたりとかすれば、多少の根性はつくだろうに。


 根性で勝てるのかと言われればNoだが。


 「ねーママ。地竜って美味しいのかな?」

 「お、そういえば食べた事ないね。いい機会だし討伐した地竜は持って帰ろっか。赤竜も青竜もおしいかったから、きっと地竜も美味しいよ」

 「おー!!なら1匹も逃さないの!!」


 不安げに自分達の能力を確認する獣人組をよそに、花音とイスは地竜が美味しいかどうかの話をしている。


 楽しそうだね君達。


 俺もちょっと気になるけどさ。


 今まで食べた竜種ってどれも美味しかったし、今回の地竜も期待が高まる。


 幸い、イスの溶けない氷のおかげで保管については考えなくていい。持って帰れるだけ持って帰るとしよう。


 「それ以外だと何が確認されてる?」


 地竜が起こしたスタンピードだ。それ以外にも魔物は多くいる。


 俺はシルフォードに確認すると、シルフォードは待ってましたとばかりにドヤ顔で話し始めた。


 「ゴブリン系とオーク系が幾つかいる。どちらも厳しい荒野の環境に適応してる。ゴブリンの中で一番強いのはゴブリンキング。皇帝(エンペラー)は確認できなかった。オークはオークジェネラルがいるみたい。一応両方とも最上級だけど、地竜には劣るね」


 ホントどこにでもいるなゴブリンとオーク。


 今から行くブルボン王国は、南に行くと厳しい荒野が広がっている。


 その厳しい環境でも生き残れるゴブリンとオークの生命力の強さは、流石としか言いようがない。


 「他は?」

 「スコーピオン系の魔物が多い。ポイズンスコーピオンや、結晶(クリスタル)スコーピオン。中にはジャイアントスコーピオンまでいる。その種類はおよそ25」

 「多いな。特に、ジャイアントスコーピオンって最上級魔物だろ」


 蠍の形をした魔物であるスコーピオン系の魔物は、主に砂漠や荒野に多く生息している。


 今回スタンピードが起こった場所は荒野だから、必然的にスコーピオン系の魔物が多くなるわけだ。


 「ま、スコーピオン系とゴブリン、オークはなんとでもなるだろ。最悪、エートの街の冒険者にも手伝ってもらうか」


 数としてはおよそ1万程度もいるという。


 地竜の巣を続いてしまったばかりに、とてつもない規模のスタンピードになってしまったな。


 「大体なんの魔物がいるかは分かったな?なら自分なりに対策を立てておけ、大丈夫、死にそうになったら助けてやるから」


 ついでに護衛をベオークにでもやらせるかと思って俺は気づいた。


 そういえば、ベオーク置いてきちゃったじゃん。


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