殺人ゲームの始まり?
なんとなく思い付きで書いたものなので軽い気持ちでご覧ください
今日はどこで誰をどうやって殺そうか考えていると視界から風景が消え光もなく真っ暗になった
取りあえず歩みを止めることなく前にだけ進み続けると一筋の光が差し込む
それは人工的なものでなく、自然なものでこれから広がる光景はいつものような人生に疲れきった瞳をした人間が溢れているものとばかり思っていた
しかし、目の前には私を羨望の眼差しで見つめるたくさんの人たちだった
次の瞬間ゾワッと鳥肌が全身に立つ
明らかに日本人とは違う容姿をした人間の目線は二つに別れていた
もう片方の目線の先には美しい少女がいた
服を見るからにブレザーに身を包んでいたので私と同じ女子高生かとぼんやり考えていると一人の男が人混みをかき分け前に出てくる
「いきなりのことで驚いたかもしれないが、君らにはこの国の聖女になって欲しい」
私は嫌悪感を隠せない、聖女だなんて殺人鬼である私とは相容れないものだ
それにそういった人間離れした清らかさにゾッとする
「そんな私には前の世界に家族や友達がいるんですよ。そんなの勝手すぎます」
美少女は瞳に美しい涙を溜めながら訴える
あぁ、あの美しい顔を恐怖で歪めたいと心が叫んでる
誰もが美少女に同情している中でたった一人だけ私を見ていた
「お前は帰りたいと思わないのか」
当然の質問に驚いてしまった、男は私と距離をつめ答えを求めてくる
周りから王子やアレン様と声が聞こえてくる
そうかだからムダに輝いているのかと思った
そう言われれば他多数とは違い服や装飾品が豪華というか高そうに見える
ジーと無作法だが見つめていると王子はボッと顔を赤くさせ慌てて背ける
見つめられて照れるとは年頃の男としてウブすぎないか
ちょっとだけ彼の将来が不安になる
「それで帰りたいと思わないかでしたかぁ。えっとそうですねぇ帰る理由になるほど大切なものはなあですからぁ、別に帰ろうが帰らないかなんてどうでもいいですよぉ」
正直に答えると可哀想なものを見る目で見てくる
さっきまで美少女を見ていたその他も私を見てくる
まるで見世物のようで居心地が悪い
いや、それは今も昔も変わらないことか
どの転校先でも同じようなことを思ってきた気がする
「別に珍しいことじゃないですよぉ、両親がいないことくらい~。それに折角の異世界なんですからぁ、楽しまなくちゃ損じゃないですかぁ」
ヘラリと笑うと美少女が涙を流して勢い良く抱きついてきた
やっぱりこのキレイな顔を歪めたいなぁと場違いなことを考える
「いいんだよ、悲しんだって」
「大丈夫ですよぉ、両親がいないのだってかなり昔からのことですしぃ。もう慣れましたぁ」
誰もが最初は同じような顔や目、表情をする
そろそろ同じことの繰り返しばかりで飽き飽きしてきていた
両親だって私が小五の時に自分で殺したんだし悲しんだりするはずもない
「もう止めてくださいよぉ、わたしはぁ気にしてないんですからぁ普通に接して下さい~」
張り付けた表向きの笑顔を振り撒く
「うん、分かったよ。えっと私は守谷林檎って言うのヨロシクね」
「えぇ、よろしくお願いしますぅ林檎ちゃん。私はぁ東根桐ですぅ。あ、いきなり呼び捨てだなんて慣れ慣れしかったですかねぇ」
「ううん、むしろ嬉しい。ねえ、私も桐ちゃんって呼んでいいかなぁ」
「はい~、私もぉ嬉しいですぅ」
林檎ちゃんかぁ見た目だけじゃなくて名前も可愛い
楽しみだなぁ、さぁいつ本性を見せようか
今から楽しみで仕方がない裏切りによって絶望した顔を見るのが
おっと、少々周りを蚊帳の外にし過ぎたか
「と、いうことでぇ一応聖女をやるという方向でお願いしますぅ。どうせ、今すぐ帰すだなんて無理なんでしょうからぁ」
「あ、あぁ今日は突然なことばかりで疲れただろう皆の紹介と説明は明日にしよう。聖女様たちを部屋に案内してさしあげろ」
「ありがとうごさいます」
「ありがとうございますぅ。あ、それとぉ悪いんですけどぉ私の部屋には誰も付けないで下さいねぇ」
さすがに最初から殺人してしまったらまずいので、特に殺人衝動が大きくなる夜に人が側にいられると困る
それに人がいては安心して道具の手入れができない
「大丈夫なのか」
「はい~、一人の方が安心していられるんでぇ」
「分かった、そう伝えておこう」
スッと右手を王子があげると二人のメイドが前に出てくる
どうやらこちらの世界にいる間、身の回りのお世話をしてくれる人たちのようだ
さすが聖女のお世話係なだけあって優秀なものを選んだらしい
一つ一つの仕草に隙がなく、護衛も兼ねているのかピリピリと少しの威圧を感じる
周りを牽制しているのかもしれない
「セイラとイリナだ、今日から聖女様の世話係をしてもらう」
「林檎様、セイラと申します。これから林檎様のお世話係として仕えさせいただきます」
「よろしくお願いします」
セイラが丁寧な仕草でお辞儀すると林檎ちゃんは慌てて頭を下げる
ということは私の方はイリナか
「よろしくねぇ、イリナちゃん」
ちょっとフランク過ぎたかもしらないがまぁ、固すぎるよりはいいだろう
手を差し出し握手を求めると嫌々手を握ってくる
あまりにもいい表情をするものだからゾクゾクとなんとも言えない快楽が走り抜ける
「合格ぅ、これからが楽しみだなぁ。ちょっと前の世界に飽き飽きしてたんだよねぇ。帰るまでだけど私のこと楽しませてねぇイリナちゃ~ん」
ビクリと体を震わせる
もしかしたら私の本性を本能的に感じてるのかもしれない
「よ、よろしくお願いいたします桐様」
消えてしまいそうな震えた声で答えるイリナはまるで怯えた小動物みたいで殺しがいがありそうだ
さっきからにやけが止まらない
不思議そうに周りは見てくるが今の私の脳内にはいかに痛めつけてあの可愛いらしい顔を歪めようかでいっぱいだった