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最恐の男

 陛下の言葉に、驚く者は、二人だけである。むしろ、なぜ驚くのかわからない。しっかり、貴族としての知識が身についていれば、このくらいの罰は予想できる。むしろ軽いくらいである。

 しかし、二人には分からないし、納得できるものでは無いらしい。


「父上っ!なにゆえ、私が廃嫡され、平民にならなければならぬのですかっ?!私は正しいことしか行っていない!!」


「そうですそうです!サイファー様が王太子になって、私を妃にするんです!!」


 うん?君たちよ…。陛下に直言の許可はとったのかね?とってませーん。それも不敬だからね?ちなみに、コリーさん…既に、第一皇子であるルーク殿下が立太子してますが?知らないの?どんだけー…。

 殿下…いや、もう平民だからサイファーさんも、平民となったからには、父上なんて呼べないよ?

 サイファーさんは、なおも叫ぶ。


「それに!!私が今日ここに呼ばれたのは、私とエバーの婚約の話でしょう?!そして、私が公爵となる!!」


 …はあっ?!

 きっと、謁見の間のほとんど全員が心の中で叫んだに違いない。貴族なので、笑みを顔に貼り付けてはいるが、この言葉には誰もが驚いたことだろう。私も驚いた。どういうことよ?


「…はぁ。何を言っておる。お前は平民だ。公爵令嬢を呼び捨てにするでない。それに、お前はそこの元男爵令嬢を好いておるのだろう?この前のパーティーでは、それを大々的に叫んだはずだが?」


 そうだーそうだーその通りだー!!

 陛下がちらりとこちらを伺うようにみてくる。

 私もちらりと私の隣を見る。そこで、すぐさま、陛下へ目を向けた。無理っす!!無理無理無理!!隣から冷気が!!陛下ぁ…。

 陛下はふいっとこちらから、目線をそらした。若干額に汗が浮かんでいたような…。


「私は、間違っていました!!エバーこそ私を真に愛してくれているとわかったのです!!だからこそ、私のことを愛しているエバーを娶りたい!私のような切れ者が次期公爵になれば国も安泰だ!」


 誰が誰を愛してるって?ちょいちょい…ひぇぇぇ!!隣の冷気が強くなった!寒い寒すぎる!!てか、怖い!!もうやめてぇ…。


「おま「陛下。直言の許可を頂けますか?」ヴェンツェル。よかろう。許す。」


 陛下の言葉を遮るのは本来不敬だけれど、今回のヴェンツェル様は仕方ない。許してもらえるだろう。そして、ヴェンツェル様はありがとうございます、と言ってにっこりと微笑んだ。

 こっわーーー。

 さて、私は、小さくなって、存在感を消し…あれ?ヴェンツェル様?それは、私の左手ですが…ナゼニギッテイラッシャルノデショウカ?


「なっ!貴様っ!!ヴェンツェル!私の婚約者である、エバーの手を摂るとは何事かっ!エバー、貴様も、浮気とはなんた「静かにしてようか。」っっ!」


 あぁ…。謁見の間で魔法使っちゃったよ。ヴェンツェル様、めちゃくちゃ怒ってる。そこへ近寄るコリーさん。


「ヴェンツェル様ぁ〜。怖かったですぅ。私ぃ、サイファー様に脅されてぇ〜。エバーにもいじわるされてぇ~。っっ」


 もう何も言うまい。コリーさん…サイレントで黙らされました。今、コリーさんはヴェンツェル様へ近づこうとして騎士に止められました。当たり前です。騎士のみなさん、グッジョブ!


「いいですか。私があたな達にもわかるように説明します。一言一句聞き逃すことなく聞いてくださいね。わかりましたか?」


 二人が何か言って抗議してるような感じだ。笑顔のヴェンツェル様の瞳がスっと眇られる。途端、二人が微動だにしなくなった。魔力の流れを確認すると二人の手足が凍って…こっわ!!


「もう一度だけ聞きますよ?いいですか?」


 二人はこくこくと首振り人形かのごとく、上下に首を振った。


「まず、あなたについてですが。」


 コリーさんの方をむくヴェンツェルさま。途端に、コリーさんの目が輝く。いや、何を期待しているんだ。魔法を使われておいてなにか色恋的なものがあるわけないじゃないか!!気づいてー。


「あなたの罪は多岐にわたります。身分が上のものに対する不敬。王族に対する不敬。王族への虚言…などですね。これで、平民になるだけって、だいぶ、軽い罰ですよ?本来なら死刑です。あれ?ご不満ですか?なら、…死にますか?」


 ひゅおぉぉぉぉ。冷たい風が吹いた…気がする。コリーさん、今度は首をブンブンと横に振ります。顔は青ざめてます。きっとヴェンツェルさまが、どこかに魔法を使ったのでしょう。怖いので目を逸らして確認はしません。こっわ!!


「それでは、次にあなたですね。あなたの罪も、大体は同じものです。よかったですね。命があって。」


 にこにこと笑うヴェンツェル様。あれ?それだけ?珍しい。


「あれ?まだ、なにかご不満ですか?何か言いたいことがあるのですか?」


 へっ?あれ?ヴェンツェル様がサイファーさんのサイレントを解きました。どして?


「当たり前だ!ヴェンツェル!貴様、兄に対してなんたる不敬かっ!それに、エバー!貴様も貴様だ!!早く愛する私を助けんか!!私はエバーから愛されているんだっ!だから、エバーと結婚して公爵っっ!!」


 ひぇぇぇぇぇ!!ヴェンツェル様がご乱心じゃー!!なんてことしてくれる!!再びサイレントを使い、辺りにヴェンツェル様の魔力が充ちている…気がする…。


「仕方ないですねぇ。エバーが愛する男とかほざくあなたにはしっかり真実を教えてあげましょうか。」


かくして、にーっこりと嗤うヴェンツェル様がその場にご降臨あそばされたのであった。超こわい。

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