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一人称です

 一日目の学校から帰ったケモコは、突然こんなことを言い出した。

「けもこはじぶんのこと、けもこでいいです?」

「…ケモコが自分のことを言うとき、ケモコでいいかってこと?」

何を言ってるんだか、自分でも分からなくなる。

「そうです。じゅうは、ぼくです。まつきは、おれです」

まつき…というのは、羽帆のことか。

「ケモコも一人称、変えたいの?」

「です!」

元気のよいお返事が返ってきた。


「一般的にある一人称だと…私、あたし、僕、俺、うち、あとは…」

まだあるはずなのに、思い出せない。そんなこと、ありませんか?

 そんな時は、教えて、ゴーグレ先生!

 PCを動かしながら…

「自分、わし、あたい、わい、おいら、おい、おれっち、わらわ、みー…試しに使ってみるか」

「わたし、けもこです。あたし、けもこです。ぼく、けもこです?」

「うーん…」

どうもしっくりこない。


 そこにやってきたのは、母だ。せっかくなので、聞いてもらおうか。

「あ、あのさ。ケモコが一人称を変えたいらしいんだけど…」

「だめよッッッ!!!」

え…なんか叫ばれた。

「けもちゃんの一人称!それはけもちゃんの特徴であり、個性であり、可愛さをさらに増幅させているの!!」

「あ、うん…」

「たどたどしい言葉遣いに、一人称は名前!それが最高なの!」

そう熱弁する母は、例えるならば…オタク?

「分かった!?けもちゃん、一人称変えるなら、この家から出てって!!」

「え!?わ、わかったです!!??」

「もちろん、ボクっ娘も可愛いわ!でも!けもちゃんの愛くるしさに慣れちゃったの!もう駄目なの!」

終いには泣き出す始末。


「…ケモコ。一人称はそのままで、いいよ…」

「はいです…」

一人称、変える、は、我が家の禁句となった。



〜けもこにっき⑥〜


◯がつ☆にち どようび はれ


きょう、どうぶつずかんをよんだです。

しらべると、けもこのみみは、きつねさんのみみです。

あぶらげがすきなのも、きつねさんだからみたいです。


きつねさんは、ひとをばかすらしいです。

でも、けもこはそんなことしないです…

にんげんはきつねさんが、きらいです?

もしもほんとうに、けもこがきつねさんだったら、けもこはどうなるです?


かんがえても、わかんないです。

だから、かんがえないです。いまをたのしく、いきるです。

…おばあさんみたいなこと、いっちゃったです。


けもこはみんなのこと、だいすきです。

あそんだり、はなしたり、たくさんするです。

なんだか、はずかしいです…

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