表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

自己紹介です

 ただいま僕は教室にいる。

 ケモコは先生といるらしい。…ボロを出していないことを願う。

 

「はーい、みんな座ってー」

担任の南先生が入ってくる。それに続いて…ケモコ。

 ケモコは僕を見つけると、ほっとした様子だった。

「あ、さっきのケモコちゃんか」

斜め後ろから、圭祐がささやいてくる。僕は軽く頷くと、ケモコに笑いかけた。

「はいはい、転校生ですよー」

教室全体が沈黙する。みんな、ケモコの容姿にいろいろ疑問があるようなので、一言も聞き漏らしたくないのだろう。


「が、がおう、けもこです。よろしくです」

ぺこっとおじぎする姿も可愛い。

 みんな、次に来るであろう自己紹介を待つ。が、それが分からなかったケモコは、沈黙する教室に居心地の悪さを感じ―そして―


「じゅう、こわいです、しずかですー!」

僕の胸に飛び込んできた。


 ざわつく教室。まぁ、当然だよね。

「ケ、ケモコ。落ち着いて」

僕は、頭から落ちそうな帽子を慌てて直してあげると、ケモコを体からはがした。

 目は真っ赤で、本当に泣いちゃったようだ。

「じゅーうー…」

「みんな、ケモコの自己紹介を待ってるんだよ」

「じこしょうかいです?」

「好きな物とか、ほら」

ケモコはこくりと頷くと、教室の前に戻った。これで大丈夫だろう。

 改めて、教室が静かになる。


「す、すきなものはじゅうです」

全然大丈夫じゃなかった。


「えー、どうして、ちっちゃいんですかー」

質問が飛ぶ。誰もが思っていたらしい。うんうんという声が聞こえる。

「ち、ちいさいです…?」

ケモコがおろおろしていると…


「みんな、可愛いからいいじゃないか!合法ロリだ!しかもリアルだ!」


 そう言ったのは、圭祐。

 そうだな…という空気が、全体に広がる。

 我ながら、この学校大丈夫か、と思う。


「ついでに、十をフルボッコにするのもやめてあげよう!」


 する気満々だったな…。

 おー!我々は寛大だ!と、野太い声も聞こえる。舌打ちを添えて。


 しかしどうやら、圭祐は僕を庇ってくれたらしい。あとで礼を言っておこう。

「ん…まあ、ケモコと仲良くしてやってくれ」

僕がそう加え、ケモコの自己紹介はやっと終わったのだった…。




~けもこにっき④~


△がつ□にち かようび はれ


あしたから、がっこうにかようことになりましたです。

ひとがいっぱいで、べんきょうするばしょらしいです。

こわいです。でも、じゅうといっしょならがんばれるです。

けもこはひとりじゃないです。


じゅうのおかあさんから、すこしべんきょうを、おしえてもらったです。

おぼえるのはやいね、とほめられて、うれしかったです。

これで、けもこのあたまは、こうこうせいなみになったらしいです。

じゅうとおなじ、です。うれしいです。


おともだち、たくさんつくりますです。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