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話を聞いて

早速のブックマーク登録ありがとうございます!

登録が増えていたら、ついつい顔がにやけてしまいます☆


R2.7.31 前話修正。服装についての記載が少し増えています。楽ちゃんの年齢を4歳に変更しました。

「何やってるの?早く帰りなさいよ」


紺のコートに制服を着ているリコちゃん。立ち上がり、スカートから伸びるハイソックスを履いた足を少し開き、腕を組む。そして、つり目がちな目を細め、こちらを睨む。リコちゃんが立ち上がると、周りの人がざわめき視線をそらす。


「?」


少し気になったが、今はそんなことを気にしている場合じゃない。


「だから、どうやって帰るの?」


「リコ、そなたの侍女らは、ニホンという国には帰れぬよ」


…は?


待って、待って、待って、待って!帰れない?!嘘でしょ?!


「どういうことですか?」


「無礼な!侍女の分際で王子殿下に話しかけるなど!」


「オルガス。まぁ、よいではないか。今までリコに尽くしてくれていたのだから、褒美代わりだ。質問を許すぞ」


尽くした覚えはないけども、それどころじゃない。


「私たちは帰りたいんです!どうか、お願いです。日本へ帰る方法を教えて下さい!」


「方法があるなら教えてやりたいのだが、何千年という歴史の中で、この世界を訪れて下さった聖女は、誰一人として自分の国に帰った者はおらぬ。つまり、いまだその方法が分からぬということだ。しかも、そなたらのように侍女とその子どもが一緒に来るなど前例がない。分かったか?聖女が帰れぬのに、ただの侍女とその子どもであるそなたらが帰れるわけがないであろう」


「そんな!」


目の前が真っ暗になった。もう日本に帰れないなんて、そんなことって…!


「しぃちゃん…」


楽ちゃんの手に力が入る。ダメだ!楽ちゃんが不安になっちゃう。


「楽ちゃん、大丈夫だよ」


私は楽ちゃんの目を見てニコッと微笑む。


「しぃちゃんと一緒ならどこに行っても楽しいでしょ?」


「もうおうちにかえれないの?」


「…それは、分からない。ごめんね…でも、しぃちゃんは楽ちゃんから離れないからね。ずっと一緒だよ」


「…うん!しぃちゃんといっしょなら、ぼくおうちにかえれなくてもだいじょうぶだよ!」


「楽ちゃん…」


何ていい子なの!


「もういいかしら?私疲れたんだけど。そこの親子のせいで膝も擦りむいて痛いし、服も汚れたし」


…はっ?


「なんと?!聖女様に狼藉を働いたのか?!」


「そんなこと」


「黙れっ!」


(してないっ!)って言おうとしたら、また被せられた。ここの人たち、人の話聞かないよね。


「リコ、行こう。君の部屋へ案内するよ。それに君の衣装、ニホンという国ではそんな衣装なのかい?我々には刺激が強すぎる」


そう言うとアルトさんは、じぶんの着けていたマントをリコちゃんに羽織らせてあげる。身長差があるから、リコちゃんはマントにすっぽりと包まれた。


「ありがとうございます、アルト様」


頬を染めながら、アルトさんを見つめるリコちゃん。


「行こう」


リコちゃんは、アルトさんにエスコートされて、部屋を出ていく。


「ちょっと」


「どこへ行くっ!」


(待って!)って言おうとしたら、目の前に光る物が──。


「ひっ!」


あと少し前に出てたら、首に剣が!楽ちゃんは、青ざめて私の首にしがみついている。楽ちゃんを安心させるために、楽ちゃんの背中を優しくトントンとたたく。


「手荒なことはしたくないのだがな」


この人…大人しくしていろってこと?楽ちゃんの安全が第一だから、とりあえず頷いておく。


「お前たちはこっちだ。ついてこい!!」


ドアの方から鎧を着た男の人が、睨みながら私たちを呼んだ。


「楽ちゃん、おいで」


逆らったら殺されるかもしれない…


私は楽ちゃんを抱っこし、鎧の男達について行った。



★★★★★★★★★★★★★



「入れ」


「きゃっ!」


楽ちゃんを抱いた腕を捕まれ、乱暴に突き放される。


カシャンッ


暗く、肌がひんやりとするような静寂を携えた部屋に、無機質な音が響いた。


「開けて下さい!私たち何も」


「黙れっ!!」


何もしていないことを伝えたいのに聞いてもらえない。

鎧の男達は私たちを忌々しそうに睨みつけると、私たちに背を向け歩きだした。


「お願い!出して!話を聞いて!」


男達の足音が遠ざかっていく。


「出してよ!話を聞いて…お願い…」


「しぃちゃん…ふぇ…ん…」


「楽ちゃん、ごめんね…大丈夫だから…大丈夫…」


私は楽ちゃんをギュッと抱きしめた。


楽ちゃんの恐竜パーカー姿を想像するだけで、可愛いすぎです!私の中では、黒髪で少し天パのフワフワ髪の守ってあげたくなる感じの男の子です♪しぃちゃんは、ニット帽を深く被っていて、伊達メガネ(黒ぶち丸メガネ)と鼻まで大判ストールを巻いていたので、ほぼ顔が見えていませんでした(笑)可愛い顔もストレートの長い黒髪もストールとフードで見事に隠れていたので、まぁ若い女の子に見えなくても仕方ないかも…こんなに可愛い女の子を手放すなんてアルトさんもおバカさんですねぇ。。。

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