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仁VS魔王ルシフェル④

 仁VS魔王ルシフェルふぉぉぉぉぉ!!

 突如として光りだした魔王。


 何かボソリと呟いていたので、能力を使ったのだとわかる。が、そんな事は関係ない。


 ここで仕留めきれるならば仕留めてしまった方がいいと判断した俺は、その光に少し目が眩みながらも魔王の顔面を狙って拳を振るう。


 だが、その拳は虚しくも空を切った。


 しっかりとその足を握っていたはずの左手から、その感覚が消える。


 どうやったかは知らないが、俺の手から逃れたようだ。


 更に、俺を炙っていた炎は掻き消えた。


 魔王の野郎、髪が燃えたらどう責任とってくれるんだよ。嫌だよ?この年で禿げるのは。


 魔力を覆うのが間に合った為ほぼ無傷で済んでいるが、少しでも遅れたら俺の髪はチリチリになっていただろう。


 正直、今までの攻撃の中で1番心臓に悪かったと思う。


 俺は、自分の髪の安全に安堵しながら距離をとる。


 目眩しの後直ぐに攻撃が来なかったのを見ると、魔王は砕かれた身体を再生しているのかもしれない。


 「いい線行ってたんだけどな。思ったよりも頑丈な身体だ」


 魔王の土手っ腹に風穴を空ける勢いで殴ったものの、思っていた以上に身体が頑丈だった。


 山の1つ程度なら吹き飛ばせる程の威力だったし、相手が悪魔だったら間違いなくその体は爆散していたはずだ。


 やはり、悪魔と魔王では格が違う。


 徐々に晴れていく光の中から、魔王が現れる。


 先程、体のほとんどを壊す勢いで殴ったものの、魔王はパッと見ピンピンしていた。


 潰したはずの足や拳をめり込まして破壊した身体も元に戻っている。


 しかし、最初に受けた天秤崩壊(ヴァーゲ・ルーイン)が崩壊させた片翼は再生されていなかった。


 やはり、理を逸脱した能力での攻撃は絶大である。


 その分制約が重かったり、多かったりする上に、消費する魔力とかも多いが。


 「これを使う気は無かったのだがな。褒めてやろう人間」


 相変わらず傲慢な態度の魔王が、俺に話しかけてくる。


 アレだけボコボコにされておいて、ここまで傲慢でいられるのはある意味才能だ。


 俺は、何があってもいいように周りを警戒しながら言葉を返す。


 「そいつはどうも。これだけやりたい放題されても、その態度を貫けるのは褒めてやってもいいな」

 「ふん。その口が叩けるのも今のうちだぞ?今の我は先程の我よりも何倍も強い」

 「ハイハイすごいすごい。すごいのは分かったからさっさとかかってこい。言ってるだろ?この後仕事があるんだよ。後、0を何倍にしたところで出る数字で0だぞ」

 「言ってくれるでは無いか。人間!!」


 魔王は両手を大きく広げると、魔力を練り上げる。


 その魔力を練り上げる速度は確かに今までも何倍も速い。練り上げる速度だけではない。その魔力の量も相当な物になっている。


 魔王を煽るために“0を何倍にしたところで出る数字で0”とは言ったが、これはのんびり見ていると痛い目を見そうだ。


 俺は、魔王が魔力を練り上げ切る前に魔王に攻撃を仕掛けようと接近する。


 魔王は空をそんでいる為、俺も足場を出してその上を駆けていく。


 「“吹き飛べ”」


 魔王は魔力を練り上げながら、言葉を放つ。


 あれほど自信満々だったのに、俺を迎撃する言葉がそれか?だとしたら期待はずれだな。


 「重厚なる(ファラ)─────────」


 俺はその言葉を防ごうと、重厚なる盾を出そうとした。


 が、途中で違和感に気づく。


 魔力の動きがおかしいと。


 “吹き飛べ”の場合は正面から魔力が飛んでくる。俺はそれに合わせてガードしていたが、今回の魔力の動きは俺の上から落ちてくるような動きをしている。


 言葉によるフェイク?もしくは、使わなかっだけで多少のコントロールはできる?それともこの魔力の動きすらもフェイクで本命は別か?


