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魔王は何処だ?

 リーゼンお嬢様の家庭教師をする事一週間。俺達は、仕事を終えて拠点に帰ってきていた。


 リーゼンお嬢様には毎日やるべき事をしっかりと教え、サボるようならサリナが報告してくれるように言ってある。


 ちなみに、サボったら罰として走り込み10時間だ。


 朝から晩まで走らせると言ってあるので、余程の馬鹿でない限りは真面目に毎日の訓練をするだろう。


 そこまで厳しいものでも無いしな。


 そして、拠点に帰ってきた俺達はと言うと、団員全員を集めて話し合いをしていた。


 「────────というわけで、七大魔王の内の3体は無事に討伐された訳だが、残りの4体の居場所がまだまだわかっていない。みんなに渡した資料から、何となくでいいから魔王の封印場所を見つけだしてくれ」


 団員達は各々返事をした後、話し合いを始める。


 アスピドケロンが動けない上に、他の厄災級魔物達もデカくて宮殿には入れないから外でのミーティングだ。


 人々が恐れる厄災級魔物達と人類の裏切り者であるダークエルフ、そして災いの子と言われる白色の獣人達が仲良く話し始める様子を見ながら俺も手元の資料に目を落とす。


 「多分見つからねぇんだろうな........」

 「探す前から何言ってるの。一応三ヶ所の情報はある程度揃ってるから、見つけられるかもしれないよ?」

 「三箇所だけで分かったら苦労しないだろ?大まかな推測は立てれるが、正確な場所までは分からないさ」


 神聖皇国の首都大聖堂カテドラ、正教会国の首都に近いとある遺跡、旧サルベニア王国の唯一の都市サルベニア。


 この三ヶ所に共通しているものが、魔王の封印場所特定の鍵になると思っている。


 が、そんなに簡単に共通のものなんて分かるわけが無い。


 俺達だけでは気づけない何かがあるかもしれないと思って、団員全員を集めたのだ。


 まぁ、ぶっちゃえて言うと、こうやって皆で集まって何かを話し合うことでコミュニケーションを取って欲しい。


 特に、あまり交流のない者同士とは。


 俺は話し合う団員達を見ながら、今ある情報を1つづつ纏めていく。


 「共通してそうなのは、何らかの結界が張られていることぐらいか?」

 「そうじゃない?旧サルベニア王国のところにも、結界の痕跡らしきものがあったって書いてあるし」

 「結界が張られていたからなんだって話だけどな........無難に考えれば、結界は女神の目から欺くためのものだ。子供達は悪魔についていったら偶然見つけただけだしな」

 「........でも、女神も悪魔の監視はしてるんじゃないの?」

 「確かにそうだよな。魔王と繋がってる悪魔を女神が監視してないわけが無い。そして、急に悪魔の反応が消えれば怪しむよな?復活のタイミングは分からないとしても、場所は分かるはず?」


 そう考えると、不自然だ。


 子供達が見つけれるような悪魔を女神が見落としてるとは考えにくい。女神は居場所を知っていた?では何故、それを神託で教えない?


 ギリギリで神託をしたのは2回。


 神聖皇国の時と旧サルベニア王国の時だ。


 正教会国の時は4日ほど前だっただろうか。


 他にも不自然な点は多い。神聖皇国なんて足元に魔王が封印されているのにも関わらずその存在を知らなかった。


 明らかにおかしい。


 「何を基準に女神は神託してるんだろうな?」

 「さぁ?それこそ、神のみぞ知るってやつじゃない?ファフ辺りに聞いてみれば何かわかるかもしれないけど........」


 確かに、生きる百科事典こと“原初の竜”ファフニール先生に聞けばいいかもしれない。


 とはいえ、ファフニールも全てこことがわかる訳では無い。


 以前イスが見たという黒いナニカに関して聞いた時は、ファフニールは知らないと答えていた。


 俺は獣人達と話すファフニールの元へ行くと、話を遮ってファフニールに話しかける。


 ファフニールは放っておくとずっと話すようなやつなので、無理やり遮らないと話せないのだ。


 「ファフニール。お前、女神について何か知ってるか?」

 「む?団長殿か。女神についてと言われても、具体的に何が知りたのだ?」

 「具体的に何が知りたいって言われると少し困るけど、そうだな........女神は悪魔を監視してるのか?」

 「そんな事我に分かるわけなかろう。我を全知全能の神とでも思っているのか?」

 「いやー。“原初の竜”の名を持つファフニールなら神をも超えれるのでは?と思ってな」

 「ふははははは!!確かに我は神をも超える竜よ!!」


 俺の冗談に、機嫌よく言葉を返すファフニール。


 その笑い声は空気を揺らす。


 ひとしきり笑った後、ファフニールは俺にひとつアドバイスをしてくれた。


 「おべっかが上手い団員殿ひとつ。女神を我々の物差しで測ろうと思うな。アレはそう言う次元におらん」

 「会ったことがあるのか?」

 「1度だけ声を聞いたことがある。その時に悟ったわ。我は生物であり、女神は神。存在その物の次元が違うのだとな」

 「ファフニールにそこまで言わせるとは、女神ってヤベーな」

 「ヤベーのだ。団員殿。だから間違っても神と戦おうなどと考えるなよ?」

 「安心しろ。女神に恨みはない」

 「ふははは!!なら良いのだ。それと、魔王に関しては何もわからん!!我、その時あの島にいたのでな!!」


 結局、ファフニールに聞いても何もわからずじまいか。


 女神関連で何かを考えるのはやめた方がいいな。


 そもそも、女神が悪魔を監視してて場所が分かっていたとしても、それを俺達が知る手段がない。


 今になってそれに気づくとかアホかな?


 「やっぱり地道に照らし合わせていけしかないのか」

 「面倒だね。それに、照らし合わせても答えが得られるのは限らないのがねぇ........」

 「やる気を削ぐような事をを言わないでくれ。大体の位置が絞れれば、地名がどこか全く分からないところでも何とかなる可能性があるんだから」


 魔王を討伐し終えた後に戦争が控えてなければ多少の被害には目を瞑るのだが、戦争に置いてその国が重要な立ち位置をしている場所は沢山ある。


 一応、その国の名前は全て調べたつもりだが、見落としている可能性の方が高い。


 600以上ある国の中で、戦争に影響を与える国を全て調べるとか無理に決まってんだろ。


 「はぁ、めんどくせぇ」

 「頑張ろ。今苦労しておけばあとが楽だよ」

 「何だかんだ言って後も苦労するんだよなぁ」


 そう言って俺は、団員達に話を聞きながら魔王の居場所の特定に務めるのだった。


 え?居場所は分かったのかって?


 分かったら苦労しねぇよちくしょう。

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