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情報は、正確に!

「なんの騒ぎだ、これは。」


 ホールに響く、聞き慣れた声。いや、この国の貴族として聞き慣れていなくてはならない声。私のシールド内にいる貴族たちは、私も含め、皆、深々と頭を下げる。下げなくてはならないのだ。しかし、シールドだけは維持をする。


「父上っ!エバーが私を侮辱するのです!また、王族主催のパーティーの場で、魔法を使うなどという前代未聞の行いをしております!!ここは、一つ、処罰を言い渡すのがよろしいかとっ!!」


 先に言ったもん勝ちと言わんばかりに、殿下はそんなことをのたもうた。もう、みんな、開いた口が塞がらない。

 父上…そう、殿下が言った通り、この場に(やっと)現れたのは、この国の王を始めとする王族たちである。


「…この騒ぎはお前が原因か…。」


 陛下は、眉をしかめ周りを見渡すと、中心にいるサイファー殿下を睨んだ。


「っっ…違います!!私ではなく、このエバーが諸悪の根源!このパーティーにおいて、立太子される私めにふけ『立太子?!』」


 この場にいるほとんど全ての人が、叫んでしまった。これは王族に対し、さすがに不敬だが、大目に見てほしい。だって、処罰するなら、ここにいるほとんど全ての貴族になっちゃうからね。ところで、立太子とは、どういう事なのか?殿下は、胸を張って、ドヤ顔だ。


「はい!父上はこのパーティーで立太子について話すと仰っていたのを、私は覚えていますよ!!私は、物覚えがいいので!!さぁ、この場でエバーを含め、私をバカにしたヤツらに、わからせてやりましょう!!誰が次代の王になるのかを!!」


「サイファー様ぁっ!!カッコイイですぅっ!!」


 ……ここまでかぁ…ここまでバカだったか〜…。陛下は額に手を置いて、上を見つめている。きっと私と同じ心境なのだろう。

 …にしても、さっき言ったじゃん!あなたは、王位を継げないって!!本当に人の話を聞かないなぁ。まぁ、おそらく、聞いた話を自分の都合のいいように解釈して、ちゃんと聞かなかったんだろうなぁ。


「たしかに、このパーティーで、立太子について話をすると言ったが、お前の話ではない。」


「は?」


 陛下は、サイファー殿下を見つめ、静かに言った。ちなみに、殿下と男爵令嬢は口を開けたまま固まっている。静かなうちにと思ったのか、陛下が続けた。


「そもそも、お前には王位継承権はない。こんな基本的なことも頭に入っていないとは…。」


「なっ!?そんなはずはっ!!私は第一王子!王位継承権が無いなど認められるはずがないっ!!」


 だからさ、私、さっき言ったじゃーん!陛下がため息をつく。


「よもや、これ程とは…。サイファーよ、お前は本当に学んでこなかったのだな…。お前は、側室の子である。側室の子はこの国では王位継承権は無い。」


 殿下は呆けた顔をして陛下を見つめている。


「近衛よ。この場で不敬を働いた、二人を拘束せよ。」


 陛下がそう言った時、何を思ったか、殿下と男爵令嬢がニヤリを笑って私を見た。いやいや、二人って言うのはさー…。


「なっ?!なんだ貴様らっ!なぜ、私を拘束する?!」


「なによ、触んないでよ!!なんで、私の方に来るのよ!!」


 ギャンギャンと騒ぎ立てる二人。なぜ、自分たちだとわからないのか、そこが私たちには不思議でならない。


「騒ぐな、馬鹿者。お前たち以外、不敬を働いた輩はおるまい。」


「そんな!?父上!私が一体誰に不敬を働いたというのですか?!」


「まだ、わからんのか…。お前が侮辱していた、エバー・ミルトン公爵令嬢に対してだ。そちらの娘に関しては、ミリアーナ・ヴァニス公爵令嬢への不敬もある。」


 「なぜっ!私は王族!!たかが公爵令嬢に対し不敬などっ!」


 おぉー。まさか陛下にまで噛みつくとは…。陛下、今世紀最大のため息。あ、額に青筋…。


 「ミルトン公爵は、私の実の弟。その娘である、エバーには王位継承権がある。お前と違ってな。わかったか?」


 「なっ?!そんなこ「陛下。おそらく、こいつは、その説明では理解できないかと…。」


 そこに出てきたのは第二王子である、ルーク殿下。こちらも、金髪碧眼で顔が整っている。ただ、サイファー殿下と似ている訳ではなく、父親である陛下に似ている。頭脳明晰であり、学院では常にトップの成績。ちなみに、私も、上位にはいます。一応公爵令嬢なので。サイファー殿下は下から数えた方が早いらしい。もちろん、男爵令嬢もね。


 出てきた弟に言われたことが理解できなかったのか、少し静かになった殿下たち。しかし、そこで、すかさず、ルーク殿下が、語り出す。


 「王位継承権についてだけれど、陛下が先程仰ったとおり、側室の子であるお前には王位継承権は無い。つまり、第二王子である、私から継承権がある。もちろん、弟たちにもだ。そして、陛下の実の弟であるミルトン公爵は、継承権第四位、その息子であるエバーの弟が五位。そして、エバーは、継承権第六位となる。」


 「ルーク!兄に対してその口の利き方はなんだっ!」


 えっ?!そこなんだ!?継承権についてはスルー?


 「わかりやすく説明するための言葉遣いだ。それで、貴様のおかした、不敬について理解出来たか?」


 「エバーとて、たかだか六位ではないかっ!」


 「王位継承権がない貴様が言うな!もうよい。連れて行け!」


 陛下が、我慢ならんと近衛に指示を出した。そして、ついに、うるさい二人は会場からいなくなった。やっと私もシールドを解く。


 「皆の者、騒ぎ立ててすまなかった。これからは、仕切り直しである。皆、存分に今宵のパーティーを楽しんでゆくが良い!」


 陛下の掛け声の元、パーティーが再開された。

 そこからは、貴族たちは、今までの事を忘れたかのように、口に出すことは無かった。皆、貴族ですからね。そこは理解している。

 正しい情報もあのおバカたちに話してもらえて、よかった。まさか、今後、あの人たちから何か言われることはあるまい。とりあえず、一安心。私も友人たちと楽しくすごしました。

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