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プリン

「いやぁ、食べましたなぁ!」

「もうお腹いっぱい」

「……」

さすがに5キロは無理だったよ。

「ジンギスカンもたまにはいいね、千秋ちゃん」

「そうだね。美味しかったよ。ビールもね」

最高にお酒に合う。

「食後のコーヒーでも淹れましょうか?」

「あ、私まだビールあるからいいや」

「私もビール頂いてるから」

「それじゃあ自分の分だけ淹れてきますね」

「うん、ありがとね、清香ちゃん」

「あ、清香。ついでに冷蔵庫にプリン入ってるから持ってきて。あとお煎餅」

まだ食うのか……。


「いい子だねぇ、清香ちゃん」

キッチンに向かう清香ちゃんの背中を見ていると、自然とそんな言葉が出た。

「でしょ? きっと、お姉ちゃんに似たんだねぇ」

「ソウデスネ」

「ちょっとー、なんでカタコト?」

2人で笑い合う。

橘がいい子だというのは今更言うまでもないしな。本人には言わないけど。

「あ、そういえば千秋ちゃん、タバコ大丈夫? 我慢しなくていいよ」

こうして気利かしてくれるとことかポイント高い。

「じゃあちょっと一服しようかな。ベランダ借りていい?」

「別に部屋の中でもいいけど?」

「いや、さすがにそれは悪いよ」


ベランダに出るとひんやりした空気が心地よかった。

酔いざましにはちょうどいい。

タバコに火をつけ、一気に吸う。

「はー」

そして、一気に吐き出す。

やっぱお酒飲んだあとのタバコ美味しいなぁ。


それにしても……、清香ちゃん、どっかで会った気がするんだよなぁ……。


「おかえりー」

リビングに戻ると清香ちゃんも戻ってきていた。

「千秋ちゃん、プリン食べようぜー」

「おーぅ」

「私もいただきますね」

揃いも揃って、甘いものは別腹ってね。


女三人寄れば姦しい、とはよく言ったもので。

「え! 清香ちゃん、K女通ってんの!? 超頭いいじゃん!」

アルコールのせいもあってか、話題は尽きない。

「そんな、とんでもないですよ」

清香ちゃんはパタパタと両手を振って謙遜するけど、あそこ偏差値70ぐらいあるでしょ……。

「お姉ちゃんに似たんだよねー!」

「あ、ごめん、橘。そのくだりさっきもやったわ」

笑いが絶えない。

こんなに楽しい夜は久しぶりだ。


「そうそう、K女といえば先週さ、私打ち合わせでお客さんとこ行ったじゃん?」

「ああ、そういや行ってたね」

「帰りの電車でK女の最寄り駅通ってさ、K女の子いっぱい乗ってきたんよ」

「ふんふん」

「で、私の近くにきた2人組の話が聞こえてきたんだけど、なんか友達が塾で彼氏が出来たから私も塾通おうかなーみたいなこと言っててさ」

「へぇ」

「いやぁ、青春だよねぇ。若いっていいよねぇ。ていうか、K女みたいな名門通ってる子もそんなこと考えるんだねぇって思ったよね」

「アハハ、千秋ちゃんもまだまだ若いでしょ! てか私も同い年なんだから年感じさせるようなこと言わないで!?」

「いやいや、うちの学校もよそと変わんないですよ。普通に恋バナとかしますし」

「あー、そういや清香もこないだ言ってたよね。井端ちゃんに彼氏できたつって超ヘコんでたじゃん」

「ちょっと、お姉ちゃん!」

「そうそう、電車の中で見かけた子も井端がーって言ってたわ」

ビールを一口飲む。一気に喋って喉渇いちゃった。

……って、あれ?


……多分、今3人ともキョトンとした顔してるわ。

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