 様々な考えが浮かぶが、今はそんな余裕はない。


 「盾よ(ンクス)!!」


 9つの盾が俺の周りを覆う。


 後手に回るのは嫌だったが、それ以上に攻撃を下手に喰らいたくない。


 バチンと俺の頭の上を覆っていた盾に衝撃が走る。


 どうやら、魔力の動きの通りに攻撃が飛んできていたようだ。


 もし、食らっていれば俺は砂漠の海へと叩き落とされていただろう。


 気づいてよかった。


 だが、防御に専念してしまった為、足が止まる。


 それはつまり.........


 「“神の裁きを知れ。(いかづち)よ落ちろ”」


 魔王の攻撃を許してしまう事になる。


 練り上げられた魔力が雷となって地面へと降り注ぐ。


 辺りは一気に暗くなり、大地を照らしていた太陽は突如として現れた雲に隠れる。


 そして、太陽の変わりに大地を照らすのは神の裁きと言われた雷だ。


 空気を揺らす轟音を鳴り響かせながら、無差別に襲いかかるその雷はまさに天罰。


 既に展開している重厚なる盾にもその天罰は降り注ぎ、盾を破壊せんとする。


 面倒な攻撃だ。広域無差別攻撃は動きを制限されやすい。


 下手に動くと、思わぬことろから攻撃を食らうから嫌なんだよ。


 殺気はもちろん気配もほとんど感じないから、探知と視覚や聴覚に頼って避けるしかない。


 ニーズヘッグとかが好き好んで使う戦法だな。あいつの場合はこんなのとは比じゃないほど周りを巻き込んで吹っ飛ばすから更に厄介だが。


 ともかく、その雷を何とかしないとどうしようもない。


 さすがに、これほどの魔力の篭った雷を素で食らって無傷と言うのは無理だ。


 「紋章無き騎士達(ブラック・ナイト)


 俺は頭の上の盾だけを残し、黒騎士達を召喚。


 そのまま魔王に向かって突貫させる。


 俺の作り出した足場を使って、黒騎士達は魔王に襲いかかる。


 これだけの魔力を操作しているのだ。近接戦闘にまで意識を回せば、多少のゆらぎが出るだろうと考えたのだ。


 結論から言えば、その考えは甘かった。


 魔王は剣を振りかざす黒騎士と距離を詰めると、剣を振り下ろすよりも早くその頭を掴んで俺に投げ返してくる。


 その速さはかなりのものであり、()()黒騎士達では到底対処出来ないものだ。


 残りの7体が一斉に魔王を切り裂こうと様々な斬撃を繰り出すものの、その攻撃全てがこどごとく避けられる。


 死角からの攻撃もまるで見えているかのように躱され、更には反撃を貰ってしまっている。


 これはちょっと厳しそうだな。


 とはいえ、魔王とてそこまで余裕がある訳では無い。これほどの強大な能力の維持に加え、連携の取れた攻撃を捌くのでいっぱいいっぱいだった。


 ここに俺が入っていけばかなり有利に事進められるかもしれないが、どことなく魔王が俺の接近を誘っている気がする。


 あの島で培われてきた戦闘勘と言うのは、バカにできない。


 その勘のお陰で助かった事など両手で数え切れないほどあるのだ。


 俺は、一旦魔王から距離を取って地面に降りる。


 先ずは、厄介なこの雷を退かすとしよう。


 俺は魔力をゆっくりと練り上げていく。


 本来ならば、これほど大きな魔力を練り上げていくのに時間がかかり過ぎて妨害されてしまうのがオチだ。


 しかし、今は黒騎士達が魔王の相手をしている。魔王も流石にこの魔力はヤバいと感じ取ったのか、俺に向かっていこうとするがそれは黒騎士が許さない。


 十分な時間を使って魔力を練り上げた後、俺はその全てを拳に集めて圧縮させる。


 「衝波鉄壊術・轟!!」


 天に向けて打ち出した掌底は、天罰を貫いて隠れいてた太陽が顔を出す。


 貫かれた天罰はその衝撃波によって破壊され、落ちていた雷は霧散する。


 衝波鉄壊術。掌底により打ち出した衝撃波と、それを当てた物体に衝撃を浸透させて内側から壊す技だ。


 本来は天気を変える様なむちゃくちゃな使い方はしないが、膨大な魔力があれば天気すら変えれる。


 「バカな...........」


 空を見上げた魔王が、その口をあんぐりと開けて固まっている。


 さて、そろそろ幕引きと行こうか。

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