学校です
僕は高校生である。
つまり、高校に行かねばならぬわけで。
その間はケモコとお別れなわけで。
「ひといっぱいですー」
…神はそれを許さなかったようである。
今、僕とケモコは学校にいる。弐谷仁矢高校。略してにゃー高。
近所の人とか、公式試合で戦う他校の生徒からは、よくバカにされる。猫かわいいのに。
…そんなことはいいのですよ。大事なのは今この時。
今朝のことである。学校に行く支度をすると、見当たらないケモコと母に向かって
「いってきまーす」
と叫んだ。
外にでると。ケモコがいた。制服姿で。
「あ、十!けもちゃんも今日から学校行くから、頼んだわよ?」
「…は?」
「よろしくです」
「…え?」
「編入手続きなら昨日済ませたし。同じクラスにしてもらえるよう、賄賂もちゃんと、送ったわ」
「おくれてしまうです」
「いってらっしゃーい、けもちゃん、十」
そうして、今にいたる。めっさ変な目で見られてる。心折れそう。
ケモコはずっと僕の手を握っている。嫌いな帽子も深く被ってる。恥ずかしいようだ。
「お、じっちゃん…と、幼女?」
向こうからやってきたのは圭祐。サッカー部エースで、僕の親友。
「圭祐、じっちゃんはやめろっていってるだろ…」
「ようじょじゃないです。けもこです」
「ケモコ…珍しいな。いくつだ?」
「じゅうななです」
…年を聞かれたらこう答えるよう、ケモコには言ってある。
案の定圭祐は目を丸くして、合法ロリか、と去っていった。
~けもこにっき③~
○がつ△にち かようび あめ
きょうはあめです。ざんざんぶりです。
さむいし、おふとんにずっといるです。
ぼーっとしていると、かびてしまいそうなので、なにかかんがえるです。
だんぼーるにはいるまえは、けもこはどこにいたです?
ずっとねてたです?わからないです。
このみみは、いつからはえてたです?うまれたときからです?
けもこにも、おかあさんはいるです?おとうさんはいるです?
いつか、あいたいです。
ひとつ、じゅうにかくしてること、ありますです。
いったら、じゅうにきらわれるかもです。だから、だれにもいえないです。
ばれないように、がんばりますです。
けもこをよぶこえが、きこえますです。
おなかがすいたです…あぶらげほしいです…