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真実

「エバーが、愛する男は私ただ一人のみですよ。私たちは幼少より婚約しています。あなたなど入る隙は微塵もないんですよ。婚約すらしていないのに、婚約破棄などできるわけないでしょう。本当に稀に見る馬鹿ですね。」


 ハンっと鼻で嗤うヴェンツェル様。


「陛下、真実をこの場で話してもよろしいですよね。」


 くるりと陛下へと向き直り、笑顔を向けるヴェンツェル様。あれ?気のせいかな?質問系のはずなのに断定に聞こえる…。


「う、うむ。許す。全てを話してやるが良い。」


「はっ。…それでは、よーく、聞いて、一度で理解して下さいね?…あなたは、陛下の子どもではありません。」


 …………へっ?


 その場が騒然となった。ヴェンツェル様は今なんておっしゃったの?側室様の子であるサイファーさんが、陛下の子ではない?私だけでなく、その場にいる貴族も驚いていた。ヴェンツェル様を見て、続きを聞く。


「勘違いしないでくださいね。あなたは、あの元側室の子で間違いはありません。ただ、陛下の子ではありません。誰が父親かは分かりませんがね。」


「っなにを根拠にそんなことをっ!!それ以上侮辱すると貴様を」

「どうすると言うんです?あなたはもはや平民。何も出来ませんよ。…それでは、根拠を話していきましょうか。まず、最近になって、親子かどうかを髪の毛や血などで調べることができる魔道具が出来ました。様々な方で調べましたので、信頼できる代物です。それで、あなたと陛下のことを調べさせて頂きました。結果は先ほどの通り、あなたは陛下の子ではなかった。当時の陛下には、記憶が無いそうですので、おそらく、薬か何かを盛られ既成事実をでっちあげたのでしょう。今となっては、薬云々は闇の中ですが…ただ、当時の元側室の手記が手に入りました。そこには、陛下と同じ金髪碧眼の男を探したこと。そして、ことにいたったこと、その後子をさずかったことなどが書かれていました。」


 まさかの事実に、その場が静まり返る。

 つまり、サイファーさんは、陛下の子ではなかった…。側室様は…。


「そんなのは嘘だっ!!私は、父上の子であり、王位を継ぐのだ!!」


 サイファーさんが、暴れ出す。しかし、騎士に両腕を取られているので、あまり意味は無い。


「嘘でもなんでもありませんよ。全て真実です。あなたは陛下の子ではない。むしろ、最大級の罪を侵した人の子どもです。陛下に対し、嘘をついたのですから。」


「母上は嘘などつかん!貴様ら、亡き母上を愚弄し、私をはめるつもりだな!そうか!!王妃!!貴様が仕組んだのだな!!」


 さて、またあさっての方向へ暴走を始めましたね。でも、王妃様を平民が呼び捨てとは…これは、どうするのかな?しかも、王妃様は陛下に特別愛されてるからなぁ…。


 その場の空気が一瞬で冷たくなった。


「…お前の不敬に目をつぶるのは、ここまでだ。次に何かあれば、すぐさま、その首が飛ぶと思え。衛兵、こやつをとらえ、この小娘とともに城からつまみだせ!」


「そんなっ!!ちち」

「私は貴様の父ではない!いい加減にせよ!!」


 サイファーさん達はそのまま兵士さんに連れられて謁見の間から出ていきました。さて、このまま、めでたしめでたしで終われるのでしょうか。


 そこで、口を開くのは、陛下です。


「皆の者、心配をかけたな。先程、ヴェンツェルが言ったこと、それは誠のことである。私と側室のことは知る者は知っておろうが、私には記憶がなかったこと。この度、側室の手記が発見されたのだ。そこに、サイファーは私と同じ金髪碧眼の平民をみつけ、子を生したことが書いてあった。あとは、父親と共に、画策したことだともな。それは、子爵を尋問すれば自ずと詳しくわかることだろう。また、ヴェンツェルが発明した魔道具により、サイファーとの血の繋がりがないことも証明されておる。今回の件、サイファーが悪いが、側室や祖父にいいように踊らされていたのだ。まだ若者であるし、もう一度機会を与えたいと思うのだ。そんな甘い処置でも許してくれるか、ミリアーナ、エバーよ。」


 なぜ私たちなんだ、陛下!!おかしいでしょうよ!!

 でも、仕方ない。聞かれたからには答えなければ。

 私はミリーと目を合わせ軽く頷くと、頭を下げた。


『どうぞ陛下の御心のままに。』


 その言葉を皮切りに、謁見の間の貴族たちも陛下に向かって頭を垂れた。つまり、陛下の判断に従うということである。


 そして、刑は執行された。

 サイファーさんとコリーさんは、平民として、王城から出されたのである。まぁ、恐らくは、少しの金貨を持たせてもらえたとは思うのだけれど…、そのお金だけでは、いきなり平民となった二人がこれから、やって行けないことは明白だった。

 でも、起きてしまったことは仕方が無いし、元を辿れば、自分たちの自業自得なので、我慢して本人たちに頑張ってもらうしかないのだが。


 と、二人を若干応援していたのがよくなかったのだろうか…。


 「エバー!この門を開けよ!!貴様の愛する私が来てやったぞ!!」


 ……何故きた?

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