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自己分析

17時、仕事からの帰りの電車。

今日は午後に取引先で打ち合わせがあり、そのまま直帰が許されたので、いつもより少し早い帰宅。

ラッシュも外れていて座ることができた。

ああ、今日はツイてるなあ。

車内を見渡してもスーツ姿のサラリーマンやOLよりも、買い物袋を抱えた主婦らしき人や老夫婦の姿が目につく。


私は視線を戻し、他の人がそうしているように、特に用事もないのにスマホを取り出した。


2つ目の駅、扉が開くと途端にガヤガヤとした雰囲気とともにたくさんの女子高校生が乗り込んできた。

そういえば、この駅はけっこう大きめの女子高の最寄り駅だった気がする。

私の前にも2人の女子高校生が立つ。

2人は友人らしい。

うるさくない程度の声で会話が聞こえくる。

「そういやさ、井端、アイツ彼氏できたらしいね」

「え、マジで? つか、どうやって男つかまえたん?」

「いや、知らんけどさ。あれじゃん? アイツ塾通ってるからそっち系じゃん?」

「ありえそー。私も塾行こうかな」

「アハハ、動機不純すぎ」

私はスマホの画面をボーッと見ながら、無意識に2人の会話に耳を傾けていた。

「てかさ、やっぱ私もそういう普通な幸せみたいなん欲しいじゃん?」

普通な幸せみたいなんって何だよ、と心の中でツッコミを入れた。


家に着いて靴を脱ぐ。

「はー、疲れた」

こういう言葉は無意識に出るものだ。

着替えて化粧を落とす。

そこまでやって、一段落だ。

ソファに腰を降ろし、窓の方を見るとカーテン越しに夕日が差していた。

「まだ明るいや」

せっかく今日は早めに帰れたのだから、といってもすることがない。

化粧も落としたのでもう外には出たくない。

夕飯にしようかとも思ったが、今食べるときっと寝る頃にまたお腹がすくし。

「ん、んー」

暇だなぁ。

こういうとき、1人暮らしは困る。

誰かといればまだ気は紛れるのに。

ぼんやりと帰りの電車で聞いた会話を思い出す。

普通な幸せ…。

果たして私は普通なのだろうか。

果たして私は幸せなのだろうか。


上村千秋、27歳。OL。

名前は、まぁ普通だと思う。

変にキラキラもしてないし。

27歳でOLってのも、まぁ、普通かな。

大学出て、知名度は低いけど、一応上場企業勤務、はどうだろう。

よくわかんないや。

収入は普通。

友達は多くないし、その多くない友人とも最近連絡を取っていないけど、これも普通だと思う。

外見も普通、というか目立たない方だと思う。

彼氏はいない。

昔いたこともあったけど、3ヶ月もせずに別れた。

ていうか、多分私は男の人より女の子の方が好き。

「うーん」

多分、これは普通じゃない。

あの女子高校生は彼氏がいることを、普通な幸せと言ったが。

一部を除いて大体普通な私は、不幸せではないけれど、はたして幸せなのだろうか。


いつしか窓の外はすっかり暗くなっていた。

「…ご飯食べよ」

今日は早く帰れた、電車も座れた。

だから私は私を、幸せなんだと思う。

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