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最後の忠告

 王家の失態については瞬く間に王国中に知れ渡ることとなった。サイファーさんとコリーさんが、いらぬ火種を王家に持ち込まないようにするためである。王家からは、この二人は王家とは何も関係がないと言っているし、詳細も隠すことは無かったため、あっという間に真実として認識された。


 まぁ、事態は次の日から直ぐに広まることになった。当人たちの騒ぎによって…。


 サイファー&コリー、平民一日目。

 日の出とともに、城の裏口から出される。うるさくわめきたてるも、誰も相手にしなかったため、城門前に移動。


「門を開けよ。」


「王族のどなたからか召喚状はあれば通すが、平民を通すことは出来ん。」


 騎士は、毅然と答えた。それに顔を赤くして怒るのは、未だ自分たちのことを理解できていない二人。


「なっ!!誰が平民だ!」


「はぁ。昨日、陛下より平民とする旨、聞いていると思うのだが…。陛下の言葉を聞いていなかったのか?それは、不敬に値し、捕縛の上、処罰になるが…。」


 騎士はちらりと、今はもう使われていない断頭台へと目線をやる。それに気づいた二人は顔を青ざめた。


「さて、もう一度聞くが、「失礼するっ!!」…もう来るなよ~。」


 騎士の言葉をさえぎり、二人は逃げていったそうな。



 サイファー&コリー、平民二日目。

 昨日は、陛下よりもらったお金で贅沢をした二人。お金が無くなり、途方に暮れ、ダマスカス男爵家へと向かう。


「「…なっ…」」


 だが、ダマスカス男爵邸は、もぬけの殻だった。しかも、王都の家を売り払ってしまったらしく、家には売り家の文字が貼ってあった。

 二人は罵詈雑言を叫んだという。

 曰く、我々を見捨てるとは、それでも、家族か。

 曰く、地の果てまで追いかけてやる。

 曰く、呪ってやる、等など。


「!コリー!これは!!」


 ドアに挟まっている紙(封書)に気づき、読み始める。すぐに顔を憤怒に変え、その手紙をくしゃくしゃにした後、その辺に捨て、その場を悪態をつきながら去ったという。


 ちなみに、その捨てられた手紙には


『コリーへ

  我々は、この王都を離れ、領地内で静かに慎ましやかに生きていくことに決めた。

  この手紙をお前が読んでいるということは、金でも無心に来たのだろうが、お前の贅沢三昧のせいで、我々には本当に蓄えがない。

  それを帳消しにすることで許せ。

  お前を諌めることが出来なかった我々も悪かった。すまなかった。

  お前は今や平民だ。我々とは縁が切られている。もうこちらに接触はしてくるな。

  お前が、考えを改めて、暮らしていく事を祈っている。

  間違っても、貴族に楯突くようなマネはしないように。

  次はお前たちの首がとぶことになる。


  ダンカン・ダマスカス』


 という、内容が書かれていた。男爵の最後の娘への思いやりだったのだろう。

 この日は、陛下より与えられていた家へと赴き、夜をしのいだようだ。




 サイファー&コリー、平民三日目。


「エバー!この門を開けよ!!貴様の愛する私が来てやったぞ!!」


 ……何故きた?

 まぁ、この二日間の行動を見る限り、次は我が家だとは思ったけれども…。

 二日間の二人の行動の詳細は、我が家の諜報員たちが報告書にまとめてくれていたので、細部に渡るまで知っている。


 そして、本日、とうとう我がミルトン侯爵家に、あの二人がやってきた。きっとたかりに来たのだろう。

 と言っても、邸の中に入れはしないので、門の外で叫んでいる。うるさいことこの上ない。


「サイファーさん、コリーさん、ごきげんよう。

 我が家にお招きした覚えはございませんので、お引き取りくださいな。」


 私は、にっこりと貴族スマイルで対応する。


「なっ!無礼であろう、エバー!!貴様の愛するこの私がわざわざ来てやったのだぞ!!」

「そうよそうよ!わざわざここまで来てやったのに、失礼だわ!」


 いやいや、平民の二人よ…。私は貴族、YOUたち平民。

 あー…これはダメだ。完璧アウトだわー…。


「あれだけ、忠告を受けたというのに、お二人共、わかっておられないようですね。

 残念ですが、不敬罪となります。シールド。」


 私は、魔法を二人の周りに発動させた。これで、二人は私の作った壁から出られなくなった。

 うるさいので、こちらの声は聞こえるが、あちらからの声は一切遮断してある。


「おだまりなさいっ!あなた方は、自分たちの身分を、未だに理解してないようですが、あなた方は平民。私は貴族です。しかも、我が家は公爵。平民が公爵家の私に上からものを言うなど、言語道断!即刻処罰するに決まっているではありませんか!!」


 処罰という言葉にビビっているのか、少し大人しくなった様子の二人に私はたたみかける。


「この光景は、記録珠で、記録されております。証拠も揃っているということですよ。あなた方が何を言っても、もう罰が下されることについては、決定しています。

 いいですか。本来であれば、あなた方はこの場で私に処刑されてもおかしくはないのですよ。それだけのことを冒しています。

 断頭台などなくても、あなた方と私では魔法の才に大きな差がありますので、魔法で首ははねることが出来るんですよ。それをしない私に感謝なさい。」


 断頭台などの罰を言う私にさすがにビビっている二人の顔は若干青い。

 ちなみに、記録珠というのは、魔法具で、日本で言うところのビデオカメラである。


「さて、あなた方が犯した罪について、そして、あなた方の身分について理解できましたよね?

 それでは、さようなら。」


 私はそう言うと、シールド内に魔法を展開する。

 二人の顔は蒼白だ。

 何をされるのかわかってないからねー。こわいよねー。

 でも、仕方ない。

 それだけの事をしてしまったのだ、この二人は。


 この二人には、色々な人が、最後の忠告をしてきた。

 それを無視したのは紛れもない本人たちなのだ。

 それを悔やんで、反省すればいいな、と思う。


「テレポート!」


 そして、二人は、私の前から姿を消した。

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