勘違い…かーらーのー
「不敬とおっしゃいますか…。それでしたら、殿下、そして、そこのご令嬢の方が不敬なのですが…。」
ミリーが呆れた顔でそう言う。
「「はぁっ?!」」
「(説明は面倒ですわ)それでは、ごきげんよう。」
「待てぇい!!貴様っ!我々が不敬とはどういうことだ?!何を言っている?!私は王太子であるぞ!!」
あー…そう言えば、イッテマシタネ…自分のこと王太子だって…。私は、もう仕方ないとばかりにため息をついて振り返る。もちろん、その顔には笑顔をのせて。なにせ、貴族の娘だからね!!
「殿下。王太子と先程から、おっしゃっておりますが、殿下はいつ立太子されたのでしょうか?」
「立太子?そんなものしておらん!」
デスヨネー。
「では、なぜ、王太子と?」
「ふっ…お前は本当に馬鹿だな。私は第一王子なのだ!王太子、そしてゆくゆくは、王になると決まっておろう!!」
「サイファー様、ステキですぅっ!!」
やっぱりかーー…そう考えてるだろうなぁ…とは思ってたけど、マジなのかーー。男爵令嬢も知らないのだろうか…この国のことを…。まぁ、男爵家ぐらいだと知らないのかもしれないけど…貴族なら、知らないといけないよ。ましてや、公の場で発言しようとする時にはさー…。
「お言葉ですが、殿下…。殿下の王位継承はありえないことでございます。」
「はぁっ?」
「殿下は、側室様のお子様でいらっしゃいます。この国の法律では、側室のお子は王位を継げないのでございます。また、私は」
「貴様っ!私と母上を愚弄しおって!!即刻、処刑してくれるっ!衛兵、王太子の命令だ!!この者を打首にせよ!!」
はいっ、殺害予告頂きましたーー。また王太子って言ってるし…っていうか、あなたたちを愚弄なんかしてませんて。真実を言っただけなのに。私はひとつため息をつく。
「無駄ですわ、殿下。」
「なっなぜ、誰も動かないのだ!!おいっ!お前たち!私の命令が聞けぬと申すかっ?!」
「はいっ!その通りであります!!」
そこですかさず、騎士団長が宣言する。その返し、ウケる!でも、笑ったら、面倒なことになること必至なので我慢っ!
「なっ、なぜ、命令を聞かん!!私の命令なのだぞっ!!」
「はっ!殿下よりもミルトン公爵令嬢を優先せよとの王命がありますゆえ!!」
「王命だとっ?!父上がそのような命令を下すわけがなかろう!嘘をつくお前も処刑してくれるわっ!」
何を思ったか、自分の傍らにいる男爵令嬢に片手を差し出す殿下。皆、頭にはてなマークである。そして、見ていると、こともあろうに男爵令嬢は、自分のドレスの中に手を突っ込んだのである。そして、差し出された手に剣を乗せたのだ。
そして、二人まとめて繰り出すドヤ顔。もうやめて欲しい…。男爵令嬢よ、そこは何かを取り出すところじゃない…そして、二人とも…ドヤ顔は間違っている…。爆笑ものだが、笑うと面倒なので(以下略)。
「まずは、お前から、私の剣の錆としてくれようっ!!」
殿下はそのまま、走って騎士団長の方へ剣を振りかざす。が、
「シールド」
ガキイィィィィン
「なっ?!貴様か?!エバー!!邪魔しおって!!即刻、これをどかせよ!!」
私の防御魔法は、殿下と男爵令嬢以外の周りに展開されている。なので、二人から攻撃されてもどうにかなることはない。どかせと言われてどかす愚か者がどこにいるのか。どかしたら、攻撃されるではないか…。馬鹿だなぁ…。
私はため息をつく。
「おのれ、エバー!!私に恥をかかせおって!!」
別にかかせてません。むしろ、自分から恥をかきにいってるというか…。と、そこへ
ぼおぉぉぉおぉぉっっ!
「ささっ!今です、サイファー様っ!!」
「さすがだ、コリー!!はあぁぁぁぁっ!!」
炎の魔法でこちらを攻撃する男爵令嬢。流石じゃないでしょうよ…。男爵家の令嬢が、伯爵家の令嬢を攻撃したらあかんでしょうが…!!でも、魔力も足らないし、私のシールドを破ることは無理そうだけどねー。
そして、今一度、殿下が、剣での攻撃を行うも…
ガキィッ!
「かはっ!きかない?!なぜだっ!せいっ!!はっ!」
かけ声とともに、剣がシールドに弾かれる音がする。
もはや、シールド内では、殿下たちを見てヒソヒソと話し始めるものまで現れ始めた。守ってはいるが、やめて欲しい。二人が気づいたら、また厄介なことになるではないか…。
「貴様らぁッ!!笑っておるな!名を名乗れぇぇぇ!!貴様らから切ってくれるわっ!えぇい!!エバー、邪魔だてするでないっ!!」
ほらー…また面倒なことに…。仕方ない。しばらく放置して、体力が切れた頃に話せばいいかな。
もう、面倒なのでそのままシールド維持してればいいかなーと私が諦めかけた時ー
「なんの騒ぎだ、これは。」




